空間を仕切るために使われる「建具」。
単なる仕切りとしてではなく、光や視線を通すパーツ、そしてその先の景色を魅力的に縁取るフレームとして捉え直したら、家づくりはもっと自由になります。
家族の気配や外の景色をゆるやかに繋いだり、こだわりの造作でリビングの風景を象徴的に切り取ったり。間取りとセットで計画すれば、家の中に心地よい一体感を生むことも。
新築と違って窓回りを動かせないリノベーションでも、室内のドアのつくり方次第で広がりや奥行きを感じられたり、効果的に光を拡散させることができます。
間取りを考える際のヒントになるような、建具づかいのアイデアをお届けします。
暗い廊下に光を届け、広がりを生む。空間とセットでつくり込むガラスドア
窓のない廊下や玄関は、暗さや閉塞感が気になる場所。そこにリビングからの光を届ける大きなガラスドアを合わせれば、視界が奥まで抜け、実際の広さ以上の開放感が生まれます。
視界を遮らず一体感を高めたり、部屋の雰囲気と調和させたり。空間全体とセットで考えることで、その先への期待感を高める、象徴的な入り口がつくれます。
case1 角部屋の採光を玄関まで繋ぐ。廊下の景色に奥行きを生むガラスのリビングドア
3面に窓がある明るいLDK。光溢れる温かな雰囲気を、窓のない廊下や玄関にまで届けるため、大きなガラス面の木製引き戸を採用しました。
扉は梁下いっぱいまでのハイドア仕様。閉めていても視線が奥へと抜けるつくりです。床にレールが必要ない「上吊り」でリビングと地続きに繋げ、足元が伸びやかに続いていくような広がりを生み出しました。
隣接するドアや枠も、床の木肌のトーンと合わせて。ガラス越しにドアが美しく連なる様子が印象的です。光だけでなく、リビングの穏やかな空気まで運んでくれるような、心地よい一体感が生まれています。
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case2 ショップの入り口のような高揚感を。アイアンのガラスハイドア×モルタルで光を広げる
ビニルクロスは使わず、質感を徹底して大切にしたリノベーション事例。壁面は薄塗りシゴキ材、床は樹脂モルタルで仕上げられ、グレートーンで空間を統一しています。
エントランスとLDKの仕切りには、天井まで届くスチールとガラスの造作ハイドアを設置。住空間では珍しい両開き扉は存在感抜群!お気に入りのお店へ足を踏み入れるときのような、期待感を演出してくれます。
ガラスだけでなく、周囲の壁や床に光が鈍く反射することで、空間の奥までじんわりと光が広がります。ドア単体ではなく、周囲の素材感とセットで計算された、非日常感あふれるお出迎えの風景です。
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視界を広げてその先の風景を愛でる。ワイドなガラス引き戸やガラスパーテーション
続いて紹介するのは、さらに視界を広げ、一体感を高めてくれるガラス引き戸やガラスパーテーションを取り入れた事例です。
単に一枚のドアとして取り入れるのではなく、仕切る面積をワイドに広げる。そうすることで、その先の部屋を閉じずに家全体で愛でることができます。お気に入りの空間を大きく切り取り、一枚の絵画のような美しい風景として見せる工夫に注目です。
case1 団地の室内に縁側スペース!ガラス引き戸で障子越しの景色を縁取る
約50㎡の団地のリノベーション。柱と梁の間を襖で仕切っていた団地特有の空間構成を引き継ぎ、木製のガラス引き戸を使って、リビングの一角に縁側の様なスペースをつくり出しました。
透明なガラス越しに視界を繋げながらも、建具で窓辺をワイドに仕切ることで、そこだけ違う空気が流れているような、特別感のあるコーナーが生まれます。
ガラス戸の奥には、繊細な格子が美しい障子、さらにその先には街路樹の緑。シャープなフレームのガラス引き戸は、そんな移ろう風景を飾る額縁の様です。窓からの熱気や冷気を仕切る健やかな暮らしのための役割もしっかりと担っています。
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case2 軽やかなフレームのアイアンパーテーション。部屋を斜めに区切って“魅せる”間仕切りに
56㎡のマンションの一室。リビングと寝室を分けるのは、スッと伸びる細いラインがドラマチックな、アイアンフレームのパーテーションです。
パーテーションは部屋に対して斜めに設置することで、ガラス面を広く取っています。視線が対角線上にまっすぐ抜けるため、実際の面積以上の広がりと奥行きが生まれています。
ガラスの向こうに見える寝室のクローゼットには、表情豊かな木製のルーバードアを採用。アイアンのラインと重なる繊細なラインが、この家を象徴するような美しい風景をつくっています。
プライベートな時間を過ごす時には、薄手のカーテンを閉めるだけ。2つの空間に適度な距離が生まれます。カーテン越しに届く柔らかな光が、お部屋の雰囲気をさらに優しく変化させてくれます。
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ガラスだけじゃない。光を通し気配を繋ぐ「意外な素材」の造作建具
ここまで空間に広さと明るさをもたらすパーツとしてガラス建具をご紹介してきましたが、最後にお届けするのは、布やポリカーボネートといった「ガラス以外の素材」を使った造作建具の事例です。
家づくりを進める中で「明るさは欲しいけれど、視線はぼかしたい」「生活感を隠しつつ奥行きだけは残したい」という場所も出てくるはず。そんな時に思い出してもらいたい、ユニークなアイデアたちです。
case1 ガラス引き戸に、透け感あるレースを重ねる。通りの視線と光を淡くぼかして
3階建て分譲戸建てのリノベーション事例。玄関とリビングの間にインナーテラスを設け、光と風を家全体に取り込めるよう計画されています。
通りからの視線を和らげるため、間仕切りとなるガラス引き戸には透け感のあるレース生地を合わせました。柔らかな光と外の気配をぼんやり伝えてくれる薄膜のような境界線です。
視線が気にならない扉の上部には欄間を設けているため、引き戸を閉めた状態でも光が通ります。さらに等間隔に直付け照明が並び、夜は玄関とリビング、2つの空間を柔らかな明かりで繋いでくれます。
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case2 クローゼットの仕切りにポリカーボネートの造作建具。空間が続いていく奥行き感だけを残して
外部環境を家の中へ取り込むよう、多様な素材を散りばめた3人家族の住まい。リビングの一角に設けたウォークスルークローゼットは、ガラスより軽量な中空ポリカーボネートの造作扉で仕切りました。中身を程よく隠しつつ、光と視界の抜けを両立させています。
その下のタイルの塊は、実は内部が服の収納に。作業台としても使うリビング側は、圧迫感を無くすために光を反射する、淡い水色の艶ありタイルで仕上げました。
さらにユニークなのが、一部の壁を斜めにして鏡貼りにした仕掛けです。床面が鏡に映り込むことで、空間が折れ曲がり、もうひとつ奥に空間が続いていくような、不思議な感覚が生まれています。
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