家づくりの始まりのタイミングや、お気に入りの家具を揃える時。床を起点に空間を組み立てていく方も多いのではないでしょうか。

家の中でも特に広い面積を占め、毎日素足で触れる床材は、空間の要とも呼べる存在です。フローリングを選ぶ場合、樹種の選択だけでなく、塗装や板幅、貼り方まで、一歩踏み込んで考えてみると、足元の選択肢は想像以上に広がっていきます。

今回特集するのは、フローリング選びに“ひとひねり”ある、個性豊かな空間。「木の床ってこんなに自由で奥深いんだ」という気づきを与えてくれる、オリジナリティ溢れる事例をお届けします。

玄人向け?難しく構えなくても大丈夫!木のキャラクターで“らしさ”を宿す

床材の王道といえばまずオークが挙げられますが、もちろん選択肢はそれだけではありません!樹種はもちろん、節の有無や寄木のパターンまで、選ぶ要素によって木の床が見せるキャラクターは実にさまざまです。

「少し個性が強すぎるかな?」と思うようなフローリングも、難しく構えなくて大丈夫。お気に入りの家具を引き立てたり、逆に異素材のインテリアを合わせてギャップをつくったり。その組み合わせによって、空間に圧倒的なオリジナリティが生まれます。

case1 南洋材の無垢フローリング×カラフル!色彩を受け止め、鮮やかに映す背景としての床

写真提供:straight design lab/撮影:浜村菜月

前の住人から引き継いだのは、独自の風合いを持つ南洋材の無垢フローリング。その特別な表情を活かそうと、やすりがけして傷をなくし、オイルを塗り直して、新たに仕立て直しました。

個人的に衝撃を受けたのが、パステル・ビビットな家具との組み合わせ!重厚さや高級感を演出するイメージだった濃い色味の床材も、合わせるテイストでこんなにも新鮮な印象に。

赤みを帯びた色味は、トライバルラグとも相性抜群。様々な色・柄・素材が同居する賑やかなインテリア。それでもポップな印象だけに見えないのは、床の色味が受け止め、まとめてくれているからかもしれません。

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case2 国籍も年代もミックスした、自由なムードを盛り上げる足場板の床。古材の風合いを塗装で馴染ませて

写真提供:straight design lab/撮影:橋本裕貴

世界各地の旅先から持ち帰った雑貨に、日本の骨董品、アンティークのキャビネットやチェア。長い時間をかけて集めてきたお気に入りの数々が並ぶ、多国籍なヴィンテージマンション。

ひとつのテイストに縛られない自由なインテリアを引き立てているのが、床面に採用した足場板です。建築現場で使い込まれた杉の古材は、傷や釘穴もそのまま残る、唯一無二な風合いを持つ足元。180mmの広い板幅も、空間の伸びやかさを引き立てています。

そのままでは無骨なイメージも強い材ですが、表面にオイル塗装を施すことで、荒々しい木肌を馴染ませています。また、アイボリーの塗装壁を合わせることで、古いものたちが持つ力強さを包み込むような、温かみのある空間に仕上がりました。

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FL-OT001-09-G038
¥8,858/㎡
PT-WP001-02-G141
¥11,550

case3 寄木の床と柄タイルが織りなす、ベトナム情緒。コンパクトな空間も、パーケットでリラックスした雰囲気に

写真提供:ANCHOR DESIGN

「長年親しんだベトナムの空気を感じる家にしたい」と、リノベーションした戸建てのリビング。

空間の主役はヘキサゴン(六角形)のパーケットフローリング。ダイニングキッチンの壁は、ベトナムでつくられているセンメントタイルを合わせました。フランスの植民地だったベトナムの建築スタイルを2つのキーアイテムによって表現しています。

柄と柄の組み合わせは一見、喧嘩しそうにも思えますが、どちらもクラフト感を感じる素材だからこそ、お互いを引き立てあっています。

模様が細かく、柄が多方向に向いているパーケットは、空間の奥行きを強調しないため、コンパクトな空間に最適。何より視覚的に動きがあって楽しく、天井まで造作された飾り棚と共に伸びやかでリラックスしたムードをつくっています。

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case4 障子に北欧家具。穏やかな空気をつくる「節なし」のフローリング。

しっとりと、静かな雨の日のように、穏やかな気分に浸れる家。和の落ち着きと北欧の柔らかな雰囲気をかけあわせた空間づくりをされたご夫婦の住まいです。

素朴でいて、どこか上質さを感じられる空間。図面や写真だけでは伝えきれない空気感や暮らしの温度を、設計者と言葉を重ねるプロセスによって見出していったそう。

そのこだわりは空間のベースとなる足元にも。床にはあえて節がなく、主張の少ない端正な表情のフローリングをセレクトしました。造作本棚も仕上げで木目の主張を控えめにし、置いてある家具もトーンを統一。

壁はほんのり黄みがかった色でまとめ、照明も必要な場所にそっと添えるのみ。空間を構成する細やかな素材選びによって、五感に届く雰囲気を、丁寧につくり出しています。

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「木の色=ブラウン」だけじゃない。木目を活かして空間を染める着色塗装の愉しみ

「木の床=ブラウン」というイメージを一度手放してみると、空間づくりの自由度は一気に広がります。木の温もりや美しい木肌はそのまま活かしながら、好みの色彩を載せる「着色塗装」。

toolboxでは、自分好みの色に仕上げられる無塗装品のフローリングも多く揃えています。ここでは色選びのヒントになるような、定番のカラーから一歩踏み出した足元の事例をお届けします。

case1 「趣味の写真をよりクリアに観るために」色味を抑えたグレイッシュなオークの床

「趣味の写真を見る時に、室内にいろんな色が反射するとクリアに見えないから」という意図の元、空間を構成する壁やデスクを黒やグレーで統一した住まい。オークを使用した床面も、そのこだわりを反映して、グレー塗装で仕上げました。

空間がゆったり見えるよう、幅が190mmある幅広のものをセレクト。古建具屋で出会って一目惚れした簾戸、床の色味と呼応するような濃紺の縁を使った畳など和の素材たちともよく馴染んでいます。

徹底して色彩を抑えた空間は静謐な印象。彩度を落とした床面によって、木や手持ちの家具たちがより鮮明に見えてきます。

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case2 無垢の杉材をブラック塗装で。伸びやかな木目が光を引き込む

インナーテラスまでひと繋がりに、無垢の杉フローリングを敷いた新築戸建て。黒のオイルで仕上げた足元は、多方向に視線が抜ける開放的な空間に、心地よい落ち着きをもたらしています。

ペンキのようなベタ塗りではなく、美しい木目が透けて見える絶妙な色合い。藍染や焼き杉を思わせる佇まいは、アイアンやガラスなど無機質な素材も自然と調和する包容力を持っています。

色を載せたことで、針葉樹ならではの伸びやかな木目がはっきりと浮き上がり、かえって木の瑞々しさが際立つ仕上がりに。テラスから部屋の中まで、自然光を綺麗に映し、時間の移ろいをより繊細に伝えてくれるように思います。

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FL-FL003-02-G009
¥4,870/㎡
FL-FL003-03-G009
¥6,006/㎡
PT-WP006-03-G021
¥968~

細さで魅せるか、贅とゆとりの幅広か。空間スケールを操る「板幅」に着目

フローリングを選ぶ時、意外と見落としがちなのが一枚あたりの「板幅」です。たった数cmの違いでも、一歩その空間に入った時の印象は驚くほど変わります。

例えば、大空間のリビングでは幅広タイプをゆったり合わせたり、玄関や廊下で細幅の繊細なラインを走らせたり。その場所のスケールとの掛け算によって、空間のポテンシャルを引き出した事例たちをご紹介します。

case1 130㎡の大空間を伸びやかに。ノイズを排し、家具をアートピースのように魅せる幅広フローリング

ご夫婦2人暮らしを想定した、130㎡のLDK。ゆとりある広さと、窓外に広がる緑、そして光あふれる眺望を引き立てているのは、足元に敷き詰められた300mm幅のダイナミックな無垢フローリングです。

床の継ぎ目という情報を引き算したからこそ、樹種本来の木目が空間の主役として浮かび上がります。アートピースのような存在感のある家具や照明にも引けを取らない、美しい床面です。

贅沢で美しい床面を引き立てるように、壁や天井からはノイズとなる空調機器やダクトを排除。柔らかなカーテンだけがストンと直線を描く潔い空間です。

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case2 渡り廊下からリビングへ。家族だけでなくゲストももてなす55mmの細幅フローリング

撮影:Masanori Kaneshita

部屋ごとの居心地を考えて、家の中の床材を空間ごとにあえて変えてみる。そんな贅沢な選択をした戸建てのリノベーション事例です。玄関からリビングへの床は、幅55mmと細身の木の床を選びました。

中庭に面した渡り廊下を通ってリビングへと続く動線に走る、細い幅の床材ならではの、繊細なライン。視線をその先へと自然に導いてくれます。

「ゲストの目も意識したこの場所だけは余所行きモード」。そう語る住み手の言葉通り、緻密に美しく敷き詰められた足元からは、施工にかかった手間と職人技が静かに伝わってきます。昔の応接間を思わせる、背筋が伸びるような佇まいの良さをたたえた空間です。

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case3 板幅はミックスしたっていい!アアルト自邸の貼り方でリズムを生み出す足元に

購入した中古戸建ての間取りはそのまま、仕上げの変更だけでイメージを一新したリノベーション。長い時間を過ごすリビングダイニングは、壁に天然木仕上げの不燃ボードやグレーのペイント調クロスを取り入れ素材感のある空間に仕立てました。

毎日触れる床には、肌触りの心地良いヴィンテージ加工が施されたオークフローリングを採用。ユニークなのはその貼り方です。

一定の長さにカットされた床材を少しだけずらして貼る手法は、フィンランドを代表する建築家、アルヴァ・アアルトが自邸で用いていたスタイル。さらに細い幅と太い幅をミックスして並べることで、リズム感のある床面になっています。

空間スケールには手を加えない代わりに、足元の板幅と貼り方で変化を加えるテクニック。こだわって生み出したパターンは、視界に入るたびに家への愛着を深めてくれそうです。

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フローリング選びをさらに詳しく!理想の足元を形にする「フローリングガイド」を公開中

つくりたい空間のイメージが掴めたら次は具体的な床材の種類や、メンテナンス方法など選ぶ上での基礎をマスターしてみませんか?

無垢フローリングと複合フローリングといった「つくられ方の違い」や、オイル塗装とウレタン塗装など「仕上げによるお手入れの違い」まで、理想の床選びのヒントを詳しくまとめています。

好きなテイストの空間をつくるために[ フローリングガイドVol.1 ]
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フローリングがインテリアを大きく左右する。好みの空間は床から手に入れよう。
木っていろいろあるんです[ フローリングガイドVol.2 ]
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無垢か複合なのか。作られ方によっても違いがあるフローリングですが、樹種によっても色合い・木目・質感は大きく変わります。どういう基準で樹種を選べばいいのか ポイントを紹介します。
フローリングの塗装仕上げとメンテナンス[ フローリングガイドVol.3 ]
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「見た目」の違いだけじゃない。塗装仕上げの違いでメンテナンスの仕方が変わります。
このフローリング、うちで使える?[ フローリングガイドVol.4 ]
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遮音・床暖房・DIYで貼れるなど、フローリングを「機能」で選ぶ際のポイントは?
「技ありフローリング選び」のアイデア、 imageboxで見つけよう!

さまざまな空間事例や、「使用アイテム情報」を紹介している『imagebox』。

今回ご紹介した以外にも「技ありフローリング選び」のタグからユニークなアイデアたちを見ることができます。空間づくりの参考にぜひご覧ください。

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テキスト:岩崎