Vol.1では、色や木目、板幅、柄などを手がかりに、「自分はこんな床が好きかもしれない」という好みを探ってきました。好きなフローリングの方向性が見えてきたら、次に考えたいのが「その床を空間にどう取り入れるか」です。
同じフローリングでも、貼り方や向き、家具や壁・天井との組み合わせによって、見え方は大きく変わります。
Vol.2では、選んだ床をより自分らしい空間に仕上げるために、フローリングの貼り方や向き、周囲の素材との合わせ方を紹介します。
toolboxの設計施工チーム、TBK(ツールボックス工事班)の親方。フローリングの開発・セレクトも担当する。一番好きな貼り方は「朝鮮貼り」。
同じ床でも表情が変わる「貼り方」
フローリングは、木の種類や色だけでなく、板をどう並べるかによって見え方が変わります。同じようなフローリングでも、貼り方を変えるだけで、すっきり整って見えたり、床そのものに個性が生まれたりします。
使いたいフローリングが見つかったら、どんな貼り方ができるのかまで考えてみると、同じフローリングでも、より自分好みの見え方に近づけることができます。
乱貼り
継ぎ目がランダムな位置にくるように貼る方法です。継ぎ目が不規則に並ぶことで、木そのものの自然な表情が引き立ちます。材の無駄が少ない貼り方です。
りゃんこ貼り
板の継ぎ目を一定の間隔でずらして貼る、昔からの王道の貼り方です。規則性がありながらも動きのある見え方に。板の長さが一定の定尺フローリングの場合に採用されることが多いです。乱貼りに比べるとロスが出やすいため、近年は乱貼りのほうが定番になりつつあります。
すだれ貼り
同じ長さの板を平行に並べていく貼り方です。継ぎ目まで一直線に揃うため、りゃんこ貼り以上に整然とした印象になります。
朝鮮貼り
平行に並べた板の間に、直交する板を一定間隔で挟み込む貼り方。規則性の中に変化が生まれ、床そのものが印象的に見えます。短い木材を無駄なく使える手法として、朝鮮半島から伝わった技法と言われています。
ミックス貼り
異なる板幅を混ぜて貼る方法もあります。幅の違う板が並ぶことで一定ではないリズムが生まれ、床そのものに表情が加わります。
「板の形」と「向き」で変わる床の見え方
縦に長く伸びるラインが特徴的な長尺のフローリングは、長さを強調する視覚効果が狙えます。空間の長手に対して平行にはると、ラインが奥へ伸び、空間をより伸びやかに見せることができます。
ただし、「この向きに貼るのが正解」という決まりがあるわけではありません。部屋の長手方向に合わせるほか、窓からの視線やリビングからダイニングへ抜ける方向に合わせたりと、「どこへ視線を導きたいか」を基準に考えてみましょう。
狭いスペースなどで長手方向がはっきりしない箇所は、他の空間との連続性を考慮しながら向きを決めていくのが良いでしょう。
また、バルコニーにデッキを貼る場合、隣接する部屋のフローリング方向に合わせて貼ると、部屋が繋がっているように見え、空間に広がりが生まれるのでおすすめです。
一方で、正方形のパーケットは、向きによる印象の違いが生まれにくく、長尺フローリングほど「どちら向きに貼るか」を意識しなくてよいです。家具や壁材などと同じ樹種や色味でも、幾何学模様になっていることで単調さを軽減し、空間にメリハリを生み出す効果も。
壁・天井、家具と合わせるコツ
貼り方や向きのほかに、空間に使われる他の素材の合わせ方でも、フローリングの見え方は変わります。
特に悩ましいのは、床以外にも木を取り入れる場合。フローリングと家具や壁・天井材のバランスをとるポイントをお伝えしていきます。
木を取り入れるバランスについては、こちらのコラムも参考にどうぞ。
木の天井・壁との合わせは「線」×「面」で考える
床や天井など、床以外の広い面積にも木を取り入れるときは、「線」と「面」で捉えてみるとバランスを考えやすくなります。
ここでいう「線」は、板の継ぎ目によって方向性が強く見えるもの。「面」は、方向性よりもひとつの大きな素材として見えるものを指します。先述したように、板状のフローリングは縦長の視覚効果が生まれる「線」の特徴があり、パーケットはラインの特徴は弱く「面」として捉えられます。
迷ったときは「線」×「面」、あるいは「面」×「面」で組み合わせてみると、バランスを取りやすくなります。
例えば、床が板状のフローリング「線」には、天井は合板貼りで「面」で合わせるといった具合です。
正方形のパーケットなら床は「面」として見えやすいため、長尺タイプの天井材を合わせても、木の印象がぶつかりにくくなります。
フローリングと家具の色は、揃えなくていい
部屋の統一感を考えると、フローリングは手持ちの家具と同じ色にした方がいいと思われがちですが、必ずしも揃える必要はありません。
むしろ、色のトーンや木目、ツヤ感に少し違いがある方が、それぞれの存在感が引き立ちます。
また、木の要素が多くなりすぎたと感じたら、ラグなどのファブリックを挟むことで、床と家具の木の印象をほどよく分断することもできます。
フローリングは、選んだ商品だけで空間の印象が決まるわけではありません。どんな貼り方にするか、どの方向へ向けるか、家具や壁・天井とどう組み合わせるかによって、同じ床でも見え方は変わります。
「この貼り方が好き」「この方向に伸びて見せたい」「家具とは少し色の差をつけたい」。そんなふうに、自分が心地よいと思う空間を少しずつ言葉にできれば、設計者や施工者ともイメージを共有しやすくなります。
次のVol.3では、木の種類によって異なる色や木目、質感を見ながら、自分に合ったフローリングをさらに掘り下げていきます。