こちらの「業務用ガスコンロ シリーズ」は2018年3月12日をもって販売を終了しました。
“形態は機能に従う” という言葉がありますが、このガスコンロはまさにそんな感じ。
いかにもデザインしましたという感じが全面に出てくるようなモノでもなく、デザインに無頓着なわけでもない、あるべき姿を素直に追求した結果出てきたカタチ。
ヨーロッパ製のものに時折そんな素敵なガスコンロを見かけますが、日本製ではなかなか見つかりません。特に置き式タイプは皆無に等しいかと。このガスコンロは客席からオープンに見える素敵な厨房にポンと置いたって様になります。
今回ご紹介するコンロは「自動点火式」と「マッチ点火式」の2種類のタイプがあります。
「自動点火式」はかつては家庭用として製造されていたものなので、ツマミをひねるだけで点火します。ハイパワーバーナーは搭載しておらず通常の家庭用のコンロと同様の火力で、立ち消え安全装置(煮こぼれセンサー)がついています。家庭用のコンロのように、点火まで3秒ほど時間がかかるので、ランチタイムなど点火消火を頻繁に行い点火までの時間を待てない方には不向きかもしれません。
ただ、天ぷら火災防止センサーがついていませんので、センサーによる火力の自動コントロールはなく、急に弱火になることありません。炒め物や圧力鍋での調理、魚や野菜の網焼きや鉄鍋の空焼きができます。このあたりが家庭用のコンロとの大きな違いですので、個人でゆっくり接客されるカフェや飲食店をされている方には重宝するコンロだと思います。電池も必要ないので電池交換の手間がないことがうれしいです。
一方、「マッチ点火式」は種火用のツマミをひねってからガスを噴出させ、マッチや着火マンなどで点火するタイプです。常時、点火した状態で火力を調整して使います。ガスの噴射口が二重になったハイパワーバーナーを搭載し、家庭用のコンロでは得られない強火力が特徴です。五徳(鍋を直接乗せる鋳物部分)は裏返して使うと中華鍋にも対応させることが出来ます。火口を一重のみに着火させることもでき、ツマミの開き具合でとろ火を長時間キープすることもできます。
五徳や火口は簡単に取り外せるのでシンクで丸ごと洗えます。
普段のお手入れは簡単で、ステンレス天板はふきんで水拭き、鋳物でできた五徳やバーナーは亀の子たわしでガシガシ水洗いできて、乾いた布で拭くか自然乾燥させることができます。
コーティングされたコンロと違い全て天然素材でできているので普段からきちんと正しい方法でお手入れをしていれば劣化はしないそうです。ただ、五徳はふきこぼれなどでの汚れを放置すると錆びてしまいます。毎日洗う必要はありませんが、天然素材ゆえのつきあい方をお願いします。
またステンレスは鏡面仕上げなので、もちろんキズや指紋はつきますので悪しからず。年輪を重ねるよう傷がついていったステンレスも素敵な味わいになっていくと思います。
製作者は戦後直後からひたむきにガスコンロ一筋。デザインもずっと変わっていません。そんな頑固なガスコンロです。でも、その頑固さゆえに、このムダがなく実用性のあるデザインとバツグンの耐用性がこの時代まで残ったのかもしれません。昨今のあれこれとセンサーがついた至れり尽くせりなコンロではないですが、とにかくシンプルな造りなので使い勝手もシンプル。個人的にはこういう頑固で誠実なメーカーにがんばってもらいたく、そして多くの人に知ってもらいたく、ご紹介できるのは嬉しい限りです。
(担当:森岡+荒川)