閑静な住宅街の丘の上、築30年ほどの集合住宅の１室。不動産業のお客さまはtoolboxのカタログもお持ちでいてくださり、以前から商品も使ってくださっていたそうです。今回はぜひにとツールボックス工事班｜TBKに設計施工のご依頼をいただきました。
物件はRC壁式構造のため、大きな間取りの変更はできません。キッチン、洗面、洗濯機置場といった水回りの動線を再編成し、広々としたLDKをメインとした空間へとリノベーションしました。
Before：RC壁式構造のため大きな間取り変更は不可の物件。
水回りの課題は２つ。壁に囲まれたキッチン室の閉塞感、それから洗面脱衣室の狭小感をなくすことがあげられました。
Before：壁に囲まれたキッチン（左）、洗濯機置場と洗面台でいっぱいの洗面脱衣室（右）。
まずキッチン。キッチンと和室の間の壁は躯体ではなかったので 和室を解体して壁を撤去することができました。押入があった場所には対面式のキッチンを新設して、和室だった場所はダイニングに。リビングダイニング側に開けたカウンターキッチンとしました。
キッチンの腰壁には『クラシックリブパネル』の「チューブ」を貼り上げて、家具らしい見せ方に仕上げています。人工大理石で制作した天板はカーブを描きながらリビング側にも延長させて、カウンターとしての機能も持たせています。
人工大理石の天板、ダイニング側にもリビング側にも広々なカウンターです。キッチン水栓は『ハンドホース水栓 』でスタイリッシュに。
『クラシックリブパネル』の「チューブ」は、パネルに「曲げ加工」を施して曲面に貼っています。
今回は、パネルの裏面にあらかじめ深さ５㎜ほどの溝を掘って、曲げやすくしました。
その後は、裏にボンドを塗ったパネルのサネ同士をはめ込みながら、フィニッシュネイルと呼ばれる釘で固定して、貼り付けています。
ボンドが持つ伸縮性のおかげか、曲げても割れにくくなっている感覚はありましたが、無垢材でできている『クラシックリブパネル』は本来固いもの。“絶対に割れない”というわけではないので、曲げ加工を施す際は、そのリスクに考慮して材を多めに確保するなどして臨んでいただけたらと思います。
とはいえ、この方法以外にも曲げ加工の方法はあるので、施工会社や職人さんと相談してみてください。
キッチンダイニングとリビングの間には躯体（梁と一部壁）があります。壁天井は基本白クロスで仕上げていますが、この躯体壁は左官で質感ある仕上げにして、空間のポイントにしました。ダイニングとリビングはこの質感ある壁で隔てられながら、キッチンのボリュームがこの２つの空間を繋げる役目もはたしています。
リビング側に延びたキッチンカウンターの上部には『インダストリアルアームライト』を取り付け、リビング側の演出にも一役買っています。ダイニング側にはハイスツールを置いて使い勝手も良く。
壁に囲まれたキッチンを解放して、華やかな家具的な存在としてのキッチン。LDKの中心となるしつらえとなりました。
質感ある躯体壁をキッチン天板が飲み込みながらリビング側にぐるりとカウンターになっています。
次に洗面脱衣室。１人〜２人暮らしであれば問題のない広さでした。ただ80㎡ともなるとファミリー層が暮らす可能性も。洗面と脱衣、さらに洗濯の機能を持たせるにはちょっと狭小です。なので洗濯機能はキッチン側に移設。洗面と脱衣のみとすることで、一面広々の洗面カウンターを制作しました。
人工大理石のカウンターは、『壁付けセパレート混合水栓』とアンダーカウンター式洗面器ですっきりと見せています。カウンター下には引き出しを設けて、足元もすっきり。床はビニルタイル、目地に１方向のみシルバー色を入れアクセントにしています。ミラーは少しだけ浮かして設置して、陰影を作りました。
洗面カウンターの背面には奥行き200mmの棚を設置、お風呂に入る時に脱衣した服などの仮置場として。床に近い『ハンガーバー』は、足拭きマット用として。
洗面脱衣室にあった洗濯置場はキッチンの背面、冷蔵庫の並びに移設しました。キッチンの背面からそのまま廊下とつながる引戸を新設したので、浴室とのアクセスも良好です。
洗濯物を干す時に使うのは頭上のハンガーパイプ、干す道具の収納には梁下のハンガーパイプを。洗濯機上には洗剤などを置ける棚板も設置して、機能はばっちりです。
キッチン背面の洗濯スペース。
キッチンはシンプルでフラットな『ユニキッチン』をセレクトしています。
ベース照明は、キッチン室に『シーリングスポット』、洗濯スペースに『シーリングダウンライト』となっています。
水回りの他はポイントをしぼって改装しています。
玄関には、ゆったり幅をとった天板に収納。左側には傘掛け用のスペースも作りました。
『オーダー玄関収納』でお好みのサイズの天板と収納をセレクトできます。
天板を大きくとって、収納と壁の隙間にハンガーパイプを取り付けました。
玄関正面には飾り棚とブラケットライトを設置しました。季節のものや好きなものを飾って、我が家を演出してもらいたいです。
グレーの棚に『タイニーブラケット照明』で演出。
こちらは和室だった個室。床を畳からオークの『スクールパーケット』に更新。出入り口の引戸と押入の収納扉は、既存の木枠を利用しながら表層の襖紙を貼り替えています。和室の名残がアクセントとなりました。
『スクールパーケット』と木枠にくすんだ青の扉の組み合わせがモダンな印象。
２つ目の個室は床をカーペットタイルに更新、収納扉も壁天井と合わせて白塗装で仕上げています。シンプルな空間ながら足元のカーペットが上質感を与えてくれます。
既存の片開き戸と収納扉はそのままに、同じ色で仕上げて統一感をだしました。
それからリビングの一面には高さ70cmと40cmのカウンターを制作しました。30㎡近くあるゆったりのリビングダイニング、住まい手が考える自由な使い方をしてほしいです。
高さ70cmと40cmのカウンターを段違いで。それぞれ色味も変えてアクセントにしました。リビングダイニングの床は『ラスオークフローリング』で仕上げています。
リビングドアは『オーダー框ドア』にチャコールグレーで塗装しました。
賃貸物件のRC壁式構造、それでも時代に合わせた住まい手の暮らしを叶えるために思い切った決断をされたオーナーのお客様。水回りからのスムーズな暮らしを実現する間取りとすることで、空間本来の良さを引き出すことができました。
Before：押入の向こう側には壁に囲まれたキッチン室がありました。
After：和室を解体して、キッチン室を解放。キッチンを主役とした広々LDKとなりました。
After：水回りの間取りを再編成し、明るい広々としたLDKになりました。
ツールボックス工事班｜TBK
toolboxの設計施工チーム。住宅のリフォーム・リノベーションを専門に、オフィスや賃貸案件も手がけています。ご予算や目的に応じ、既存や素材をうまく活かしたご提案が特徴です。
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毎週水曜日の13時から15時まで、東京・目白ショールームに施工チームがいます。工事に関するご相談も承っておりますので、この時間もご活用ください。
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