築34年の80㎡。ご夫婦とお子さんの3人家族の住まいです。
部屋数は十分にあるものの、設備の老朽化や細かく区切られた間取りによる使いにくさが気になり、フルリノベーションを行うことになりました。
ご要望の中心にあったのは、部屋を増やすことよりも、収納を充実させて暮らしを整えること。まだ小さいお子さんとの生活のなかで、日々の家事をどう効率よく回し、どうやって目を離さずに過ごせるかが、住まいづくりの大きなテーマでした。
子育て真っ最中の今は、とにかく家の中での移動が多くなります。
洗濯、片付け、料理をしながら、同時に子どもの様子にも目を配る。そんな日常を少しでもラクにするために採用したのが、8の字状の回遊動線でした。
行き止まりのない動線計画により、家事をしながら家の中をぐるりと回れる構成に。
リビングを中心に各スペースがゆるやかにつながることで、どこにいても家族の気配を感じられます。
玄関を入ると、タイル床の廊下がまっすぐに伸びていきます。奥まで見通せるつくりによって、家に足を踏み入れた瞬間から空間の広がりを感じられ、自然とその先へ進みたくなるような期待感が生まれます。
下足棚の向こうにはウォークスルークローゼットがあり、玄関からダイレクトにアクセスできます。
キッチンは、『木製システムキッチン』のシナを採用し、シナ合板とフレキシブルボードで造作したキッチンカウンターを組み合わせました。合板という汎用性の高い素材でできた木製システムキッチンの特徴を活かしたアイデアです。
キッチンのリビング側にも、素材を揃えた収納を設置。日常使いのものがさっと片付くように工夫しています。
玄関とリビングをつなぐ廊下には洗面スペースを配置し、家族みんなが使いやすいようにしました。収納付きのミラーを採用することで、洗面まわりの細々としたものを納め、生活感を抑えたすっきりとした印象にしています。
リビングは大きな窓からたっぷりと光が入り、キッチン、リビング、フリースペースまで見通しの良いつくり。廊下から続くタイルがリビングまで伸び、空間に一体感をもたらしています。
ラワン合板の壁は、角部を曲面にすることで空間にやわらかさと奥行き感をプラス。リビングドアにはクリアガラスの引き戸を採用し、視線の抜けと明るさを保っています。
LDKの一角には、当面は子どもの遊び場として使うフリースペースを設けました。床の仕上げはオークのフローリングに切り替え、足触りや雰囲気に変化を持たせました。
窓辺には、クッションマットを敷いたヌックを造作。腰かけて絵本を読んだり、大人が少し一息ついたりできる場所です。
こちらのフリースペースは、将来的には寝室や書斎として使うことも想定し、間仕切りは壁ではなくカーテンを採用。
用途を決めきらないことで、暮らしの変化に合わせて変わっていける余白を住まいに残しています。
浴室の脱衣スペースはバルコニーとつながる位置に配置し、必要な収納ボックスがきちんと収まるように計画。洗濯や物干しまでの動線もスムーズで、日々の家事を支えてくれます。
トイレは収納扉などの木部に合わせ、『木のペーパーホルダー』を採用。
落ち着きのある、居心地のよい空間に仕上げました。
ヌックでくつろぎながら、横で遊ぶ子どもと会話ができる。回遊動線を子どもが元気に走り回っている。
そんな何気ない日常の風景をとても気に入っているそうです。
「今」をラクにするために考えた間取りは、結果的に「これから」の暮らしも寛容に受け止めてくれる住まいになっていました。家事が滞りなく回ることで生まれた余白が、家族との時間をより豊かにしてくれています。
atelier thu
大学時代を共に過ごした3人の建築家が主宰する神戸の設計事務所。
住む人の「思い」を3人の視点で多角的に捉え、つくる人もこの思いを共有することで、
「心地よさ」を直感する住まいを目指しています。
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