撮影:坂下丈太郎

アパレルの仕事をされているお二人が暮らす、88㎡のマンション。テイストに縛られない前向きな素材選びを体現した事例をご紹介します。

まずは、躯体現しと木の印象が心地よく共存するリビングダイニング。ミッドセンチュリーを思わせる、曲線的なあしらいや家具が落ち着く雰囲気をつくっています。

リビングはL字のレイアウトに。過ごす場所がゾーニングされて使いやすそう。(撮影:坂下丈太郎)

木の壁に囲まれているのは、5.8畳のウォークインクローゼット。

リビングに壁を立てるというと、空間に圧迫感が生まれてしまうことが懸念となりますが、壁を天井まで繋げずに開けていることで視界に抜けが生まれています。

撮影:坂下丈太郎

『クラシックリブパネル』と曲げた合板でつくられた間仕切りは、陰影とツヤが見る角度によって表情を変え、飽きのこないバランス感。

ライティングレールには、裸電球を取り付けられる『ライティングレールプラグ』を。(撮影:坂下丈太郎)

リビングの天井は現し、壁はパテ跡残しと、木部とコントラストをつけるよう、程よく荒さを残しています。床材は、グレーのリノリウムで、柔らかくトーンを下げ、木の家具や壁を引き立てる役割に。

撮影:坂下丈太郎

ちなみに、お施主様が「使ってみたかった」というチークのヘリンボーンフローリングは、廊下からリビングの出入り口に採用。

撮影:坂下丈太郎

リブパネルとヘリンボーンという木の印象が強い組み合わせですが、一部分であれば個性として活きてくる。リビングにある框は、オンオフのメリハリをつけるのにも良さそうです。

撮影:坂下丈太郎

ウォークインクローゼットには、『アイアンハンガーパイプ』を使い、二人分のクローゼットを造作。

アパレルで働くお二人ならではの物量を、アイアンの肉厚なパイプがしっかり支えます。

撮影:坂下丈太郎

隠せる収納の中は見た目を気にしないで建材が選ばれることも多いですが、自分たちしか使わない場所にしても、服がより素敵に見えるように設えると、気持ちが上がりますね。

上に棚をつけたところは棚下吊タイプを。(撮影:坂下丈太郎)

クローゼットの出入り口には、建具を設けず、こちらにも「アイアンハンガーパイプ」を。布をかけて仕切ることも、服の一時掛けとしても使えそう。

ブラックが締め色に。(撮影:坂下丈太郎)

キッチンは、リビングダイニングと一体にするつもりでしたが、壁が壊せないことが発覚し、二つの個室につながるキッチン室として仕立てました。

アールをあしらった開口を2箇所設けて、空間としてつながりを持たせています。

撮影:坂下丈太郎

キッチンは、ターコイズブルーのタイルとイエローの目地で、鮮やかに!気持ちが明るくなりそうな斬新な色合わせを、木がまとめてくれていて、個性的ではありつつも派手すぎない仕上がりです。

キッチン本体は、木とステンレスでシンプルに造作しました。リビングから丸見えにならないので、オープン収納でも気にならないそう。

水はねや油はねが気になる部分以外は躯体現しにすることで、段差を収納として活用。(撮影:坂下丈太郎)

左側にもキッチンが続いている?と思ったら衝立てを挟んだ先は、キッチンとお揃いのタイルと幕板で仕上げた洗面スペースでした。

天板の素材は違えど、一つの大きな造作キッチンのよう。空間を分けないことでそれぞれの空間を広く見せてくれています。

撮影:坂下丈太郎

洗面は二人並んで使えるよう、幅広のミラーと実験用シンクで広々と。

水栓はキッチンとおそろいの、『ハンドホース水栓』です。キッチン水栓としての商品ですが、広めのシンクを流すにはホース付きが便利ですよね。キッチンとつながった見た目にも一役買っています。

照明には『工業系レセップ』、スイッチ・コンセントには『アメリカンスイッチ』を採用。無機質な素材でバランスをとっています。(撮影:坂下丈太郎)

キッチンからつながる寝室の建具横にはイエローのガラスブロックをあしらって。南側の寝室からの光を、窓に面していないキッチン室に取り込んでいます。

ガラス入りの建具とガラスブロックで採光は十分。(撮影:坂下丈太郎)

レトロな質感のガラスブロックは、キッチンの色味を拾いつつ、寝室のミッドセンチュリーな空間とをつなぐ存在。空間に入る時に、ガラスブロックが視界の隅に入ることで、奥行きを感じさせる効果もありそうです。

寝室は、ラワン合板張りの天井で重心を低く、落ち着きを感じさせる空間に。パシフィックファニチャーのブラケット照明がアイコニック。

撮影:坂下丈太郎

もう一つの個室は、打って変わってピンクのクロスと、床はリノリウムで淡くまとめています。ベースのカラーがあるとインテリアでの色遊びも楽しくなりそう。

グリーンのボビーワゴンとの相性が最高に良いですね。(撮影:坂下丈太郎)

水回りにも個性が溢れています。ランドリールーム兼脱衣所は、WALPAのビビッドな壁紙と白いタイルが彩ります。キッチンに続き、億劫になりがちな家事をするスペースに、テンションが上がる個性的な仕上げを施すアイデア。

撮影:坂下丈太郎

洗面を移設して広くとったランドリールームには、アイロンがかけられる作業台と室内干し用のハンガーパイプを設置して、服のメンテナンスができる空間に。

腰壁を白でまとめることで洗濯機が壁に馴染み、設備の主張を抑えています。柄物クロスの面積が絞られて、派手すぎにならないようにしているのもポイント。

撮影:坂下丈太郎

トイレはクレイを表現したクロスをセレクト。洞窟のようなおこもり感が居心地良さそう。パーツは『ステンレスペーパーホルダー』『ハンガーバー』で個性を抑え、クロスの質感と照明がつくる雰囲気を引き立てています。

撮影:坂下丈太郎

一見、派手にも見える個性的な色や柄を、ミッドセンチュリーの要素と落ち着いたトーンの素材がまとめあげた住まい。型にハマらないチョイスが加わることで、テイストに左右されない唯一無二な形に仕上がっていました。

湧き出てくるようなクリエイティビティにまっすぐ向き合ったことが伝わる空間。お施主様の気持ちの高揚も一緒に感じられる事例でした。

アートアンドクラフト

アートアンドクラフト

建築設計/施工/不動産仲介/建物再生コンサルティングのプロ集団です。
大阪・神戸・沖縄を拠点に、マンション1室からビル1棟まで既存建物の再生を得意としています。

大阪R不動産も運営しているtoolboxのグループ会社です。

テキスト:庄司

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