これからの暮らしを考えたとき

娘さん二人が独立し、ご夫婦二人で過ごす時間が増えた今回のお住まい。これまで仕事や子育てに忙しく、住まいについてじっくり考える機会はあまりなかったそうです。

実はリフォームを考え始めたのは数年前。ショールームにも足を運んでいましたが、「この家にこの先も住み続けるのか」という迷いもあり、そのときは決断には至りませんでした。仕事をリタイアし、少し長い旅行へ出かけたり、これからの暮らしについて夫婦でゆっくり話す時間が増えるなかで、気持ちにも変化が生まれます。

「やっぱりこの家を、自分たちにとってもっと心地よい場所にしたい。」

長年住み慣れた場所への愛着を改めて感じ、この住まいでこれからの時間を楽しんでいこうと決めたことが、今回のリノベーションの始まりでした。

奥様はピラティスや手芸、ご主人は写真と自転車が趣味。さらに、お二人には料理という共通の楽しみがあります。時間の使い方が変わるなかで、住まいに求めるものも少しずつ変化していきました。使いづらさを感じていたキッチンや玄関、収納、そして長年使ってきた設備や床材。

これから先の暮らしを見据えたとき、「今の暮らしに合わせて住まいも整えたい」という思いが、少しずつ形になっていきました。

 

1階と地下の2層で構成されたメゾネットタイプのマンション。

間取りは大きく変えず、それぞれの空間の役割を見直すことで、暮らしに合った住まいへとアップデートしました。

ご夫婦が大切にしたかったのは、料理を楽しむ「2人の時間」

毎日の食事づくりはもちろん、2人でキッチンに立つ時間も多いというご夫婦。友人を招いて食事を楽しんだり、娘さんたちが帰省した際にはみんなで食卓を囲んだりと、料理は暮らしの中心にある時間でした。

一方で、以前のキッチンは壁に囲まれた独立型。調理に集中できる反面、二人で作業をするには少し窮屈で、リビングやダイニングとのつながりも感じにくい空間でした。

Before:リビングダイニングからみるキッチン。キッチン空間は壁で仕切られていました。

ご夫婦の暮らしを紐解いていくなかで見えてきたのは、キッチンのあり方を見直すことが、これからの暮らしをより心地よくする第一歩になるということでした。

After

壁に囲まれていたキッチンを開き、リビング・ダイニングとゆるやかにつながるレイアウトへ。2人で並んで料理をしたり、来客と会話を楽しんだりと、料理の時間そのものを楽しめる空間になりました。

キッチンに立つ人だけの場所だった空間は、家族や友人が自然と集まる場所に。ご夫婦にとっての「2人の時間」を心地よく過ごせる居場所になっています。

今までの暮らしから見えてきた自分たちらしい「収納計画」

料理を楽しむお二人にとって、キッチンの使いやすさを左右するのは「収納のあり方」でした。

収納でありながら、キッチンの景色をつくる存在でもあります。

和食器、洋食器、季節ごとの器。料理を楽しむお二人だからこそ、収納したいものもたくさんありました。

床材は近日発売開始予定の床タイル。汚れをあまり気にせず使えるようにとタイルを選択。キッチン空間にまとまりを持たせるために、赤色を採用しました。

計画にあたっては、持ち物を見直しながら「何をどこにしまうか」を整理。それぞれに必要な収納量を確認し、サイズを測りながら収納のかたちを検討していったそうです。

収納計画のために書き込まれた奥様の手書きメモ。

調理家電はもちろん調味料やタッパー、日常使いの器から特別な日に使う器まで、それぞれの定位置をつくり、使いやすさと片付けやすさを両立。

キッチンと素材を揃えた造作収納は空間にも自然に馴染み、一体感のある仕上がりとなりました。

レンジフードは『薄型レンジフード』、壁には『T番タイル』、水栓は『ハンドホース水栓 』を採用。

百聞は一見に如かず。見学会で得た気づきとイメージ

今回のキッチン計画で、ご夫婦が最後まで悩んでいたのが、既製品にするか、造作にするかという選択でした。

本当は、オーブンの位置や引き出しの配置を自分たちの使い方に合わせて決められる造作キッチンに魅力を感じていたそうです。一方で、既製品と違って完成形を事前に確認できないことに不安もありました。

そんなときに見学したのが、ちょうど工事が進んでいた別のTBKの現場。実際に造作で作られたキッチンの引き出しを開け閉めしてみたり、カウンターや木の質感に触れたりしながら、図面やサンプルだけでは分からない使い心地を体感しました。

家具職人がつくる収納の操作性や素材の表情を自分たちの目で確かめたことで、「これなら安心してお願いできる」と感じたそうです。

その後、背面収納も含めて造作する方向で計画を進めたことで、オーブンも理想としていた位置にすっきりと納まりました。

現場見学が背中を押した造作家具。収納の把手は『アングル把手』を採用。

また、設計中には、ツールボックスの定額制パッケージリフォーム「ASSY」の内覧会にも参加しました。

見学したのは、完成から約1年が経った実際のお住まい。自宅への採用を検討していたラワン材の質感や経年変化、空間全体の雰囲気を体感しながら、理想の住まいのイメージを膨らませていったそうです。

図面や素材サンプルだけではわからないことも、実際に人が暮らす空間を見ることで納得できることがあります。住まいづくりを進めるなかで、そんな体験がご夫婦の意思決定を後押ししてくれました。

「1人の居場所」と、これからの余白

そして今回のテーマは、「2人の時間」だけではありません。

ご主人は写真や自転車、奥様はピラティスや手芸が趣味。それぞれに楽しみがあり、一人で過ごす時間もまた暮らしの大切な時間です。

だからこそ私たちが考えたのは、家族や友人と過ごす場所だけでなく、それぞれが自分らしく過ごせる居場所を住まいの中につくることでした。

中でも特徴的なのが、玄関から土間続きに広がるスペースです。

玄関から続く土間スペース。壁には『ホテル金物』や『棚受け金物』『メタルハンガーライン』を組み合わせ、使いやすい収納を計画しました。

ここは、ご主人の自転車を置いたり、ご夫婦のゴルフバッグを収納したりする場所。以前は玄関に置かれていた自転車が出入りのたびにストレスになっていましたが、土間を設けたことで玄関まわりにもゆとりが生まれました。

さらに、娘さんたちが帰省した際の居場所として、友人を招いたときの客間としても活躍します。用途をひとつに決めず、その時々の暮らしに合わせて柔軟に使えるよう計画されています。

「1人の居場所」として計画した、ご夫婦それぞれの個室。

地下には夫婦それぞれの個室を設けました。

それぞれの広さは6畳ほどあり、地下でありながらドライエリアに面しているため、やわらかな自然光が差し込みます。
趣味を楽しんだり、本を読んだり。家の中にいながら、ひとりになれる場所も大切にしました。

地下には広々と使える夫婦共通のウォークインクローゼットを配置。ハンガーパイプは『メタルハンガーライン』を使用。

収納計画も、今回のリノベーションで大きく見直したポイントです。

使いづらかった造り付け収納は思い切ってなくし、ウォークインクローゼットや土間収納へ役割を集約。収納場所を整理したことで、それぞれの部屋や廊下にもゆとりが生まれ、住まい全体がすっきりとした印象になりました。

今の暮らしに合わせるだけでなく、これから先の変化も受け止められるように。一人の時間も、誰かと過ごす時間も、その時々の心地よい距離感で選べる住まいとなりました。

これからの暮らしを楽しむために

子どもの独立や仕事を終えたことは、ひとつの節目ではありますが、その先に続く新しい暮らしの始まりでもあります。

洗面所も暮らしに合わせてアップデート。キッチンと素材を揃えたラワン材が、住まい全体をゆるやかにつないでいます。

住み替えるか、この家で暮らし続けるか。

床材は『リフォームフローリング』を採用。毎日目に入り足に触れる床材まで丁寧に選び直したことで、住まい全体が少しずつお気に入りの場所へと変わっていきました。

長く悩んだ末に選んだのは、住み慣れたこの家を、これからの暮らしに合わせて整えるという選択でした。
2人で料理を楽しむ時間。それぞれが趣味に没頭する時間。家族や友人と集う時間。そして、ときには一人で静かに過ごす時間。

住まいの役割を見直したことで、これからの日々を心地よく楽しめる場所へ。
ご夫婦の思いが詰まった、これからの暮らしを育てていくためのアフターリフォームとなりました。

現場からは以上です!

担当:矢板/テキスト:東

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