ショールームの展示は、一度つくったら終わりではありません。スタッフが自ら手を入れて、日々更新し続けています。この連載に込めた想いや意気込みは、こちらのコラムも合わせてご覧ください。
ショールームの床、塗ってみます
皆さん家づくり妄想してますか〜?大阪ショールームスタッフのあやのんこと大迫です。
今回目をつけたのは、大阪ショールームの一角に展示している『パーケットフローリング』。寄せ木細工によってパターンをつけた、39cm角の正方形のフローリングで、1枚の板の中に、複数枚のオークが寄せ木貼りされています。一般的なフローリングとはひと味違う、デコラティブな表情が魅力。
大阪ショールームがオープンした2023年10月から約3年。この「パーケットフローリング」は、当初からあえて無塗装のまま展示してきました。汚れに強いUVオイル塗装を施したものもありますが、ここでは木そのものの色合いや質感、経年による表情の変化など、素材そのものの魅力を感じてもらいたかったからです。
今回は、アンティークやビンテージ家具の展示企画をきっかけに「家具に似合う床にしてみよう」と思い、フローリングを塗装してショールームを模様替えすることにしました。
素材そのものを見てもらう展示から、「塗装するとどう変わるのか」「家具と合わせるとどんな空間になるのか」まで体感してもらえる展示へ。そうすることで、フローリングの可能性を広げたいと考えました。
色選びどうする?
塗装すると決めたら、次に考えるのは色選びです。
まず取り組んだのが、空間のイメージを描くこと。どんな暮らしをしている人なのか。どんな家具やインテリアが好きなのか。そんなことを妄想しながら、空間に合う色を考えていきました。
「パーケットフローリング」は、対角に「X」を描くように貼られた特徴的なパターンで、複数枚並ぶことでリズムのある表情を生み出します。その上に置くものも、不思議と美術品のように見せてくれます。
その魅力を活かし、今回展示する家具や雑貨を、より引き立ててくれるような床にしたい。そして、ひとつひとつの色使いや形、繊細なディティールが埋もれずに見えてくるような空間がいい。それぞれに個性のあるものたちをまるっと受け止めてくれる”懐の広い色”ってどんな色だろう。
そうして妄想を重ねていくと「家具の輪郭を際立たせてくれる、深くて濃いめの床が合いそう!」という方向性が見えてきました。
とはいえ、「濃いめ」と一言でいっても色味はさまざま。塗料によっても仕上がりは大きく変わります。
…正直、塗ってみないと分からない!
ということで、まずは39cm角のフローリングを1枚用意し、試し塗りをしてみることにしました。
ショールームの「ミキシングバー」で試し塗り
今回試し塗りに活用したのは、ショールーム内の「ミキシングバー」。toolboxで扱っている塗料を展示しており、実際に試し塗りができるスペースです。
塗りたいものを持ち込むこともできますし、toolboxで端材を用意しているので手ぶらでもOK。刷毛やウエス、ゴム手袋なども揃っているので、その場で気軽に塗装体験ができます。
今回の試し塗りで候補に挙がったのは、3種類。
・『ルビオモノコート チャコール』
・『ルビオモノコート ブラウン』
・『ワトコオイル エボニー』+『ワトコオイル ナチュラル』(1:1ブレンド)
今回はバラ売りの39cm角1枚を使って試し塗りを行うため、マスキングテープで塗装面を分割し、それぞれ異なる塗料を塗ってみました。
ここで、私の大雑把な性格が顔を出します。「ルビオモノコートブラウン」と「ワトコオイル」は新しいものを使いましたが、「ルビオモノコートチャコール」だけ、2年前に開封し、その後バックヤードに保管していたものが残っていたので、そのまま使っちゃいました。(本来はしっかり密閉して保管すれば数ヶ月〜1年程度は使用可能ですが、今回はその推奨期間を大きく超えた状態でした。)
塗ってみると、かなりマットな仕上がりに。木目の表情がつぶれてしまって、「パーケットフローリング」ならではの寄せ木の雰囲気があまり出ていません。
「これはさすがに変やでー!」と他スタッフからのツッコミも入り、新しいチャコールでもう一度塗り直すことにしました。改めて塗ってみると、発色や透明感がまったく違います。
同じ塗料でも、開封からの時間でここまで変わるのかと驚きの結果に。横着して大反省です。しかし、実際に試してみないと分からなかった気づきでもありました。やっぱり試し塗りって大事なんですね。
色の最終チェック
気を取り直して、塗装予定のEdit roomの「パーケットフローリング」の上に置いて色を比較してみました。
光の当たり方によっても見え方が変わり、床として見たときの印象がまた違って見えます。日中の太陽光や、夜の照明など、時間の経過で表情の違いを楽しめそう。塗装って、奥深い。
さらに、雰囲気を掴むためにAIで合成画像も作成。全体に塗った時の見え方が、これでだいぶ掴めました。
こうした試し塗りや合成画像をもとに、東京・大阪のショールームスタッフでのミーティングで再度検討しました。
「濃い色って、ちょっと選ぶの勇気いるよね」
「実際、選んでもらえるかな」
「でも、家具と合わせて見たら印象が変わるかもしれないね」
「実物を見ると、思ってたよりいいじゃん!ってなりそう!」
そんなやり取りを重ねて、今回のカラーは「ルビオモノコート チャコール」に決定!
色が決まれば、次は必要な塗料の量を計算します。床の面積から必要量を割り出し「100mlあれば足りそう」との計算に。塗料と道具を注文し、準備を進めます。
いよいよ塗装!
一度もフローリングへの塗装経験がない初心者のため、今回はhow to 記事「一度塗りでOK!「ルビオモノコート」を塗ってみた」を片手に挑みます。
まずはヤスリがけから。
ちなみに手作業をしていると、他のスタッフから「ホームセンターでサンダー借りれるで」との情報も。サンダーを使うと、ヤスリがけを短時間でこなせるんだそう。そんな方法もあったとは、知りませんでした。
続いて、マスキング作業。
今回厄介なのが、「パーケットフローリング」に隣接している『ウールカーペット』。すでにしっかりと下地に固定されているため剥がすことができず、塗料がはみ出さないよう慎重にマスキングテープを貼っていきます。地道だけどここを怠ると後戻りできない、大事な工程。
ちなみに、通常の施工現場では、フローリングを先に仕上げてから、カーペットを施工することが多いらしく、ここまで養生を気にするケースはあまりないそう。今回は、気をつけて塗るしかない…!テープを剥がした後に、はみ出ていないことを祈ります。
いよいよ塗装スタート。
コテバケを使って塗っていきます。思った以上にパワーが必要で、翌日には右腕が筋肉痛になりました。
順調に塗り進めていたら、終盤で事前に計算していた塗料量が足りなくなるという事態が発生…。最初に少し厚く塗りすぎたのかもしれません。この日は、冒頭に紹介したミキシングバーの展示品を少々拝借して、なんとか乗り切りました。
こうして、塗装完了!
丸2日ほど乾かした後、マスキングテープや養生を撤去していきます。
はみ出しを心配していた「ウールカーペット」との境界線も、汚さずにばっちり塗れました。
ついに完成!
「めっちゃいい感じ!」
思い切って濃い色味を選びましたが、内心は「木目が潰れて見えないか」「渋い印象にならないか」という心配もありました。
でも、仕上がりを見てひと安心。想像以上に寄木細工の表情がしっかりと残り、「濃い色でもこんなに繊細さが感じられるんだ」と、「パーケットフローリング」の魅力を改めて実感しました。
ビフォーアフターで見ると、その変化は一目瞭然。今までは無塗装で、木そのものの質感を活かした優しい雰囲気の空間でしたが、塗装したことで印象が大きく変わりました。
深みのある色が入ったことで、「個性のある家具や雑貨を受け止めてくれる、懐の広い色」という最初のイメージに近づけた気がしています。
手をかけた分だけ愛着も湧いてきて、ショールームでご案内中も、ふと目に入るたびに口元が緩んでしまいます。
実際に展示をご覧になったお客様からは、「雰囲気がぐっと変わりましたね」「隣のウールカーペットとの組み合わせもかわいいですね」と声をかけていただくこともあり、スタッフみんなで喜んでいます。
大阪・中津ショールームでは、今回塗装した展示だけでなく、無塗装やUVオイル塗装の「パーケットフローリング」も並べてご覧いただけます。
また、壁材やタイルなど、気になる商品を実際に持ってきて組み合わせることもできます。そこにお気に入りの家具を思い浮かべながら、自分らしい空間をぜひ妄想してみてください。
7月 PICK UP展示&POP UP STORE「木の床と、好きな家具」
さて、今回塗装したパーケットフローリングの上では、7月10日(金)〜7月19日(日)の期間中、アンティークやビンテージの家具を扱うショップによる家具・インテリアアイテムの展示を行います。
また、POP UP STORE の期間を除く、7月3日(金)〜8月29日(土)の期間中は、ショールームスタッフが考えた家具やインテリア小物と合わせた展示も行います。
詳細については、こちらのコラムもご覧になってください。
今回塗装した「パーケットフローリング」との組み合わせも、ぜひお楽しみください。
ご来場をお待ちしております!