ショールームの展示は、一度つくったら終わりではありません。スタッフが自ら手を入れて、日々更新し続けています。この連載に込めた想いや意気込みは、こちらのコラムも合わせてご覧ください。
プロとつくる、ショールーム改装
みなさん、家づくり妄想してますか〜?ショールームスタッフのあやのんこと大迫です。
東京・目白と大阪・中津にあるtoolboxショールームでは、各拠点で年に2回、新商品を取り入れた大掛かりな改装を行っています。
日頃の小さな展示の変更は、ショールームスタッフがインパクトを片手に、えっさほいさと手を動かしています。とはいえ、キッチンを展示したり新しい壁をつくったりとなると、さすがにスタッフだけではできません。
そんなときに力を借りるのが、施工のプロである工務店や職人さん。スタッフが考えた「こんなふうにしたい」をもとに、プロと一緒に展示をつくっていきます。
今回は、各ショールームの改装の舞台裏を前編と後編に分けてお届け。前編では、大阪・中津ショールームの様子をご紹介します。
木製ガラス窓、どこに設置する?
今回、新たに展示することになったのが『木製ガラス窓』。
大きなガラス面が特徴の室内窓で、toolboxで販売している室内窓の中でもかなり大きめのサイズ。幅が1500mmあり、大人が両手を広げたくらいあります。
この大きな窓が、空間を完全に仕切るのではなく、視線や光を通しながらほどよく空間を分けてくれます。ショールームでもその特徴を活かせる設置場所を探してたどり着いたのが、受付カウンターの後ろにあるバックヤードとの境目でした。
ここなら、ショールームとバックヤードを緩やかにつなぐ室内窓として使えそうです。家の中だったら、小さなワークスペースに窓を設けて隣の部屋まで視線が抜けるようなシーンを想像しました。
しかも、すでに設置されていた間柱の幅と「木製ガラス窓」の幅がぴったり!寸法を計測したスタッフ同士で顔を見合わせ、思わず「気持ちいい〜!」。
満場一致で、ここに設置することに決まりました。
でも、ひとつ気になることが。
バックヤードは、これまでお客様から見えることを想定していなかった場所。多少散らかっていても「まあ見えへんし、えっか」で済んでいた場所です。これを見られるのは恥ずかしい!
狭くて物が多いほうが落ち着くしな、なんて言い訳をしながら、これまで過ごしていました。この雑多さが、休憩中ひと息つくにはちょうどよかったんです…。
とはいえ、窓から見えるとなると、このままというわけにはいきません。せっかくなら、もう少しすっきりさせて、気持ちよく過ごせる場所にしたい。それに、窓越しに中が見えるようになれば、バックヤードを綺麗に保とうという意識も生まれそうです。
そんな期待もあり、窓をつけることをきっかけに、バックヤードも手を入れていくことになりました。
バックヤードを変えてみよう
バックヤードは備品を置くだけでなく、スタッフが実際に作業する場所でもあります。そこで、新たにデスクを作って、ワークスペースにしてみることにしました。
新たにデスクを置くことで、資材を保管していたシェルフのレイアウトも見直します。
そして、デスクの周りに照明を置いたり、グリーンを吊るしたり、周辺に組み合わせるものも考えてみました。
実際に私もこのワークスペースを使います。せっかくなら、自分自身も「ここで作業したい!」と思えるような空間を妄想しました。
窓の下、どうする?
「木製ガラス窓」の設置場所と、窓の向こう側が決まったところで、もうひとつ考えることがありました。それは、窓の下をどうするか。
改装前は、高さ1580mmの『メタルシェルフ』を仕切り代わりに置いていました。これをどかしてみると、そこにあるのは間柱だけ。向こう側まで抜けた状態です。
ガラスで視線が抜けるうえに、足元まで開いているとバックヤードの中が丸見え。ちょっと囲われた感じがあったほうが作業にも集中できそうです。窓越しに切り取られる景色も際立って見えるのでは?と思い、窓の下には壁をつくることにしました。
では、壁の素材はどうしよう?
toolboxのショールームでは、壁の内部の構造を見てもらえるよう、石膏ボードを貼った状態をそのまま見せている場所があります。
今回もショールーム全体のイメージに合わせて、石膏ボードを貼り、仕上げはせずにそのまま見せることにしました。
そこまで考えてくれるんだ!プロとの打ち合わせ
ここまで決まったところで、施工をお願いする工務店に相談します。
今回施工を依頼するのはアートアンドクラフト。大阪・神戸・沖縄を拠点に、活動するリノベーション会社です。「大阪R不動産」の運営もしており、toolboxと同じR不動産グループの一員でもあります。
アートアンドクラフト
建築設計/施工/不動産仲介/建物再生コンサルティングのプロ集団です。
大阪・神戸・沖縄を拠点に、マンション1室からビル1棟まで既存建物の再生を得意としています。
大阪R不動産も運営しているtoolboxのグループ会社です。
まずは、設計の西面さんに「こんなふうにしたい」というイメージを見せて相談します。西面さんは、2023年の大阪・中津ショールームのオープン時にも設計に入ってくださった方。ショールームのことをよく知ってくれているので、今回も心強い存在です。
イメージを送ると、さっそく図面にしてくれました。「上部の窓を支えるために、下部に補強材を追加しましょう」とアドバイスをいただき、その内容を図面にも反映してくれました。
大きなガラスが入る窓なので、下から支えるためにはしっかりと補強が必要です。構造のことは自分たちだけではわからないので、プロに見てもらえると安心です。
該当箇所の写真なども送りながらやり取りを進めていると「壁を塞ぐのは片面ですか?両面ですか?」と確認が入ります。そこまで考えてなかった…!
今回は、ショールーム側だけを塞ぐ片面仕様に。バックヤード側はお客様からは見えないので、塞がないことにしました。
西面さんとの打ち合わせを経て、細かなところまで決まりました。
いよいよ、施工当日!
こうして迎えた、工事当日。この日はショールームがお休みの日。営業中に大掛かりな工事をすると、危険だったり、大きな音が出たりと、お客様のご迷惑になってしまうため、ほかの新商品もあわせて設置することになりました。
現場に来てくださったのは、設計の西面さんと、職人の和田さん。和田さんは、ショールームのオープン時から改装のたびにお世話になっている、造作のことならなんでもござれ!のベテラン職人さんです。素材を問わずなんでも作れちゃうらしい…!
この日は私たちスタッフも立ち会いながら、配送品の受け取りや、ショールームへの搬入作業を並行して進めていました。
和田さんも西面さんも、ショールームのことをよく知っていて、これまで何度もお世話になっている方々。別の作業をしている間も安心してお任せしていたところ、少し目を離している間に、もう「木製ガラス窓」が取り付けられていました。
さすが、和田さん。とても仕事が早い。
ここで、石膏ボードの割り付けについて、相談がありました。「横に1枚で貼りますか?縦に2枚に分けますか?」
なるほど。細かい話のように思えますが、石膏ボードがそのまま仕上げになるので、割り付け次第で印象が少し変わってきそう。
実際の家づくりなら、この上から壁紙などで仕上げるので、石膏ボードの割り付けまで気にすることはありません。今回は仕上がりに影響する部分のため、あえて確認してくれました。
どちらが良さそうか相談し、縦に2分割して貼ることにしました。1枚で大きく貼るよりも、中央にラインが入ったほうが、窓との見た目のバランスがよさそうです。
元々1枚で貼るものだと思い込んでいたので、聞かれなければ、何も気にせずそのまま進んでいたはず。こういう細かなところまで気を配ってくれるのは、さすがプロです。
さて、順調に工事が進んでいくなか、私たちスタッフもできることを進めていきます。職人さんが「木製ガラス窓」を設置した後、ほかの工事に取り掛かったタイミングで、デスクづくりや周辺の小物の取り付けを進めました。
デスクの天板には、オフィスにあった廃材を再利用。そこに『蜜ろうワックス』を塗り、肌触りを整えました。
さらに、「木製ガラス窓」の内側には『ガーゼカーテン』も取り付けました。スタッフの休憩中など、ちょっとひと息つきたいときには閉められるようにしています。物がごちゃごちゃしてきた時は、しばらく閉まっているかもしれません…
木製ガラス窓のある景色
ついに完成!
これまでお客様から見えることを想定していなかったバックヤードが、スタッフが作業する姿も含めて、ショールームの景色のひとつになりました。
窓越しにお互いの気配を感じながらも、それぞれの場所が仕切られ、ほどよい距離感が生まれました。
実際にバックヤードで作業してみると、これがなかなか快適。
ガラス越しにショールームの様子が見えるので、お客様が来られたことにも気づきやすく、必要なときにはすぐに外へ出られます。ショールームと同じ空間にいるわけではないので、作業にも集中できます。
「木製ガラス窓」によって、ショールームとバックヤードの間に新しい景色と、ちょうどいいつながりが生まれました。
今回の改装では、ほかにも今後発売予定の新商品を展示しています。
『アルミニウムキッチン』や「インロウ棚」も、そのひとつ。ショールームにお越しの際は、こちらもぜひ合わせてご覧ください。
「こんなふうにしたい」を、プロと相談しながら進めていった今回の改装。最初に思い描いていたイメージが、相談を重ねて少しずつ具体的になっていく過程が、実際の家づくりにも似ているなと感じました。
さて、次回は東京・目白ショールーム編。同じ商品を使っていても、展示する場所が変われば、できあがる空間も違うはず。
目白では、どんなふうに展示するのか?そしてどんなことを考えながらつくったのか?
後編もお楽しみに!