離島の山の中にある古民家を購入して、改修し、3〜9歳の三兄弟と夫婦の家族5人で過ごす住まい。そこには、子供達と楽しみながら過ごす、住まいの形がありました。

まず最初は「私の好きがたくさん詰まってます」という奥様こだわりのキッチンからご紹介。

工事後すぐのすっきりとしたキッチン。手前に写っている照明は『硝子の吊照明』。

子供達が自然と料理に触れられる、誰でも使えるキッチンにしたいとのことで、壁付きで扉のないオープン収納型のキッチンを希望した奥様。

キッチンに求めたのは、シンクとグリルのないコンロ、ただのステンレスの天板だったそうです。

「そんな時に出会ったのが、toolboxの『オーダーキッチン天板』でした。必要な要素が揃っていて、不要な物が何もない!理想のキッチンがここにある!と飛び上がる程嬉しかったです」と嬉しいお言葉。

暮らし始め、ものが詰まったキッチン。住み始めてから、もう少し収納が欲しいと『棒棚受け』で棚を追加しました。

天板は、サイズオーダー可能な「オーダーキッチン天板」でブラケットで支える。そこに合わせた水栓は『ニッケルサテン水栓』で、レンジフードは『フラットレンジフード』のステンレス。全てステンレスで統一されています。

オープンなキッチンの下には、お鍋やフライパン、そしてレンジまで。どこにあるのかわかりやすく収納。だれでも使えるキッチンにしたいという思いが叶えられています。

そんなキッチンの特徴的な壁は、土壁と漆喰。右側にだけ土壁の上から漆喰が塗られています。

「キッチンパネルにしようと思っていましたが、左官屋さんの自宅へ遊びに行った際にキッチンが土壁でも油汚れが気にならない状態だったことが頭に残っていて、自宅でも試してみようと方向転換しました。塗り方についてはお任せしたので、カーブで分かれているのは、左官屋さんのデザインです」

フライパンをかけるために『オーダーマルチバー』も後から追加。「フラットレンジフード」には磁石のフックをつけて、おたまなどのキッチン道具が吊るされています。

使い勝手の良いキッチンになるよう、日々手を加えているのが伝わります。

そんなキッチンの床は、『土間タイル』のグレー。無垢フローリングでは油跳ねが気になるということで、汚れをさっと拭き取ることができるものを選択されました。

タイル床は冬になるとすごく冷えるため、冬場はスリッパが必須です。

手すりのブラケットに『木の手摺ブラケット』を活用。単体で購入できるので、他は造作で作ってブラケットだけ活用するという使い方もできます。

ダイニングとキッチンの間には、踏み板と側板で構成されたスケルトンな階段があります。スケルトンにしたことで、空間を分断させることなく、ひとつながりの空間になっています。

また、梅雨の季節は洗濯物干しに使うこともあるそうで、階段以外の役割も果たしています。

ダイニングの床は、無垢フローリング。無塗装の物を家族みんなで『オスモカラー 』で塗装し、その後も半年に一度、メンテナンスされています。

そんな自然素材との付き合いかたについては、別記事で紹介させていただいてます。

離島で暮らす、限られた子供との時間。自然素材をつかった住まいで、メンテナンスしながら家を育てる暮らし
離島で暮らす、限られた子供との時間。自然素材をつかった住まいで、メンテナンスしながら家を育てる暮らし
離島の山の中にある築80年越えの古民家を子供達との今の時間を楽しむためにリノベーション。無垢材などの自然素材を取り入れた空間で、メンテナンス時間を楽しみながら暮らしているお客様にお話を伺いました。

壁に埋め込まれている箱は、エアコンのと吹出口の予定だった場所。エアコンなしでも過ごせたため、現在は2階へと繋がるキャットウォークのようになっています。

リビングは、このお家で唯一畳を残したところ。吹き抜けになっているため、左側の窓から風が気持ちよく広がっていきそうです。

正面の右側にある床の間はそのままに、左側にあった押し入れは改修しました。

押入れを改修してつくったのは、本棚と子供達のおこもりスペース。大きな箱で構成されたおこもりスペースを中心に、周囲を小さな本棚で囲っています。

箱だけを用意するのではなく、マットレスを設置して、くつろぎやすく。おこもりスペースの中にもミニマムな本棚がついています。

本を読んでいる時に周囲の音や視界に入るものが気になってしまう時がありますが、ここでなら絵本や本の世界にたっぷり入り込めそうです。

また、押入れ全体をひとつの箱で埋め切っていないのもポイント。子供たちが隙間に入り込んだりと、楽しい遊び場にもなっている様子が目に浮かびます。

そんなおこもりスペースには、専用の灯があります。

ミニ磁器レセップ』に『フロストLED電球』を組み合わせ、小さなあかりを。高さにゆとりがない場所でも、座面が直径70mmで本体の高さは40mmという、ミニマムさなので取り付けることができます。

リビングの中心の照明は、雑誌でみたものを真似して作ってもらったシャンデリア。ソケットは『真鍮ソケットコード』を活用。ここにも遊び心が溢れています。

リビングの横にある縁側は完全に室内とはせず、外と内をつなぐ空間になるよう意識して設計。

日向ぼっこをしながらみんなで一つの絵本をみる。そんな、素敵な風景が生まれている場所になっています。

そして、そんな縁側や室内から見える景色はこちら。この美しい自然の景色が眺められるのは離島ならではだなと思い、惚れ惚れしました。なんとも羨ましい景色です……。

この景色が見れるのも、一面をガラス建具にしたからこそ。一枚の面積が大きいので、建具を閉めても室内から毎日この景色に癒されることができます。

寝室の建具は、既存の物を再利用。太くて大きな梁と同じ色味で過ごしてきた時の長さを感じます。

夏場は建具を外してカーテンで仕切ったり、季節に合わせて空間の仕切り方を調節しているそうです。

寝室は、ダブルサイズとシングルサイズのベッドをぴったり配置できる幅にして、寝るためだけの場所に。

壁に囲まれた空間でも、吹き抜けの天井なので、開放感も兼ね備えています。目線に近い漆喰壁から土壁、さらには天井へと素材の変化が楽しめます。

 

洗面台の下はオープンに、収納は少しだけ。『陶器のラック』を2つ取り付け、さらにシンクの縁を物置として活用しています。

隣にあるドアの向こうはトイレ。ドアの右上の壁にガラスをはめて、灯りで使用中かどうか判断できるようにしたのがポイントです。

クローゼットは1箇所のみ。家族5人分のオールシーズンの衣類をここに詰め込んでいます。

ここの場所以外は管理が出来ないので、服が1つ増えたら1つ減らすことを心掛けているそうです。

三兄弟の衣類とランドセル類は並べて収納できるよう、壁にラックを取り付け。ここで、子供たちが仲良く並んで身支度をしています。

2階は子供達専用のスペース。大人は頭をぶつけてしまうほど天井が低く、勾配がついているので屋根裏に潜り込んだかのようで、わくわくする空間に。

床はこちらも無垢フローリング。雑巾掛けのような要領で子供達と塗装し、メンテナンスをして育てています。

子供目線になると、窓から瀬戸内海と島々が見えます。これは背が小さい子供だからこそ見える、子供達だけの景色です。

「子供が高校生くらいになったら使いにくいかもしれないけど、3〜9歳の今なら低くて狭い場所を楽しい遊びの空間として活かせる!10年後に再度改修することになったとしても、今を優先させたい。」と考えたそう。

子供たちの成長と空間を変化させることを楽しみにしている。そんな素敵なお話も聞くことができました。

住まいへの想いと、自然素材との付き合い方についてまとめた別記事は以下からご覧いただけます。

離島で暮らす、限られた子供との時間。自然素材をつかった住まいで、メンテナンスしながら家を育てる暮らし
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離島の山の中にある築80年越えの古民家を子供達との今の時間を楽しむためにリノベーション。無垢材などの自然素材を取り入れた空間で、メンテナンス時間を楽しみながら暮らしているお客様にお話を伺いました。

離島での暮らしはこちらからご覧いただけます。

テキスト:mikami

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