白をベースとした室内に、ブラインドの隙間から優しい光が差し込みます。その光を受けるのは『燻蒸フローリング』。時を経て色褪せた表情を表現したフローリングです。築古を感じさせるコンクリート躯体に塗装した壁と、時を経て色褪せたような表情の燻蒸フローリングがとてもマッチしていると感じます。

オーナーさんが燻蒸フローリングを選んだ理由は、少しくらいの傷なら目立ちづらいという特性が気に入ったからとのこと。
借り手が変わっても経年変化を楽しめる物件となりそうですね。

一段上がった先は『チェッカーパーケット』が敷かれたキッチン。

複数種類のフローリングを使うと空間の統一感がなくなるのでは……?と心配になる方もいるかと思いますが、見てください、この見事な融合を!段差があることで、柄の強いチェッカーパーケットが、ラグのように違和感なく溶け込んでいます。

古いマンションをリノベーションしたこちらのお部屋。コンパクトなキッチンの頭上にはホワイトの『フラットレンジフード』。実にしっくりと馴染んでいて、まるで元から設置されていたかのようです。ダクトの存在もかえってかっこよく見えます。

シンクとコンロまわりは『古窯70角タイル』の胡粉。
貼り方にもこだわりがあるそうで、シートで販売されたタイルをわざわざシートから剥がして一枚一枚貼りつけたとのこと。目地を細く、敢えてギュッと貼り合わせることで、独特の味わいが生まれました。

キッチンの主役である食材やうつわたちの邪魔はしないけど、ゴチャゴチャしがちなキッチン天板まわりを、胡粉の色合いがすっと引き締めています。

こちらは洗面スペース。年代を感じさせるコンセントや窓枠、取っ手や配管、水栓、白いタイルとの抜群の相性を見せているのはステンレスの『棚受け金物』とステンレスの『ハンガーバー』。

窓台に「古窯70角タイル」の胡粉をさりげなく貼っているのもいいですね。「古さ」に「味わい」のある小物を配置して、心地のいいレトロ感が生まれています。

このお部屋の中で、異色の存在感を放つのがこのピンクの玄関ドア。まるで「どこでもドア」のようなこの扉を通って帰宅すれば、一瞬で居心地のいい我が家へ、ありのままの自分になれるのではないでしょうか。

(稲垣)

株式会社Drawer | ドロワ

株式会社Drawer | ドロワ

個人住宅、賃貸住宅、賃貸オフィスや店舗のインテリアデザイン及び内装工事を行う設計施工会社。
空き家を借り上げてリノベーションを行い、賃貸運用するサブリース事業も行っています。スチールプロダクトの企画・制作・販売も手掛けています。

紹介している商品

  • 写真の「フラットレンジフード 壁付け型 W600 ホワイト」は仕様変更前のもので、現在販売しているものとは仕様が異なります。(仕様変更前:全艶塗装 → 仕様変更後:2分艶塗装)

関連する事例記事

ミニマルでシンプル。日常の動線に、好きな素材やフォルムを取り入れたちょうど良い暮らし心地
ミニマルでシンプル。日常の動線に、好きな素材やフォルムを取り入れたちょうど良い暮らし心地
最初は「正直、こだわりはないんです」と話していたお施主さま。 でも、打ち合わせを重ねるうちに少しずつ自分のこだわりが見えてきて、ほどよく“好き”を取り入れた結果、自分にとっての“ちょうどいい”住まいが完成しました。
“植物の特等席”と、土間で隔てられた“離れ”。120㎡ならではの空間切り分け術
“植物の特等席”と、土間で隔てられた“離れ”。120㎡ならではの空間切り分け術
まるで植物園のようなサンルームを主役に据えたリノベーション事例。以前の住まいが子どもの成長で手狭になり、住み替えたのは約120㎡の中古マンションでした。大事な趣味も家族の成長も制限しないプランニングで、理想の暮らしを叶えた事例をご紹介します。
“引き戸”と“引き算”でデザインした、わたしたちの心地よさ
“引き戸”と“引き算”でデザインした、わたしたちの心地よさ
LDKと寝室を仕切るのは、壁でもドアでもなく、ガラスが嵌め込まれた引き戸。寝室の天井をLDKより少し下げたり、素材や要素を厳選したり、照明の数を絞ったり。“引く”をキーワードに、自分たちの“ものさし”で心地よさを形にしたリノベーション事例をご紹介します。
“働く・食べる・泊まる・ととのう”が集結。池尻大橋の新しいカルチャー発信地「大橋会館」
“働く・食べる・泊まる・ととのう”が集結。池尻大橋の新しいカルチャー発信地「大橋会館」
2023年、東京・池尻大橋にオープンした「大橋会館」。各ジャンルで活躍するクリエイターが多数参画し、築48年の建物を大胆にリノベーション。カフェやレストラン、シェアオフィス、サウナ、ホテルなど、さまざまな要素が詰まった複合施設へと生まれ変わりました。