紹介するのは、toolboxが自社で購入し、リノベーションした物件『studyroom#2』。toolboxの商品開発チームと設計施工チーム・ツールボックス工事班がタッグを組んで、開発中のアイテムや新商品を取り入れながら、暮らし方提案のある空間づくりに取り組みました。

物件の面積は約72㎡、変形L字型という少し特殊な住戸形状をしていました。4方向に開口がある稀有な特徴を活かしながら、今の時代の暮らしへの提案があるプランを目指し、考え出したのは「ベッドルームリビング」がある住まい。

夫婦二人暮らしや家で仕事をする人をイメージしながら、家族がそれぞれ別の場所で好きな時間を過ごしたり、気分に合わせて居場所を変えたりといった、LDK以外にも“過ごす場所”がある住まいを計画しました。

toolboxの自社リノベ物件なので、toolboxアイテムも盛りだくさん。それでは、気になる「ベッドルームリビング」からご紹介していきます。

「就寝」以外の過ごし方ができる“ベッドルームリビング”

かつてのLDKがあったスペースに設けたのは、約10帖の個室。南向きの掃き出し窓からは、燦々と光が注ぎます。

(撮影:山下弘毅)

シングルベッドを2つ置いてもゆとりがある広さを設けたこの部屋では、ソファを置いてセカンドリビング的に使ったり、デスクを置いて書斎を兼ねたり、オーディオを置いて音楽を楽しんだり……。

「就寝する」以外の時間も「居場所」として過ごすことを提案する空間です。

そんな「過ごす場所」としての居心地を上げるために、床仕上げに使ったのは、『チークウッドフローリング』の乱尺。上質感のあるチークの深い色味が、ゆっくりと時間を過ごしたくなる空気感をつくっています。

一方、空間がかっちりした印象に寄りすぎないように、窓辺には『シーチングカーテン』を採用。洗いざらしのシーツのような自然なシワ感を持つカーテンが、ほどよく力の抜けた雰囲気を添えています。

(撮影:山下弘毅)

ただ広さを確保するだけでなく、「居場所」をつくりやすい工夫もしています。取り入れたのは、間仕切り壁よりも軽やかな、木製のパーティション。ベッドスペースにほどよいこもり感をつくりました。腰より上の高さにはガラスをはめ込んで抜けをつくり、開放感も両立させています。

ベッド周りのグレーの壁は、板壁材をグレーに塗装したもの。壁には『ボールライト』のフロスト×ホワイトを添えました。板壁材の立体感が、色と光で引き立ちます。枕元高さに添えたスイッチとコンセントは『アメリカンスイッチ』です。

そして木製パーティション越しにきらりと光るハンガーパイプは、『メタルハンガーライン』。無垢ステンレスの滑らかな輝きを、空間のアクセントとして取り入れました。

個室と廊下を仕切るのは、大きくガラス面をとったスチールフレームの親子ドア。光と気配が、廊下の先のLDKまで届きます。

寝室としても使う個室に、これほど大きなガラスドアを採用するのは大胆に思えるかもしれませんが、この開放感が「過ごしたくなる」居場所としての心地よさをつくり出しています。

重厚なスチールの存在感で、空間に落ち着いた雰囲気も添えています。木製パーティションがあるので、廊下側から寝床が丸見えにならないのもポイント。

クローゼットの扉は『塗装のルーバー折れ戸』。カラーは、壁天井に合わせたホワイトではなく、アイボリーを選択。色をピッタリ揃えるのではなく、わずかに差をつけることで、異なる色や素材を馴染ませました。

この個室、夜の雰囲気もいいんです。部分をスポット的に照らす明かりが、部屋の中にやわらかな陰影をつくり出し、リラックス感を高めてくれます。

これも「居場所」をつくるための工夫のひとつ。天井照明の数はあえて絞り、その分、部屋の各所にコンセントを設けました。すっきりとした天井面は、頭上の開放感づくりにもつながりました。

自分が欲しい場所に明かりを置いて、空間の中に居場所をつくっていける。そんな過ごし方ができる空間です。

個室に続く廊下は、東に面した窓から明かりが差し込みます。床には、『チークウッドフローリング』のパーケットを敷きました。天井の照明は『フラットレセップ』と『フロストLED電球』を使って存在感を抑え、床やスチールドアの印象を引き立てています。

フローリングの切り替え部分には、あえて段差を設けました。スチールドアを引いて一歩足を踏み入れると、ふっと気分が変わる。個室を“特別な場所”として感じられる、さりげない工夫です。

廊下には、たっぷりの収納を設けました。

扉が連なることによる圧迫感を避けるため、こちらの扉にも『塗装のルーバー折れ戸』を採用。ルーバーがつくる陰影が、空間に奥行きを生んでくれます。つまみは存在感控えめの、『T番把手』の「プレートつまみ φ23」をセレクトしました。

奥まった場所に納戸をつくるのではなく、日々の動線上に配置することで、収納の使い勝手を高めています。

「それぞれの時間」を楽しみながら、一緒に過ごすLDK

「家族がそれぞれ別の場所で好きな時間を過ごせる住まいを」という考えは、LDKにも反映されています。

(撮影:山下弘毅)

LDKは、中央に立てた壁を囲むように、リビング・ダイニング・キッチンをU字型に配置。ひとつの空間を共有しながらも、目線が自然と分かれることで、それぞれが「自分の時間」に没頭しやすい間取りです。

スマホやタブレットが当たり前になった今、家族みんなでTVを囲む時間は、以前より少なくなっているように思います。それぞれの時間を楽しみながらも、互いの気配は感じられる。そんな距離感を目指したLDKです。

(撮影:山下弘毅)

東向きの掃き出し窓に面しており、南向きの窓もあるLDKは、一日中穏やかな光に満たされた空間。廊下に繋がる『オーダー框ドア』越しに、廊下からも光が差し込みます。

そんなダイニングの壁には、居場所づくりのフックとして、『木製シェルビング』を取り付けました。物を書いたり読み物をしたり。意外と色々な作業をするダイニングには、ちょっとした収納があると便利ですよね。

(撮影:山下弘毅)

床に「木の要素」を取り入れた個室とは気分を変えて、リビングでは壁とリビングボードに『クラシックリブパネル』の「チューブ」を貼って、木の要素を盛り込みました。

一方、床はモノトーンにして、壁面に取り入れた木の印象を際立たせています。

リビングダイニングの窓辺には、『ガーゼカーテン』と厚手の『帆布カーテン』のアイボリーを合わせました。ざっくりとした素材感を持つ帆布で、空間に気のおけない雰囲気を添えました。

キッチンは、壁に向かって集中して作業ができるレイアウト。直接目線は交わらなくても、気配や声は届くリビングとの距離感が、キッチンをひとつの居場所として成立させています。

チークウッドフローリング』のパーケットを敷いた床は玄関ホールまで続いており、玄関・廊下・LDKを回遊できるようになっています。

棚板の下に取り付けたのは、『ハンガーバー』。(撮影:山下弘毅)

キッチン本体はオリジナルで造作。ステンレス製のキャビネットに、『マットカラーのキッチン天板』のライトグレーと、『クォーツシンク』のグレー、『ベントネックホース水栓』のクロームと、『ガスコンロ ガラストップ(BK) 3口 W600 グリルレス』を組み合わせました。

壁に貼ったのは、『マットカラーのキッチンパネル』のライトグレー。『マットカラーのキッチン天板』のライトグレーとは、素材が違うので色が異なるのですが、『フラットレンジフード』やコンロ、棚板、『インダストリアルアーム』の黒が全体のまとめ役となり、グレーのグラデーションが心地よい場になりました。

(撮影:山下弘毅)

キッチン背面には、キャビネットを造作。『T番把手』のスリムハンドル W123を添えて、家具然とした佇まいに仕上げました。

壁の上半分は、棚受けが表に露出しないインロー棚と、パイプで構成された『ハンガーラック』の収納として、軽やかにしています。

LDKも個室同様、天井照明は控えめにしています。中角のダウンライトをベースに、リビング壁の『ミルクガラス照明』とキッチンの『インダストリアルアームライト』で、コーナーごとの「居場所」感を高めました。

明るすぎない空間の中で、それぞれの場所に身を置きながら、思い思いの時間を過ごす。そんな暮らしのシーンが浮かび上がってきます。

素材やパーツ使いで、ホテルライクな居心地をつくる

玄関や水回りにも、この家らしい居心地づくりの工夫を散りばめています。

玄関は、『チークウッドフローリング』と『塗装のルーバー折れ戸』で、クラシカルな雰囲気に仕上げました。ルーバーのラインが視線を奥の窓へと誘導して、開放感を感じられる場所になっています。

(撮影:山下弘毅)

頭上に梁が走るホールは、下足入れやコーナーの収納をフロートタイルにして、水平方向の広がりを演出。洗面脱衣所へと続くドアは、『オーダーフラッシュドア』で梁下ぴったりにおさまるサイズにしました。

ラワンで造作した下足入れは、『メタルハンガーライン』を組み合わせて傘掛けを一体化。把手には『T番把手』の「プレートつまみ φ20」を添えて、メタリックな素材感をポイントとして効かせています。

(撮影:山下弘毅)

トイレの引き戸も『オーダーフラッシュドア』。手掛けは『メタル小手掛け』で、指をかけやすいようダブル使いしました。

印象的な丸いミラーは『木製ラウンドミラー』。上部にチラリと見える照明は『カプセルライト』です。

(撮影:山下弘毅)

腰高さまでをダークグレーでペイントした壁は、切り替えラインに貼ったモールディングがポイント。

陶器製の『ハイサイドシンク』の手洗いと『陶器のラック』に、『船舶サニタリーパーツ』のソープディッシュ、『ホテル金物』のタオルリング、水栓やペーパーホルダーといった光沢感のある金物使いで、欧米のクラシックホテルのサニタリーのような空間に仕立てました。

窓から自然光が差し込む洗面脱衣所は、白を基調にまとめました。洗面台に使ったのは『プライウッド洗面台』。小口から覗く木が、スッキリとした空間にあたたかみを添えています。

こちらも金物は、『ホテル金物』の拡大鏡や『壁付けセパレート混合水栓』、『船舶サニタリーパーツ』のワイヤーラックと、光沢があるものを採用。水栓を取り付けたふかし壁は『マットカラーのキッチンパネル』のライトグレーを貼って、金物の輝きを際立たせています。

バスルームの出入り口そばには、『ホテル金物』のタオル掛けとタオル棚、フックを設置。

お風呂まわりのタオルは、案外、置き場に困るものだったりします。収納力のある洗面台とタオルが掛けられる金物で、気持ちの良い洗面脱衣所をキープしやすくしています。

「広さ」ではなく「居場所」をつくることに重きを置いて計画された住まい。家族形態の変化やライフスタイルの多様化を受けて、求められる住まいのあり方も少しずつ変わってきています。

限られた面積の中でも、過ごし方に合わせて居場所を選べること。それぞれが自分の時間を過ごしながらも、互いの気配を自然と感じられること。そんな空間のつくり方は、価格高騰やコンパクト化が進む都市部の住まいを考えるうえでも、ひとつのヒントになるかもしれません。

※『studyroom#2』の空間づくりの過程や、取り入れた開発中商品についてのお話は、以下の記事で紹介しています。

『studyroom#2』始動!工事班×商品開発チームのタッグで「商品を生み出す空間づくり」
『studyroom#2』始動!工事班×商品開発チームのタッグで「商品を生み出す空間づくり」
toolboxの「工事班」と「商品開発チーム」が、設計段階から一緒にリノベーションに取り組む!実際の住空間をつくりながら、試作品を積極的に取り入れ、新しい商品やアイデアをカタチにしていくプロジェクトがスタートしました。
つくって、試して、またつくる。「空間づくりの現場」で進化する商品開発
つくって、試して、またつくる。「空間づくりの現場」で進化する商品開発
「商品を生み出す空間づくり」をテーマに掲げ、toolboxの商品開発チームとツールボックス工事班が空間づくりに取り組んだ『studyroom#2』。開発中の商品や試作を多く取り入れたリノベーションの裏側では、実際の空間づくりの中でアイテムを試しながら、理想のかたちを探っていく試行錯誤がありました。
ツールボックス工事班|TBK

ツールボックス工事班|TBK

toolboxの設計施工チーム。住宅のリフォーム・リノベーションを専門に、オフィスや賃貸案件も手がけています。ご予算や目的に応じ、既存や素材をうまく活かしたご提案が特徴です。

オーダーメイドリフォームのご相談はこちら→TBKに相談する
リフォーム相談会定期的に開催中 詳細はこちら→コラムを読む

毎週水曜日の13時から15時まで、東京・目白ショールームに施工チームがいます。工事に関するご相談も承っておりますので、この時間もご活用ください。

紹介している商品

FL-FL029-01-G276
¥15,800/㎡
PS-BK009-51-G289
¥48,000
DW-DR010-01-G191
¥29,500~
PS-HD023-07-G141
¥400
PS-HD023-08-G141
¥450
PS-HD023-02-G141
¥1,850
SF-RK009-03-G239
¥20,500
PS-HB013-02-G239
¥17,540~
SF-RK010-01-G244
¥5,200
KB-AC021-03-G141
¥8,800
KB-AC021-09-G141
¥17,500
KB-AC021-13-G141
¥2,800
KB-AC021-07-G141
¥2,100
テキスト:サトウ

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