今回は、2階建て、延床109.54㎡、家族5人で暮らす新築戸建て。こちらのお家のお施主さんは、toolboxのInstagramライブでもたびたび出演いただくgreen建築工房で設計を担当してる田坂さん。子どもたちも含めてここで暮らす人それぞれの暮らしがより豊かになるように自分で設計して建てられた自邸です。
さまざまな土地や中古物件を検討する中で見つけたこの家の立地は、周囲を隣接建物に囲まれながらも、東側に農業用水路が流れる場所。その水路によって生まれる抜けのある景色に惹かれ、新築を決意されたそう。その惚れ込んだ景色をどう空間に取り込むかを設計のテーマとし、計画がスタートしました。
そんな想いが込められたお家は、中庭を中心に構成され、どの部屋にもたっぷりの日差しが降り注ぐ開放的な間取りです。
玄関を開けると、中庭から外へと視界が抜け、さらに吹き抜けの大空間が広がります。この開放的な空間を実現するため、大きな梁で支えるように構造設計をし、柱の数を最小限に抑えています。
オープン階段の採用により、リビングから反対側の洗面まで視線が遮られることなく、のびやかな空間が広がります。
内装には、ラワンの合板や吹き付け塗装を施した壁など、土っぽさを感じられる素材を使用しています。全体を茶系で統一し、温かみのある空間が印象的。
中庭にはジューンベリー、ブルーベリー、ハクサンボクなどが植わり、春には実や花を求めて虫や鳥が訪れ、秋には紅葉や落ち葉が風に舞う風景を楽しめます。
そんな開放的な大空間のリビングと連続してつながるのが、こちらのキッチンです。
リビングから続くラワンの造作収納と同じラワンをつかった造作キッチン。ベージュの天井がゆるやかにキッチン室にも入り込みます。天井の角が丸みをおびて奥に続いていくのもポイントではあるのですが、何か気付きませんか?
キッチンにあるべき、水栓・シンク、コンロはある。吊り戸収納がなく、上空すっきりなのはもちろんなのですが……
そう、実は、レンジフードの代わりに、天井埋め込み型の換気扇「天井スリットファン」を採用いただきまました。「いわゆる『キッチン』とひと目で分かるような空間にはしたくなかった」という思いから、この商品が発売された当初から採用を決められていました。
レンジフードがないことで、キッチン特有の設備っぽさを感じさせません。
コンロには、超高火力から極トロ火までの火力のふり幅を持ち合わせる「パワーガスクッカー」を採用。一般的な3口コンロよりも幅の広い海外製ですがトップが薄く、美しい五徳が並びだけのすっきりしたデザイン。「火力はもちろん、掃除もしやすく使いやすい。」と、田坂さん。料理好きの奥様に負けじと、キッチンに立つことが増えたそう。
また、キッチンツールは棚下に「ハンガーバー」を取り付け、吊るして収納。おすすめの太さは9φで、細すぎるとたわんでしまうため、このサイズがちょうどいいそうです。
リビングから見えてくる壁面は、一部だけ見せる収納をつけ、あとはあえて何もつけず広々と。これもすっきり見えのポイントですね。
ラワン材を使用した造作キッチンは、薄い天板と真鍮の把手、つまみで家具のような佇まい。ぐるっと囲まれた壁のタイルは、「古窯70角タイル」の故粉。マットな表情が、ラワンや真鍮パーツを引き立てます。
奥のL字の天板は、モールテックスで。奥様リクエストのリビング側に向いたシンク部分は、サイズオーダーできる「オーダーキッチン天板」を使っていただきました。料理好きな奥様のために、つくりあげた広々としたキッチン。冷蔵庫や電子レンジや炊飯器、食材ストックなどのボリュームがあるものは、この奥のパントリーに配置してあります。
分断をなくし、開放的な一体空間を実現したお家。「外の景色や自然を身近に感じながら、家族それぞれが心地よい場所を見つけ、のびのびと過ごしてほしい」と話す田坂さん。
無駄な装飾を極力控え、光や緑を存分に楽しめるよう計画された空間は、まるで自然と調和するような心地よさ。こだわりが詰まった、素敵な住まいの事例でした。
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