今回の現場は築46年のビンテージマンションの一室。
工事前は様々な模様のクロスで貼り分けられた壁や、焦茶色の床など、部屋それぞれに前所有者さんの工夫がたっぷり詰まっており、賃貸にするには個性の強い印象でした。
そこで、様々な住まい手にフィットするようベースとなる内装は色調や質感を整えて、L型キッチンに見せ場を作りながら、LDKのポテンシャルを最大限引き上げるリフォームを行いました。
とっかかりとなったのがLDKの窓辺です。元は手前の壁で個室に仕切られた間取りでしたが、見晴らしの良い窓が区切られてしまうのは勿体無い。そこでリビングを広げてふたつの窓を繋げ、個室のサイズをコンパクトに作り変えることに。
L型に窓が連なりオープンスペースができたことで、より明るく開放的なLDKになりました。
L型キッチンは、本体やコンロ、レンジフードなど、まだ使える既存の設備は活かしつつ全体のバランスを取りながら色や小物で雰囲気を変えています。とてもシンプルな手法です。
長さのあるキッチンなので、のっぺりとした印象にならないよう、リビング側の腰の部分は『クラシックリブパネル』を貼り立体感のある仕上がりに。規則的なエッジの抑揚が微細な陰影を生み出していて、リッチな雰囲気です。リブ材の色は、オークフローリングとバランスを取るように、温かみのあるマットグレーを採用。全体を柔らかく引き締めました。
作業側には同色のシートを貼り、お手入れのしやすさを優先しました。
天井まであった収納棚は撤去して開放感をつくり、最低限の収納ができるようなアイテムに付け替えています。
固定棚は『フリーカット無垢材』のホワイトオーク材の天板に、ミニマルな『棒棚受け』の白色の組み合わせ。圧迫感を出さないよう棚受けの印象は極力消しています。
調理器具を吊るす『オーダーマルチバー』はレンジフードと合わせてステンレスに。
手元灯の『モデストレセップ』の淡いグレーと、対になるのは『アメリカンスイッチ』。
最後にキッチンペーパーストッカーとして『木のペーパーホルダー』をスパイスに添え、壁を彩るように配置しました。
床には開発中のオークフローリングを貼ってカラッと爽やかな仕立て。厚みが薄く床暖房の上から貼れる仕様なので、今回は既存の床暖房を残して増し貼りしています。
オープンスペース窓前の壁面には『ウォールディスプレイパーツ』を使って壁面に可動棚を造作。カウンターデスクや可動棚にも「フリーカット無垢材」のホワイトオーク材を使い、素材の要素を絞って床と質感を合わせています。
部屋同士がゆるやかに繋がっているので、リビングの気配も感じながらのびのび作業ができそう。
オープンスペースから奥の個室の正面壁には『ウッドウォールパネル』のタモを貼りアクセントに。『ランドリーハンガーパイプ』のブラックで柔らかな雰囲気を引き締めました。
引戸を開け放てばLDKからも板貼りの壁が目に入り、自然と空間に温かみが出ています。
LDKに並ぶ3枚のドアは、『オーダー框ドア』に交換。
元々焦茶色で重厚感ある印象のドアでしたが、空間に馴染むように白く塗装。廊下に繋がるドアだけは視線の抜けを作るためにガラス付きのタイプにして、キッチンの色に合わせてグレーで塗装して特別感を出してみました。
ドア枠は既存のままなのですが、大から小まで欲しいサイズでオーダーができるので、今回は既存ドアに合わせて制作。
ドアの構造でもある框のフレームは厚みが程よく装飾的で、フラッシュドアにはない風格が出ています。
トイレも本体は既存のまま、『インセットホルダー』に交換して壁面をスッキリと収めています。
壁面は『ベンジャミンムーアペイント』French Canvas 1514で塗装しました。柔らかなモスグレーでクラシカルな色味です。色の効果って大きいですよね。
最後に、個人的にお気に入りの玄関〜廊下の景色をご紹介。既存の白い大理石床と、カジュアルなオークフローリングの組み合わせが明るい印象です。奥に続くダウンライト郡に誘われるように、リビングに向かう足取りも軽くテンションが上がります。毎日の帰宅が楽しくなりそう!
部屋本来の良さを引き出し、手数を少なく雰囲気を変えていく。
前所有者さんが趣向を凝らした内装から、賃貸の住まい手の個性が反映しやすいようシンプルに整えた内装へ。
そんな賃貸マンションリフォームの事例でした。
ツールボックス工事班|TBK
toolboxの設計施工チーム。
住宅のリフォーム・リノベーションを専門に、オフィスや賃貸案件も手がけています。
ご予算や目的に応じ、既存や素材をうまく活かしたご提案が特徴です。
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※毎週水曜日の13時から15時まで、東京・目白ショールームに施工チームがいます。工事に関するご相談も承っておりますので、この時間もご活用ください。