東京で30年以上暮らした後、引退を機に地元へ戻り、住まいを構えたお施主さま。地元の工務店に依頼し、緑に囲まれた土地に一戸建てを新築しました。
その住まいは、まるで海外の邸宅さながら。ダイナミックな吹き抜けのリビングには、2階天井まで届くブリックタイルの壁がそびえます。
家を新築するにあたり、お施主さまが大事にしていたのは、“真新しい素材をできる限り使わないこと”。そのわけを、「海外に長く暮らしていたからだと思います」と話すお施主さまは、幼少期から20代半ばまでを海外で過ごした経験の持ち主。
欧米では、築100年を超える建物も、修繕を重ねながら住み継がれています。そうした建物には、石や木、タイルなど、年月を経ても味わいを失わない素材が使われています。
古いものを大切にし、手を加えながら長く使い続ける。海外での暮らしを通じて親しんできたそんな文化が、この家の素材選びにも反映されています。
ブリックタイル壁の足元、薪ストーブエリアのフロアには、レンガをスライスした『チャイナブリック』の「上海ブルー三丁掛」が敷かれています。
壁の赤みがかったブリックタイル、床の黒みを帯びたレンガ、フランスの古いアンティークドア。素材の組み合わせで、長い年月を経てきたような味わい深い空間をつくっています。
素材へのこだわりは階段にも。階段の手摺には、『鉄の手摺』をお使いいただきました。
『鉄の手摺』は、耐久性に優れた焼き付け塗装仕上げも選べますが、今回お施主さまが選んだのは、鉄本来の風合いを楽しめる「黒皮」仕上げ。毎日手に触れるうちに色の濃淡が生まれたり、時には少し錆びたりすることも。
そんな経年変化も味わいとして楽しみたいという、お施主さまの思いが表れています。
無垢の床材に、木の窓枠、鉄のままの手摺。窓枠に切り取られた裏山の緑も、家の中を彩る素材たちと一緒になって、この住まいならではの景色をつくっています。
素材や家具と「長く付き合う」というお施主様の価値観は、キッチンにもよく表れています。
背面に置かれた大理石天板の木製カウンターは、東京で暮らしていたマンションに合わせてオーダーメイドしたもの。
30年使い続けてきたこのカウンターを新居でも使い続けるにあたり、新しいキッチンのサイズに合わせて、ヒノキの無垢材と足場板を組み合わせて拡張。工務店さんが『ワトコオイル』をブレンドして、既存部分との色合わせをしてくれたそうです。
ストウブの鍋が並ぶ棚には、『ハンガーバー』を添えて落下防止に。選んだ素材は、経年変化が楽しめる“真鍮”です。
玄関の収納スペースも、味わいのある素材たちで仕立てられていました。
棚板に使ったのは、足場板の古材。ラフな素材に合わせて、ハンガー収納には『アイアンハンガーパイプ』をセレクトしています。
ハンガー収納を低い位置に設け、目線の高さにはお気に入りの小物を飾る。実用的な収納スペースでありながら、飾ることも楽しめるスペースになっています。
家のあちこちに散りばめられた、素材選びへのこだわり。素材本来の表情を楽しみ、長く付き合っていけるものを選ぶ。時を重ねることが楽しみになる、そんな住まいが出来上がりました。
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