賃貸住宅というと、どこか似たような内装の部屋が多いもの。でも、賃貸だからこそ、もっと自分の好みに合う部屋を選べたら。“自分だけの部屋”という愛着を持って暮らせる部屋に出会えたら、それはとても素敵なことだと思うんです。

そんな思いに応えてくれそうなのが、今回ご紹介する賃貸住居。

築48年のマンションの一室で、リノベーション前は3LDKの間取りに、ツヤっとしたフローリング、白い壁、白いシステムキッチンという、無難な内装でした。

そんなお部屋が、リノベーション後はご覧の通り!

古材を貼った壁や、使い込んだような色合いのフローリング、そして何より目を引くのが、鉄筋と断面が剥き出しになったコンクリート壁を使ったカウンター。

まるで“解体途中”のような、ワイルドな空間が広がっています。

カウンターを支えるコンクリート壁と鉄筋は、既存の壁を活かしたもの。あえて部分的に壊し、インテリアの一部として取り込みながら、木の天板や棚板を渡して実用性も持たせました。

カフェバーのような感覚で、食事やお酒を楽しめそうですね。

キッチンは『オーダーキッチン天板』を使い、下部に収納を設けず、シンクとコンロを組み合わせた天板だけで構成しました。

壁には、工場の壁などに使われることの多い、木毛セメント板を採用。ステンレスの『フラットレンジフード』と組み合わせ、ラフな素材感と金属のシャープさが共存するキッチンに仕上げました。

ぶっきらぼうなキッチンに見えますが、水栓にはホースを引き出して使える『ハンドホース水栓』を採用するなど、使い勝手もしっかり考えられています。

照明の設えもユニーク。カウンターのコーナーに建てた古材の柱は、途中をカットして鉄のアングル材でつなぎ、露出ボックスに『工業系レセップ』を組み合わせた照明を仕込んでいます。

木を切って、鉄を組んで、照明を仕込む。そんな工作のような発想が、“大人の秘密基地”のようなワクワク感を生み出しています。

そしてスイッチは、この部屋の間取り図をプレートに描き、トグルスイッチを取り付けたオリジナルデザイン。毎日触れるたびに、思わずニヤリとしてしまいそうです。

廊下のドアはガラス入りにして、光が通り抜けるように。モールガラス越しに見える、光と景色の揺らぎもいいですね。

幅を広めにとった廊下には、壁面を活かして『アルミラック』を設置。こんなふうに「飾る場所」が用意されているのも、賃貸暮らしではうれしいポイントです。

以前の部屋は、リフォームされていてきれいではあったものの、入居者の入れ替わりが多かったのだそう。

そこで目指したのが、住む人が「自分の家」と感じられる、愛着を持って長く暮らせる部屋。そのために大切にしたのが、素材の経年変化を楽しめる空間づくりでした。

ただ新しくきれいに整えるのではなく、既存の要素を活かして、この部屋だけの魅力に変える。古材や鉄など、時間とともに変化していく素材を取り入れ、暮らしの中でつく傷や変化も、部屋の味わいにしていく。

住むほどに、そこで重ねた時間が「自分だけの部屋」という個性になっていく。そんな賃貸住宅のあり方も、素敵だなと思いました。

エールテック/AILETECH D WORKS

エールテック/AILETECH D WORKS

千葉を中心に、中古マンション・団地・築古住宅のリノベーションを行っています。
私たちが大切にしているのは、きれいに直すことだけではありません。 古い建物にも、今まで使われてきた素材にも、その場所だからこその魅力があります。 既存の価値を見つけ、必要なところは壊し、残せるものは活かす。完成した家ではなく、そこで過ごす時間まで考えて設計します。 朝のコーヒー。好きな音楽。 趣味の時間。家族との食事。そんな「GOOD DAYS」が増える住まいを、一緒につくります。

テキスト:サトウ

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