家の主人は、「大工と設計士と」という設計・施工ユニット活動をしている相川翔太さん。自分たちのプロジェクトとしてリノベーションしたマイホームに、妻と2人のお子さんと暮らしています。

築42年のマンションは、家の中に壊せない壁がある壁式構造。それを逆手にとって、個室とフリースペースのゾーン、キッチンとサニタリーがまとまった水まわりゾーン、家族がくつろぐリビングゾーン、という3つのゾーンに分け、それぞれ異なるカラーや素材をテーマにして空間を仕上げました。

まず紹介するのは、黄色いドアが出迎える玄関。えっ、すごく広い!と思ったら、壁一面が鏡になっていました。市松模様の床と構造用合板仕上げの壁が、鏡の中まで続いて、実寸以上の開放感を演出しています。

黄色いドアの先にあるのは、カウンターデスクが2つ設けられたフリースペース。

ここは木をテーマに構成された空間。床は構造用合板、撤去できない構造壁はコンクリート躯体現し、個室の間仕切り壁は有孔ボードで仕上げ、天井は木毛セメント板を張っています。

フリースペースに並ぶ2つのアーチ開口の先は、それぞれ夫婦の寝室と子供の寝室。壁も床も天井も構造用合板で仕上げられた木の箱のような空間は、心地よいこもり感がありますね。

合板そのままの壁天井なので、棚を付けたり、色を塗ってみたりと、手を加えていっても楽しそうです。

フリースペースは、親子4人が共用するスペース。相川さんの仕事スペースでもあります。

カウンターデスクと棚も構造用合板で造作しました。上の棚がコーナーに落ち着きをつくっていて、集中して作業ができそうです。

フリースペースのデスクの隣には、ハンガーパイプが組み込まれていました。実は寝室にはクローゼットがなく、家族の衣服はすべてここに収納しているのだそう。

扉をつけないオープンなスタイルにしたのはコストダウンの目的だったそうですが、「見せる収納にすることで整理整頓を心がけるようになれば」という意図もあったそう。なるほど!

お子さんたちは現在5歳と3歳だそうですが、こんなクローゼットなら「自分でお着替え」を積極的にやってくれそうです。

そして、赤いカウンターがちらりと覗く構造壁の向こうには……

鮮やかな赤色のカウンターとシルバーの壁天井がレトロフューチャー感を漂わせる、まるでお店のようなダイニングが広がっていました。

赤い枠がついた開口部は「配膳口」で、向こうがキッチンになっています。ここは玄関・フリースペースとリビングを繋ぐ場所でもあり、「ただの廊下にするのはもったいない」という思いから、家族が横に並んで食事するカウンタースタイルにしました。

また、住戸の中央に位置していて、窓がなく自然光が入らないため、壁天井をシルバーで塗装して光を反射させることで、明るく感じるようにしたのだそう。

食事をしにこの場所に集まるのが楽しみになりそうな空間です。

ダイニングとキッチンは、「赤」をテーマに構成。リビングへ通じるルーバードアも赤く塗装されており、収納の引き出しに使っているコンテナも赤で統一されていました。

引き出しも造作で作るとなかなかコストがかかる部分なので、丸ごと引き出して中身の確認もしやすいコンテナボックスを使うアイデアは、参考になりそう。

白タイルに合わせた目地の色も赤。「THE・定番」な白タイルも、カラー目地と合わせると新鮮な印象です。

下部がオープンなスタイルにしたキッチンは、『オーダーキッチン天板』で造作。キッチン水栓には『ハンドホース水栓』を、ガスコンロは『ガスコンロ ステンレストップ 2口タテ グリルレス』、レンジフードも『フラットレンジフード』と、オールtoolboxアイテムでつくっていただきました。

ダイニングの向いにある洗面所&浴室は、「青」がテーマカラー。

ユニットバスではなく在来工法を選択した浴室は、モルタル床に置き型バスタブという、海外のアパートメントのようなスタイル。浴室の壁面に添えた『マリンデッキライト』がつくる、十字の影がアクセントになっています。

洗面所の天井には『工業系レセップ』を取り付け。排気ダクトを現しにした、無骨さを感じる天井によく似合っています。

洗面器は『ウェルラウンドシンク』をセレクトして、こちらも足元はオープンな造りに。収納要素は横のオープン棚にまとめて、ここでもコンテナボックスを活用。空間のテーマカラーに合わせて青いコンテナを並べています。

そして水まわりゾーンを抜けた先に広がるのが、家族の憩いの場であるリビング。OSB合板を貼った床がカジュアルな雰囲気をつくり出しています。

フローリングよりもお手頃な素材としての選択ですが、OSB合板特有の表情が、躯体現しの壁天井の空間に賑やかさを与えています。天井にずらりと並んだ『工業系レセップ』も、天井の彩りになっていました。

リビングゾーンのテーマカラーは「黄」。部屋の両端にOSB合板のベンチ兼収納には、黄色いコンテナボックスが収められていました。

ベンチの奥行きは600mmあり、小上がり感覚で使ったり、テーブル代わりにしたり、配線穴も加工されているので、TVを置いてAVボードにもできます。ちょっとした奥行きの操作で、こうも使い道が広がるんですね。

異なる色と素材をテーマにした部屋は、同じ家の中にいるのにいろんな居心地を楽しむことができて、行き来するだけで気分転換になりそう。

ローコストな空間づくりのアイデアと整理収納のアイデアも詰まった、手腕も鮮やかなリノベーション事例です。

(写真:しふぉん)

  • こちらの事例はimageboxでも詳細をご確認いただけます。

大工と設計士と

設計士・相川翔太と大工・林悠平による設計・施工ユニット。時代や流行に左右されない設計と、腕利き大工のこだわりの手仕事で、空間づくりをお手伝いします。

テキスト:サトウ

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