撮影:hideyuki sanada

お住まいは74㎡、3LDKの間取りで、ご夫婦とお子さま2人の4人家族です。
もともとリノベーション済みの物件で設備機器も内装も新しくなっていましたが、「せっかくなら自分たちの好みを取り入れたい」と、壁や床、ドアの素材や仕上げを中心に部分的にリノベーションしました。

BEFORE

石のように重厚な模様の壁紙に、間接照明で演出されたラグジュアリーな空間。でも、ご夫婦にとってはどこか落ち着かず、自分たちらしい暮らしとは少し違うと感じられたそう。

AFTER (撮影:hideyuki sanada)

柄の主張が強かった壁紙は、シンプルな白に変更。ラグジュアリーな雰囲気をつくっていた間接照明も無くしたことで、空間全体がすっきりと明るくなり、キッチンにも抜け感が生まれました。キッチンは、手前の腰壁はそのまま、コンロ前の壁だけ抜いてキッチンの視界をアップ。既存の腰壁の上にご夫婦好みのカスタムカラーで選んだ木目調パネルを貼ってイメージチェンジしています。床にはチーク材のフローリングを採用し、その中でも、特に風合いや色味の美しいものを厳選し、濃淡のある豊かな表情を感じられる仕上がりに。

白と木目の組み合わせが、LDK全体をあたたかく、落ち着きのある空間にしてくれています。

撮影:hideyuki sanada

リビングには、ご夫婦が空間づくりの参考事例を探す中で見かけて気に入った「クラシックリブパネル」を、居場所となる壁面に大きく設置しました。

好きな素材に囲まれた空間は、やっぱり心地よいものですよね。そのトーンを他のお部屋にもさりげなく取り入れることで、住まい全体に統一感を持たせています。

撮影:hideyuki sanada

リビングと隣接する寝室の扉を開けると、そこにもまた「クラシックリブパネル」が。リブパネル越しに見えるリブパネル……まさに“クラシックリブパネル好き”にはたまらない空間です。

撮影:hideyuki sanada

寝室に貼った「クラシックリブパネル」は、ヘッドボード的な役割も果たしています。空間にほどよい奥行きとアクセントを加えながら、木の風合いがやさしく広がり、体を休める場所としての居心地をつくってくれています。実は、リブパネルと壁の境に使われている見切り材も、同じクラシックリブパネルを割いて作ったものだそう。見切り材の色味をリブパネルと揃えるため、あえて同じ材料を採用しています。

撮影:hideyuki sanada

窓のなかった居室には、壁を立て直して室内窓を設け、リビングから光が届くようにしました。

撮影:hideyuki sanada

キッチンは、もともとあったシステムキッチンにシートを貼ってリメイクしました。リビングドアの色に合わせて、ネイビーカラーを採用。白と木目にネイビーがアクセントとして加わることで、空間がぐっと引き締まりました。 ホワイトの「フラットレンジフード」は、空間に溶け込み存在感を抑えています。

コンロ横の壁には、「フロストタイル」を貼りました。質感の違いが楽しめる、表情豊かなキッチン空間に。壁には可動棚を取り付けて、コンロ横にあった微妙な幅の隙間も有効活用できるようにしました。

撮影:hideyuki sanada

キッチン背面のカップボードは新たに造作しました。ゴミ箱をすっきり収められるオープン収納や、調理家電にも対応できるようコンセントの数をしっかり確保するなど、毎日の使いやすさにこだわった設計です。

撮影:hideyuki sanada

洗面空間は、既存の設備を撤去して、造作で作り直しました。
淡い色合いの「水彩タイル」を取り入れて、落ち着きのあるやさしい雰囲気に。「ラワンの洗面ミラー」がチーク材のカウンターと馴染んでいます。タオル掛けにはステンレスの「ハンガーバー」を取り付けています。

撮影:hideyuki sanada

玄関は、新規でルーバー折れ戸を設置し、クラシックリブパネルのトーンに合わせて着色しました。壁には有孔ボードを取り入れ、鍵や帽子などの小物をさっと掛けられる、ちょっとした嬉しい工夫が施されています。

リノベーション済みの物件でも、表装の仕上げ材を自分たちの好みや暮らしに合わせて変えてみる。そんな大がかりな工事をしなくても部分的な工事で“自分らしい暮らし”を実現できる、参考になる事例でした。

fujitacaリノベーション(藤孝建設株式会社)

東京(杉並)のマンションリノベーション専門会社。「ちょっとオシャレで暮らしやすい」をテーマに、暮らす方々にとっての「ちょうどいいリノベーション」を目指した、少数精鋭のリノベーション会社です。日々、使い勝手の良い製品を研究し、デザインと暮らしやすさのバランスが取れたリノベーションを展開しています。

テキスト:小尾

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