1960年代のアメリカのダイニングテーブルや、ヴィンテージの食器棚、学生時代に買った照明や友人作のテーブル、実家から引き継いだ雑貨など、長く愛用しているアイテムたちと暮らすKさんファミリー。

マイホームを叶える方法に、中古マンションリノベーションを選んだのは、「手持ちの家具が新築マンションの雰囲気に合わない」という理由から。購入したのは、東京都大田区にある63㎡のマンション。リノベーション前は3LDKの間取りだった住戸を、1LDK+WICの住まいに一新しました。

Kさんファミリーは、夫婦+子ども1人の3人暮らし。お子さんはまだ小さいとはいえ、個室を1つにしたのは、「広々と使える空間」を優先したため。

家具の位置は固定するものではなく、その時の気分や子どもの成長に合わせて変えていくもの。そんな考え方から、部屋を細かく区切らない、家具のレイアウトの自由度が高い間取りにしました。

手持ちの家具や雑貨が主役になるよう、内装はシンプルに。

床は、ナラフローリングを木部用オイル『ルビオモノコート』のダークオークで塗装して、ヴィンテージな風合いに。天井や梁はコンクリートの躯体現しをグレージュで塗装して、倉庫のようなラフ感漂う空間に仕上げました。

子どもが小さい家庭では対面キッチンが人気ですが、壁付けキッチンにしたのも、家具をレイアウトする自由度を上げるため。

インダストリーな雰囲気漂うステンレスキッチンは、夫のリクエスト。レンジフードは『薄型レンジフード』のステンレス、コンロは無骨な鋳物製の五徳が特徴の『プラスドゥ』を合わせました。コンロ上に取り付けたツールバーは、レールが太めの『オーダーマルチバー』を使っています。

愛用しているヴィンテージのダイニングテーブルや食器棚は海外製で大きく、部屋が細かく区切られた間取りではうまく収まらないことも、中古マンションリノベを選んだ理由でした。

ダイニングテーブルはエクステンション式で、広げると幅は約150cmに。友人を招いて食事やお酒を楽しむことも多いKさん家族にとって、この大きなテーブルは暮らしに欠かせない存在です。

リビングと寝室は、造作した大きな木の引き戸で仕切りました。

建具というより「木の壁」のような存在感に仕立てることで、家具と空間を調和させています。

この大きな引き戸は引き違いになっていて、引き戸の開け方で寝室とのつながり方を操作できるのもポイント。全開にすればLDKとの一体感が高まり、一層広々と感じることができます。

開口部分が大きいことは、大型の家具を出し入れしやすいメリットもあります。

実は、個室を1つだけにした理由はもうひとつありました。それは、お子さんに個室が必要な時期が来たら、住み替えることを視野に入れていること。広々としたLDKづくりを優先した背景には、そうした考えがありました。

とはいえ、個室は2つに分けることもできる広さを備えており、家族の状況にフレキシブルに対応できる設計になっています。

住み替え前提での家づくりではあるものの、設備機器は「暮らしやすさ」を支えるものとして、慎重にセレクト。

当初はこだわりを持っていなかったトイレですが、デザイン的にはタンクレスが良かったものの、築年数の古いマンションの場合、タンクレスだと水圧不足になる可能性があったため、一般的なタンク一体型を採用しました。

洗面台は、モールテックスで造作したカウンターに、理科室や病院などで使われる大きな陶器製シンクを埋め込んでいます。

リノベーションした家に住み始めてから1年で、すでに幾度もの「模様替え」をしているというKさん。

お子さんが幼稚園に行っている間や、子どもが実家に泊まりに行っている間に行ったりと、「考えられるレイアウトパターンはほとんど試した」と話します。幼稚園の夏休み中にはリビングにテントを立てて、気分転換を楽しんだこともあるそう。

そんなふうに、家具を頻繁に動かしたり、収納用品を活用することを前提に、造り付けの収納をほとんどつくらなかったことも、この家の特徴。

日当たりの良いリビングの一角は、現在はキッズスペースに。ソファの背面にレイアウトすることで、おもちゃを広げっぱなしにしていてもリビング側からは視界に入らないようにしています。

おもちゃの収納に使っているラックとコンテナボックスは、この家に住み始めてから購入した数少ない家具のひとつだそう。

ヴィンテージのダイニングテーブルや食器棚以外のアイテムも、昔から連れ添っているものばかり。

キッチンの作業台は、妻が大学時代、友人に作ってもらったもの。ダイニングに置いたオープンシェルフも同じご友人が制作しており、土鍋やカゴを飾るように収納しています。

キッチン上に取り付けた収納もオープンシェルフにして、お気に入りの器やカップを眺めて愛でる楽しみをつくりました。

頻繁な模様替えについて、「常に新鮮な気持ちで暮らせるので良いですよ。家具を動かすとホコリも掃除できて、部屋を綺麗に保てるのもメリット」と話すKさん。重量のある家具は、「カグスベール」というすべり材を底面に貼ることで、動かしやすくしているのだそう。

「気分や暮らしに合わせて空間を変える」と「ライフステージに合わせて家を替える」。暮らし方や住まいは固定的なものではなく、変わっていくものであり、変えていっていいもの。そんなふうに、「変わること」をポジティブに受け入れながら住まいを楽しむことを、教えてくれる事例です。

EcoDeco

EcoDeco

株式会社Style&Decoが運営するリノベーションブランド。中古マンションの仲介から資金計画、リノベーションにまつわるあらることをトータルにサポートしています。コーディネーターは、不動産探しから設計まで一貫して担当できる不動産と設計のプロ。「住まい手の暮らしに合わせたオーダーメイド」のリノベを得意としています。

テキスト:サトウ

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