生活空間である2階LDK。

工事前。収納扉やキッチン吊戸の焦茶色が、重い印象の空間でした。

中古の分譲戸建住宅を購入したものの、均質化された建材感の強い内装がどうしても愛せなかったというお施主さん。

「好きな空間で気分を上げて暮らしたい!」という想いを叶えるべく、LDKと水回りを中心に内装を整えて、お好みのtoolboxアイテムを散りばめていくような部分リフォームを行いました。

2階に生活空間がまとまっていて、階段を上がるとすぐリビングダイニングが広がり、開口部の奥がキッチン、さらに奥へと進むと洗面やお風呂などの水回りスペースへと続いています。分譲戸建住宅では珍しくない間取りです。

家の中でも長い時間を過ごすリビングダイニングの床には、『スティルオークフローリング』を既存床の上から増し貼りしました。
まずは空間の中で大きな面積を占めている床を変えるだけでも、さっぱりと明るい印象に様変わり。

重々しい印象だった収納扉は取り払い、オープンなカウンターデスクに作り替えました。
扉がなくなったことで視線が抜けて前よりも広く感じられます。

デスクの天板。木口にはオークの無垢材を貼って床と合わせました。

グレーにこだわりのあるお施主さんでしたので、天板の色は温かみのあるライトグレーに。ここにパソコンを置いて在宅ワークができるスペースになる予定。リビングにこういったコーナーがあると、家族の様子も感じられたり家事導線もスムーズで良いなと思います。

カウンターは『木製キッチンカウンター』のバーチを組み合わせて自分仕様にしています。

キッチンは本体の交換はせずに既存のものを残して再利用しています。収納扉は白く塗装して、合わせてキッチンパネルも『塗装のキッチンパネル』マットホワイトに変更。レンジフードも『フラットレンジフード』のステンレスに交換したことで、上部に抜けが出て以前よりスッキリして見えます。

素材感を変えると随分と印象も変わります。

キッチンパネルを剥がしている時の様子。手の入らない細かい部分はスクレーパーを差し込んで、少しずつ剥がします。

ここで工事の裏側を少しだけ。通常は内装を先に仕上げて最後にキッチン本体を据え付ける手順で行うものなので、本体を動かさずにキッチンパネルだけを交換するというのは結構イレギュラーなことです。

「どうなるか分からないけれど一回やってみて決めましょう」と進めてみたところ案外キレイに剥がすことができたので、貼り替えまで行うことができました。

キッチンパネルを剥がした直後はこんな感じ。こんなに上手く取れるとは!みんなで盛り上がった瞬間でした。

現場で仕様が決まっていくドキドキは、リノベならではの醍醐味なのかもしれません。

棒棚受けの色もグレーに。

さてキッチンの背面はというと、元の吊り戸棚は撤去して、『フリーカット集成材』タモと『棒棚受け』を組み合わせてディスプレイ棚に変更。小さいお皿などを置くための、最低限の収納を確保しました。

キッチンの床はリビングとは貼り分けて、お手入れのしやすいPタイルに。

キッチン水栓は『ハンドホース水栓』アングル混合栓に交換し、サテンの控えめな光沢感で落ち着きをプラス。
手元灯は『モデストレセップ』でさりげなく。棒棚受けと色味を合わせてグレーにしました。

全体的に淡いグレートーンでまとまった空間の中で、バーチの木目が引き立つ軽やかなキッチンに生まれ変わりました。

シンクを壁付けにしたことで足元がスッキリ。

洗面室もグレートーンにチェンジ。

既存のシステム洗面台は取り除き、ミラーと『ウェルラウンドシンク』だけのシンプルな構成にしています。

100角タイルでふかし壁を作っているので、身支度中の“ちょい置き”にも便利そう。陶器の艶感がシンクとも相まって、清潔感あふれる佇まいです。

ラウンドミラーはお施主さん支給なのですが、丸みがあるので冷たくなりすぎずバランスも良いですね。

手元灯にはそつがない『ミニ磁器レセップ』を採用しました。

よく見るとタイルの目地色もグレーです。

手元灯のスイッチは一番小さいMINIサイズの『ダイカストトグルスイッチ』に。

正方形のプレートが何とも言えない存在感で可愛い!タイルとサイズ感が近いところも推しポイントです。

工事前。引戸の奥にトイレがあり、洗濯パンが入口扉のすぐ目の前にある配置でした。

脱衣室の面積を圧迫していたトイレは撤去して、ゆとりのあるランドリーコーナーに作り変えています。

垂壁には目隠しできるよう『シーチングカーテン』のホワイトを取り付け。軽やかで透け感が抑えられているので、「部屋の中でちょっと仕切りたいな」という時なんかにピッタリだと思います。

上がり框・巾木・笠木・階段のささら桁を塗装しました。

玄関扉を開けると、まっすぐ廊下が伸びていて奥行きがあります。

木目のシート感が強かったドアや巾木等の細かい部分は塗装して、壁と質感を合わせていきました。階段の床やフローリングには手をつけていないのですが、白色で整えたので明るさが増したような気がします。

凹凸のあった天井もフラットに作り直したので、頭上の圧迫感もなくなりスッキリしました。

(おまけ)ドアを塗装する時は一度取り外してから塗るので、このように部屋がミチミチになります。

リビングへと続く階段。

階段の手すりは『木の手摺』に交換。曲がりなくスッと一本で見せるために、さりげなく左側に付け替えました。

設備感の強かった階段室でしたが、手すりを交換するだけでも空間に柔らかさが出たのではないでしょうか。

縦に伸びる金物手摺はキッチンの棒棚受けと同じグレー色。マグネットフックもくっつくので意外と便利だそうです。

こちらの靴箱、実は『オーダー吊戸棚』のホワイトをカスタムして作っています。

吊戸棚には天板が付いていないので、天板だけ仕様を合わせて手配し、現場で大工さんが取り付けています。本来の使い方ではないですが工夫次第で靴箱以外にも色々作れそうです。

個人的にはtoolboxアイテムをカスタムして納まりを考えるのが楽しい現場でした。

全部を変えなくても、生活空間から素材やアイテムを変えていく。そうやって暮らしながら一緒にお家も育てていく感覚も味わい深いなと感じた事例でした。

ツールボックス工事班|TBK

toolboxの設計施工チーム。

住宅のリフォーム・リノベーションを専門に、オフィスや賃貸案件も手がけています。
ご予算や目的に応じ、既存や素材をうまく活かしたご提案が特徴です。

 

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※毎週水曜日の13時から15時まで、東京・目白ショールームに施工チームがいます。工事に関するご相談も承っておりますので、この時間もご活用ください。

テキスト:徳山

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