ツールボックス工事班が設計施工を担当し、リノベーションしたDIY可能な賃貸マンション。
大家さんから、その後入居したお客様が素敵な暮らしをしているという情報を入手し、興味を持った私たち。
早速お邪魔してきました!

最初に部屋に入った時、すっかり入居者さんの色に染まっているのに驚きました。
まずは、入居者さんがどんな考えがあってこの場所を借りたのか、お話を伺いました。

コロナで変わった環境。このままではダメだと思った。

入居されたのは個人でwebサービスを運営している荻野(おぎの)さん。
一緒に仕事をする仲間が複数人いて、対面でのコミュニケーションを大事にされています。そのため、もともとWi-Fiがあればどこでも仕事ができる職種でしたが、コロナ前はシェアオフィスを借りていたそう。

そんな荻野さんがこの場所を借りるきっかけとなったのは、外出自粛によりオンラインでのコミュニケーションが主流になり、仕事仲間と集まる機会が減ってしまったこと。直接顔を合わせる機会はもちろん、仕事後にみんなでご飯を食べたり、お酒を飲みながら話す機会が失われてしまいました。

「オンラインでも繋がることはできるけど、知ることはできないんだよね。やっぱり、お互いにどんな人なのか知らないと、トラブルとか何かあった時って、仲良くできないじゃないですか。相手のことを理解するのは、オンラインだけではできないと思ってたから、じゃあそれができる場所をつくろうっていうので探しました」

「不特定多数の人が活用するシェアオフィスでは、周囲を気にしなくちゃいけないから自粛期間は使いにくかった」と話す荻野さん。

オフィスではなく家で仕事をする状況は、プライベートにも影響を与えていました。

「自分、多分家庭と距離がないと保てない人間なんですよ。適度な距離感がないと。

会社を立ち上げる前の会社員だった頃は、週6出張とかだったんでバランスが取れていたんですよね。出張から帰って着替えを持って、また出張に行くといった日々をずっとやってたんです。家にいないのが普通だったんですよ。

でも、それがリモートになって、ずっと家にいるじゃないですか。自分も家族も違和感がすごくって。コロナになって2年間、自宅で部屋の隅っこで仕事をしていたんですけど。なんなのこの人生って思ってしまって。これはやばいぞって」

仲間と心地よく仕事をする上でも、家族と仲良く暮らしていくためにも「場所」が必要だと気づき、それから、東京に限らず熱海など幅広く物件を見始めました。

そんな中、こちらの物件に決めた理由を伺ってみると……。

東京R不動産のサイトで、この物件をみた時から『ここはこんな風に使おう』ってイメージができたんですよ。内見する前からここがいいって決めていました。ラフに使えそうだなっていうのと、DIY可能だというのがよかった」

グループ会社のR不動産で入居者募集した時の様子。

現在、この場所を使っているのは、荻野さんとその仕事仲間。荻野さんはここで仕事をしつつ、仲間たちもそれぞれの仕事をしたり、くつろいだり、パーティーをしたり。家でもオフィスでもない、自由に使えるみんなのセカンドスペースとして、この場所を使っています。

「人が入れ替わり立ち替わり使っている状態で、ここはコミュニケーションをつくる場所になりますね」と荻野さん。

自分が感じた危機感から、すぐに行動に移し、思い描いていたものを実現させる行動力。
話を聞いていて、とても楽しかったですし、自分もすぐに行動に移せるようにしようと刺激を受けました。

では、どのようにこの場所を使いこなしているのかみていきましょう!

集中と緩和が融合した仕事スペース

左側にある本格的なマイクは、呟くように話しても声をしっかり拾ってくれるから、喉の弱い荻野さんは重宝しているそう。

荻野さんが主に仕事をしているデスクは、気持ちの良い窓際に位置しています。

モニターやスマホスタンド、照明などずらっと並んだ機器に、在宅勤務の環境に悩む私たちスタッフは興味津々でした!

仕事場の後ろにはエアロバイクがあります。仕事でもやもやした時には一心不乱に漕いでリフレッシュしているんだとか。

気持ちの良い季節は、いつも窓を全開にして過ごしているそう。部屋とベランダが繋がっているように感じられます。

べランダの床はウッドデッキのように杉板が敷かれていて、緑と風を感じられるとても心地いい場所でした。

集中するスペースの周りにはリフレッシュできるポイントがあって、一般的なオフィスとは違う、この場所ならではの魅力を感じました。空間に縛られることなく、自分のやりたいスタイルでのびのびと仕事ができそうです。

テーブルもあったのでここでご飯を食べたり、仕事の息抜きに外に出て大きく伸びをして太陽と風を感じたり……。ここで自分が働いたら、そんな風に過ごしたいというイメージが湧いてきました。

みんなでつくるみんなの場所

フローリングは『継ぎ無垢フローリングのゴムの木90』。

ここは、仲間が集う場所です。
中心にはダイニングテーブルがあります。これは荻野さんお手製のものです。

「人が来て動かしたいときにすぐに移動できるように、天板は置いてるだけなんです。集まる人数によって配置を変更しています」

スクリーンを下げてプロジェクターを使用している時の様子。

テーブルの横には大きなスクリーンが吊るされていました。
これは、天井下地を組むために開けられたインサートと呼ばれる、躯体表しの天井にある穴を活用して、荻野さんが設置したものです。

必要な時に引き伸ばして、プロジェクターで会議の資料を映したり、休憩時間はNintendo Switchでゲームをしたり、リフレッシュ時間にも活用されています。

ふと見上げると、窓上にちょっとした棚が。こちらも荻野さんのお手製だそう。

「日当たりが良くて熱がすごい入ってたんで、二枚ドアにしようとして、挫折した跡なんですけど……。挫折した時に、仲間に『棚みたいにすれば?』って言われて、つくりました」

そんなふうに、仲間の声を聞いて空間を常にアップデートしています。

「酒好きが多いから……空き缶とかビンが並んでるのは僕が置いたものじゃないですよ!みかんのお酒とか飲んだ記憶無いですし(笑)」

自分では置かないようなものが並んでいることも、「みんなの場所」ならではの面白さですね。

懐の広いキッチン

今まで紹介した仕事場と集まる場を、床材でゆるく切り替えられたところにあるのが、キッチンです。

実は私、料理をすることはほとんど無いのですが、なぜかここで料理をしてみたいと思ったのです!

調理道具やお皿、調味料などが目に見えるように並んでいるから、すぐに料理に取り掛かれそうでつい手が伸びてしまうみたいな感じ。そして、キッチン本体はなんとなくガシガシ使っても大丈夫そうな佇まいで、傷ついたり汚れたりするのを気にすることなく、料理をすることだけに集中できそうと感じたからかもしれません。

どっしり構えた佇まいが、かっこいい『業務用キッチン』。販売しているものと仕様は異なります。

賃貸の物件には、必要最低限のキャビネットキッチンが設置されることが多いですが、この物件には飲食店などプロの厨房で利用されている『業務用キッチン』が設置されています。

キッチン本体に装飾のないものを入れることで、居住者への余地を残して自由に使ってほしいという思いがツールボックス工事班にあったため、このキッチンを採用したそう。

「20人以上ここに集まった時があったんですよ。まあ、正直知らない人もいましたけど(笑)その時僕はここでひたすら野菜を切っていました」

ガシガシ使える業務用キッチンは、仲間を集めてパーティーをすることも多いこの部屋の用途にばっちりはまっています。

キッチンの対面に置いている机の上には食器が並びます。収納というよりも出しっぱなし感に潔さを感じます。

「食べ物も勝手に食べればーって感じなので、僕が主催しなくても、みんな適当に何か持ってきて、作って集まって食べてと、自由に使っています。ふと見るとゴミ箱がいっぱいになってて、みんなでなんか作ったんだなって、そこで気づくこともあります」

この場所のキッチンは荻野さんだけでなく、訪れた人も使用するみんなのキッチン。そんな使われ方に、荻野さんの懐の広さ、業務用キッチンだからこその使いやすさを感じました。

また、ツールボックス工事班が意図していた使われ方がここにあり、話を聞いたときに嬉しくなりました。

空間に手を加えることに抵抗はなかった

入居して6ヶ月ながら、各所に自身で手を入れて、すっかり荻野さん仕様にカスタマイズされた空間。

自分の手でつくることに気負いがなく、自然に行われているのはどうしてなのか気になったので聞いてみました!

仕事や趣味など色んなものが詰まってて、まさに男のロマンのような空間です。

「瀬戸内海の島育ちで、基本的に自分のものは自分でつくる環境だったんです。

あと、自分のじいちゃんが漁師だったんですよ。小さい頃には船を一緒に直したりしてましたね。木材を運んだり、水槽を入れ替えたり塗装したり、小さいながら必死にやっていました」

DIYの精神は小さい頃から培われていたんですね。そんなバックグラウンドを持つ荻野さんがつくったからこそ、のびのびとした楽しい空間になっているのだと感じました。

脱衣所兼手洗いスペース。

白い床は汚れが目立つため、上から板を敷いたそう。

「もちろんお金で買って済むものは、時間を買ったようなことでもあるし、それはそれでいいんですけど、お金出して失敗した時って後悔するじゃないですか。

でも、自分で作って失敗した時は、後悔というよりも『何をつくってしまったんだ(笑)』という気持ちだけで済むので。後は材料をある程度余分に買っておいたら気が向いた時につくれるし、自分にはあってる」

完璧なものを作ろうとすると踏み出すのに躊躇してしまいますが、「自分で作る」という価値に目を向けてみると、DIY可能な空間をカスタマイズするハードルも下がり、楽しみも広がる気がします。

トイレットペーパーの位置が遠かったため、DIYしたトイレットペーパーホルダー。

賃貸でもこんなに自由な使い方ができるんだな〜と夢が広がりましたが、こうした空間が叶うのは大家さんの理解もあってのこと。

荻野さんは「構造躯体に穴を開けなければ、あとは自由にやっていい」と大家さんに言われているそうです。

インサートを利用して、ライティングレールと収納を作成。

荻野さんは「今こんな感じです」と部屋の写真を大家さんに送って共有しています。

それが今回の取材にも繋がったのですが、その行動の意図が素敵だったのです。

「DIYがOKと言われると同時に、どこまでやっていいのかが可視化されている方が分かりやすいじゃないですか。なので、入居を考えている人に見せてあげられたらいいなって。マンション内に面白い人が増えていったら面白いですしね」

自分のことだけでなく、周りの人にも目を向けて発信されているなんて、さすが荻野さん。こんなふうに大家さんといい関係を築けると、自分の暮らしの幅も広がりそうです。

自分のスタイルにあった空間をつくること

荻野さん愛用の工具たち。DIYはベランダか玄関の近くでやっているそう。

家でもオフィスでもない、もうひとつの自分たちの居場所をつくることで、心地よく過ごされている荻野さん。

個人的に印象に残っているのは、在宅とリモートワークは違うという言葉でした。

「リモートと在宅って似て非なるものがあると思ってて……。好きな場所でできるからリモートであって、そうでなければ在宅だろうとちょっとちがうよなって。ただの内職っぽくなっちゃうじゃないですか。それだとやっぱりつまらないんですよね。会社に行かなくていいってのは嬉しいんですけど……(笑)」

たとえ荻野さんのように新しい場所を借りれなくても、今あるデスクスペースから、自分の好きな場所になるよう、少しずつ手を加えて徐々にアップデートしていくのもいいですよね。

家やオフィスという枠にハマらずに、自分のスタイルにあった空間であることが、自分の力を発揮することに繋がります。自分にとって心地よい働き方や暮らし方を、模索し続けていきたいと改めて感じた取材でした。

(三上)

ツールボックス工事班|TBK

toolboxの設計施工チーム。

住宅のリフォーム・リノベーションを専門に、オフィスや賃貸案件も手がけています。
ご予算や目的に応じ、既存や素材をうまく活かしたご提案が特徴です。

 

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※毎週水曜日の13時から15時まで、東京・目白ショールームに施工チームがいます。工事に関するご相談も承っておりますので、この時間もご活用ください。