2人目のお子さんの出産を機に都内のマンションをリノベーションしたご家族。お子さんの成長に合わせて間取りを変えられる家になりました。

現在は、大きなLDKと寝室が一つという1LDKに、ウォークインクローゼットとパントリーという収納をたっぷり確保した間取り。お子さんがまだ小さいので、できるだけ個室を無くしてワークスペースもオープンな空間に配置しています。

現在の間取りがこちら。

広々としたルーフバルコニーが決め手となった約62平米のマンション。

気になるのはスペース1〜4と名付けられたスペース。ここが自由に間取りを変えられるようになっているんです。

5つに分けられたスペースのうち2つを繋げたのがスペース1。現在は家族全員の寝室として使っています。ネイビーのアクセントクロスで落ち着いた雰囲気に。おこもり感はあるものの、壁の開口から朝日が差し込み、目覚めが良いそう。

ゆくゆくは中心で仕切ればお子さんそれぞれの寝室にもできる。

残りスペース2〜4は、お子さんが小さい現在は壁を設けず、リビングの延長に。窓辺に大きなソファをおいて、広いルーフテラスが望める広いリビングとして使っています。

梁の両サイドにダクトレールが仕込まれているので、空間を仕切っても照明に困ることはありません。

鍵となるのは、スギ材の柱。竣工段階では壁を設けず、“アウトライン”として柱を設けたことで、空間を自由に組み立てていくことが可能になりました。

柱のアウトラインを活かして空間を組み替えれば、部屋数を増やしていけるのです。

「区画があるので家具の配置もしやすかった」とお施主さん。

お子さんが大きくなるにつれて、個室が欲しくなったり、仕事に変化があれば、空間を区切ったワークスペースが必要になるかもしれない。でも今はどんな空間があれば良いかわからないというお施主さんの悩みに対して、プランナーさんが提案したのがこのスギ材のアウトラインだそうです。

梁も出ているので、天井をつくって完全に個室にしても良いですし、壁だけを立てて半個室のようにしても。カーテンで簡易的に仕切ってもよし。家族との距離感をその時々に合わせて変化させられるのが良いですね。

お子さんやお子さんのおともだちにも大人気だという小窓。お子さんが先に寝ている時も、お互いに存在を感じられます。

仕切るとなれば、自ずとDIYをしたり、工務店さんに頼んだりと、住みながら空間が変化していく家庭をお子さんたちも体験できます。小さい頃から自分が暮らす空間を変えていくことに能動的になれそうです。

造り付けのベンチは収納も兼ねて。スギ材のラフな印象がこれからの変化もおおらかに受け入れてくれそう。

空間全体を通してグレーと木のバランスがグッド。

ダイニングとキッチンは、床材を切り替え、段差をつけてゾーニング。可変的なリビング側とは印象を変えており、家族で食事をするスペースはずっと大事にしたい、そんな意思を感じます。

「フロア(リビング)を見渡せる“DJブース”のよう」ととても気に入っているそう。

大きなシステムキッチンは二型の配置に。夫婦で並んで料理したり、お子さんと一緒にキッチンに立っても広々使えそう。リビングから一段上がっているため、お子さんの様子も見やすく、ルーフバルコニーで遊んでいても目が届きます。

冷蔵庫はパントリーに配置して生活感を排除。

白壁に合わせたホワイトのタイルがアクセントに。存在感が大きくなりがちなレンジフードは、『フラットレンジフード』のホワイトを採用し、ひっそりと息を潜めています。

お子さんが大きくなってからも洗面渋滞にならないように、2人並んで使える広さを確保。

洗面は少し雰囲気を変えて、色むらやツヤの質感がホワイトながらアクセントになっているモロッコ調のタイルを採用。棚板や笠木の色味は、古材を使用したミラーに合わせて。ポイントで入れたモザイクタイルと好相性です。

水栓はハンドルのフォルムがレトロな印象をつくる『壁付けハンドル混合栓』。どことなくリゾート感のある雰囲気に仕上がっています。

「唯一、ドアがある空間だから」と冒険してみたそう。

トイレにも遊び心を。ボタニカルな花柄のクロスとグリーンが楽しげな気分にさせてくれそう。一見派手に感じますが、シナ合板で造作した収納や真鍮が上品なトーンを与えてくれています。

LDKはシンプルに、小さい空間で冒険してみるというメリハリの付け方は参考になりますね。

あえて見える収納にすることで、必要以上の服を持たないことを意識できるように。

広々としたウォークインクローゼットは全てオープンにして、まるでショップのように整然とディスプレイされています。実はお施主さんがアパレル業界で働かれているそう。納得の収納スペースですね。

配管がアーチを描き、伸びやかに視線を奥に誘導。

最後にお見せしたいのは、玄関からのこの景色。

スギ材のアウトラインに沿って伸びた配管から電灯のように吊るされた電球。灯りが連なってまるでヨーロッパの街のみのような印象に。床材のPタイルを馬目地貼りにすることでより街路のような雰囲気を演出しています。

アウトラインは間取りを自由にしただけでなく、グッと雰囲気をつくるのにも一役買っているのです。

ウォークインクローゼットの向かいにはランドリースペース。洗濯から収納の動線がスムーズ。

お子さんたちが小さいうちの家づくりはひと段落ですが、これからお子さんが成長していくにつれて、何度もこの場所で家づくりは続きます。

アウトラインがあることで、住み始めてからのリフォームが大ごとではなく当たり前のものとして進めていけそう。これからどんな家になっていくのか、楽しみです!

ゼロリノベ(株式会社グルーブエージェント)

「大人を自由にする住まい」をコンセプトに、家を買うことで自由になる「家のさがし方」「家のつくり方」を提案するリノベーション会社。
東京・神奈川・千葉・埼玉を中心に、資産性のある中古マンションの「物件さがし」から「リノベーションの設計・施工」までワンストップで提供しています。

テキスト:庄司

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