淡い光をまとって
視覚的なノイズを削ぎ落とし、モノトーンでまとめたミニマルな空間。そのリビングの壁一面に据えられた『アルミニウムキッチン』と初めて向きあったとき、これまで見てきた数々のキッチンとはどこか違う、不思議な感覚を覚えました。
キッチンそのもののボリュームがあるにもかかわらず、圧迫感を感じないのです。金属特有のシャープな輪郭を持ちながら、その表面は冷たさを感じさせず、どこか淡い光をまとっている。
「存在感を抑え、空間に溶け込ませるなら、白」。そんな選択肢もありますが、これは白モノともまた違う軽やかさ。
なぜこんなにも、空間の中で静かな印象をつくりだせるのか。その答えは、このキッチンの素材の特性と細部に宿るつくりの精度にありました。
光をやわらかに受け止める
まず挙げられるのが、光の受け止め方です。
キッチンのボディは、すべてアルミニウムで構成しています。とりわけ大きな面積を占める扉面には、航空機などにも使われる「アルミハニカムパネル」を採用しました。内部が蜂の巣状の構造になっていて、12mmという薄さでありながら高い剛性と平滑さを保ちます。扉面にたわみや歪みが生じないため、差し込む光が波打つことなく、まっすぐ滑らかに広がっていくのです。
さらに表面に施したアルマイト処理によって、光はマットにきめ細やかに拡散します。強い反射を生むのではなく、朝の自然光や夜の灯り、周りにある家具のシルエットや観葉植物の緑、そこに立つ人の影をほのかに映し込む。
自らの色を主張するのではなく、その場の光や色をそっと受け取って馴染んでいく。柔らかに光を受け止めるリフレクターのような役割を果たし、圧迫感を感じさせない表情をつくりだしているのです。
アルミが生み出す直線の美
もうひとつは、フラットな扉面を引き立てる「線」の設計です。
このキッチンは、押し出し成形されたアルミパーツを現場で精度高く組み上げていく、軽快なフレーム構造でできています。金型から一気に押し出してつくられる部材は、継ぎ目がなく、シャープなエッジが特徴。
見た目も重量も軽やかでありながら、構造としてしっかりと安定しているからこそ、床面からすっと立ち上がる繊細なフレーム脚が可能になり、足元に影の抜けを生み出します。
さらに、毎日手に触れる把手には、アルミの無垢材から削り出したスリムなハンドルを採用。天板には16mm厚のステンレスバイブレーション仕上げを合わせ、扉を開けた時に目に入る薄い小口の処理に至るまで、直線の美しさが引き立つよう徹底して構成しました。
経年変化に強く、循環可能な高いリサイクル性を備えていることもアルミニウムの大きな魅力ですが、その加工性の高さと精度をディテールにまで活かすことで、無駄な線の重なりや余計な厚みを削ぎ落とすことができました。
すっきりと静かな佇まいに仕上げつつ、雑然としがちな日々の料理にも気持ちよく向きあえる頼もしさを兼ね揃えたキッチンが完成したのです。
背景として溶け込むということ
空間に落とし込んだ際にも、このキッチン自体が周囲をつなぐ心地よい役割を果たしてくれます。
空間の設計やレイアウトに合わせて、壁付けはもちろん、対面型のベースを選択可。サイズ違い、天板のコンロの有無を組み合わせることで、Ⅱ型や独立した作業台としての配置にもフレキシブルに対応します。
足元に抜けがあり、床が奥まで視覚的に続いて見えていくため、アイランドなどのボリュームのでる構成でも、軽やかな奥行きをつくりだしていけるのです。
同じアルミフレームで仕立てた「フレーム収納棚」は、サイズオーダーが可能。キッチンと組み合わせて使うことで、空間に抜けをつくりながら壁際にぴったりとフィットさせていけます。
空間にバランスよく入り込み、異なる素材たちが混在する中でも、周囲の光や色を受け取り、時間とともに表情を変えていく。
キッチンそのものが、空間をやわらかに繋いで、自然とその一部になっていく。佇まいそのものが、ニュートラルな「アルミニウムキッチン」。ここに、ご自分のスタイルを重ねていってください。
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