「素敵な部屋をつくりたい」と思ったとき、家具や照明についてはよく考えますが、実は、お部屋の印象を大きく左右するのが“床”。空間の中でも広い面積を占めるからこそ、床が決まると、そこに置く家具や照明など、全体の方向性もぐっと定まりやすくなります。
フローリングの選び方とひと口に言っても、実はかなり奥深い世界。Vol.1では、まず「見た目」から、自分が好きだと思えるフローリングを見つけるコツを紹介します。
toolboxの設計施工チーム、TBK(ツールボックス工事班)の親方。フローリングの開発・セレクトも担当する。
「どう過ごしたいか」に目を向ける
「フローリングは何が良い?どうやって選べばいいんだろう?」家づくりをするほとんどの人が経験する悩みだと思います。それもそのはず、フローリングの選択肢は、種類や樹種、色、仕上げ、貼り方……と、膨大な量があるからです。
もし、ギャラリーのような無機質な空間にしたい、という明確なイメージがあれば、床はモルタルやタイルなどと、おのずと方向性が定まってくるのですが、フローリングは、ほとんどの家にある当たり前の存在だからこそ、具体的な方向性を最初からイメージするのが難しい。
ですが、フローリングの全ての選択肢やセオリーを理解する必要はありません。まずは、具体的な種類や樹種ではなく、どんな空気感の空間で過ごしたいかを思い浮かべてみてください。
例えば、「日が差し込む明るく温かい空間にしたい」「家に帰ったらまず靴下を脱いで、木のぬくもりに触れて過ごしたい」「落ち着いて本を読んだり、音楽を聴いて過ごしたい」。
自分の趣味や好きなもの、どう過ごすかからフローリングを選んだ事例
このようなイメージがあるだけで、フローリングは選びやすくなっていきます。つい、何を選ぶのが正解なのかと答えを探してしまいますが、自分が心地よく暮らすための選択であることをお忘れなく。
「オーク」を基準に、好みを探ってみる
どんな空気感の空間で過ごしたいかを妄想したとき、その床はどんな色ですか?
具体的なイメージが浮かばない場合は、ベーシックなオークのフローリングを基準に自分の好みを探ってみましょう。
何を着ようか迷ったときに白いTシャツを選ぶように、インテリアのテイストを決めつけずベーシックに使えるのが、オークのフローリングです。
様々なテイストや色味の家具に合わせやすい、やや黄色い明るめのブラウンで、木目の主張も強すぎない樹種。コスト的にも使い勝手がよく、近年では定番とされています。
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色の濃淡で選んでみる
まずは色の好みから。オークの木目の表情がイメージに近いなら、その色より「濃い/淡い」で好みの方向性を探ってみてください。
同じ樹種のフローリングでも、加工や塗装などによって表情が異なるフローリングは複数存在します。
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オーク | 濃い色
オーク | 淡い色
狭い部屋だから明るい床が正解、というわけではありません。
明るい色味の方が広く感じるというセオリーはあります。一方で、暗めの色味だと、床に重みが出て重厚感が生まれ、落ち着きが生まれます。過ごし方によっては、狭い空間でも暗めのフローリングが合う場合も。
また、壁や天井の色味によっても体感は異なります。
広く見せることだけを正解にせず、その部屋でどう過ごしたいかや、自分が落ち着く色味から考えてみるのがおすすめです。
オーク以外の樹種を検討してみる
オークの表情がイメージと違うようであれば、ほかの樹種にも目を向けてみましょう。
樹種によって色味や硬さ、手触りなどの特性があります。重厚感が欲しければチーク、足触りを大切にしたいならヒノキやスギといった具合です。
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チーク
スギ
樹種については、Vol.3で詳しくご紹介します。
床は、あとから変えようと思うと、内装の中でも特に手間と費用がかかってきます。だからこそ、家全体にかける予算の中で少し比重を大きくしてでも、愛着を持って長く使えるものを選ぶことをおすすめしています。
予算上、広い面積に取り入れるのが難しい場合は、小さな個室に絞ったり、他の素材と貼り分けることで、部分的に取り入れたりする方法もあります。すぐに候補から外すのではなく、家づくり全体の中でどのくらい優先したいかを一度考えてみてもよいでしょう。
板幅で変わる印象をイメージしてみる
板幅も空間の見え方に違いをもたらします。同じ面積でも使う板の枚数が変わり、木目の見え方も変わるからです。標準的な板幅は90mm程度ですが、変化をつけてみたいなら「幅狭/幅広」の選択肢を考えてみても良いでしょう。
細い板が何本も並ぶことで、床に細かなリズムが生まれる幅狭タイプは、どこかクラシカルで、端正な印象があります。昔の応接間のような、手の込んだ雰囲気が好きなら気になる存在かもしれません。
一枚一枚の木目をたっぷり楽しみたいなら幅広タイプ。継ぎ目が少なく、床全体がおおらかで伸びやかな印象になります。特に広い面積に貼ると広がりを感じやすいです。
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幅狭 | 80mm未満
幅広 | 100mm以上
柄のある床に惹かれるなら「パーケット」
色や樹種だけではなく、「柄」で選ぶ方法もあります。木片を組み合わせて幾何学模様を描く、寄木のフローリングを「パーケット」と呼びます。床そのものに表情を持たせたいときの選択肢です。
ヨーロッパの美術館のようなクラシカルな雰囲気や、学校を思い出す懐かしい雰囲気など、樹種とパターンの組み合わせによって個性を生み出します。
魚の骨のように木片を組む「ヘリンボーン」や、正方形に組んだフローリングを交互の向きに並べた「市松模様」など、いろいろなパターンが存在します。
なかでも正方形のパーケットは、長手/短手がないため、貼る方向を問わないことも特徴。フローリングですが、タイルを貼るような感覚で取り入れられる床材です。
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ブラウンだけじゃない、「着色」という選択肢
木の床はブラウンというイメージを一度手放してみると、床の選択肢はさらに広がります。無塗装のフローリングを選び、木目の表情を活かしながら、好みの色に仕上げるという方法もあります。
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無塗装のフローリング
気になったフローリングは、サンプルを取り寄せる
フローリングを選ぶ際は、写真だけではなく、サンプルを取り寄せて肌触りや色味を実物で確認してみてください。
メーカーによっては無料でサンプルを請求できます。toolboxのショールームでは、サンプルのお渡しに加えて、塗装を試すこともできます。
小さなサンプルと広い面積では、色の見え方が変わることがあります。一般に、広い面積になるほど明るく、鮮やかに感じやすいといわれています。サンプルを見るときは、実際に床一面に広がったときの見え方も想像してみてください。
たくさんのフローリングを見ていると、「濃い色が好き」「木目はおおらかな方がいい」「パーケットのように柄がある床に惹かれる」など、少しずつ自分の好みが見えてきます。
最初から樹種や仕様まで決められなくても大丈夫。「こんな床が好きかも」という感覚が見つかれば、それだけでも家づくりを進める大きな手がかりになります。
フローリングガイド Vol.2では、さらに一歩踏み込んで、空間に貼られた時をイメージして、「貼り方」「空間との合わせ方」について見ていきましょう。