玄関を入ると、樹脂タイルで仕上げた床と既存を再塗装した建具がお出迎え。

白で洗練された空間に特徴的な照明が映えています。

日本の住宅では一般的な、玄関框(土間や玄関にある段差)がないこともあり、海外のお家に来たみたい!

誰もが一度は旅先で目にしたり、映画などで憧れたことがあるであろうアパルトマンの雰囲気に、どこか懐かしさを感じます。

雑貨やドライフラワーで彩られた、アンティークのチェストに視線が引き込まれます。

ヨーロピアンな雰囲気を纏うガラス格子の建具から進んでいくと、3部屋あったところの壁を取っ払って、一続きの空間にした広々としたLDKが。お施主さんのセンスを感じるアンティーク家具や照明たちがグッと雰囲気をつくっています。

そんなこだわりを詰め込んだリビングは、味わいのある空間にしていきたいと、お施主さんが選んだのは杉の無垢フローリング。独特の節や木目のリズムがやわらかな印象を演出しています。

長手方向に視線を導き、伸びやかな印象に。天井は躯体現しにすることで天高を確保しました。

カーテンを窓のサイズに留めず、床につくまで垂らすことで、高さを強調。

部屋をつくるか迷ったという、縦に長いLDKの一部はエントランスホールと同じ床材にして、空間を区切っています。ワークスペースや趣味のスペース、はたまたスタジオなどなど、いろんな使い方ができそうです。

壁はないものの、杉フローリングと床タイルのコントラストが強く、気分をしっかりと切り替えられるスペースになりました。

フランスのブランド・リーン・ロゼのソファから見えるのは、レベルが一段上がったキッチン。段差をつくり、床材も変えることで、リビングとキッチンを明確に棲み分けています。

リビングとのコントラストが効いていてステージのよう!

フラットレンジフード』の奥行きが梁下にシンデレラフィット!

コの字に配置したキッチンは、特注のステンレス天板が主役!

キッチンパネルやレンジフードもステンレスで揃えて、スタイリッシュな仕上がりになっています。同素材でありながら、オブジェのような存在感があるペンダントライトがモダンな印象をプラス。

イメージは、パリ郊外に住まう、デザイナーの島田順子さんのキッチンだといいます。業務用のような分厚いステンレス天板に、プロ仕様のシンクやガスレンジ。愛用の調理器具がたくさん並ぶ、洗練された台所……。

厨房感のあるステンレスキッチンや床タイル、ディスプレイされた調理器具がイメージされたキッチンとリンクします。憧れのキッチンで、料理する時も気分が上がりそうですね。

キッチン横からはウォークインクローゼットにつながっています。4.3畳あり、収納力抜群。有孔ボードや棚はお施主さん自らDIYで取り付けてさらに収納力を拡張しているそうです。

収納スペースをまとめてとることで、こだわりの家具が並ぶリビングの世界観と生活感を切り離すことができています。

そしてウォークインクローゼットにはもうひとつ入り口があり、こちらはサニタリーに通じています。

一筆書きの動線で済むよう、玄関からLDKに入る動線と、サニタリーに入る動線の2つが用意されているのです。帰宅して、リビングを通る前に、すぐに手を洗ったり、荷物をおいてお風呂に入ったりすることもできるスマートな間取り。

サニタリースペースは、躯体現しの天井に、剥き出しの換気扇、エントランスと同じ床の樹脂タイル。サニタリーに無機質な素材が合わさり、いつの日か宿泊したことのある、ヨーロッパのアコモデーションを思い出しました。

くすんだグリーンのクロスと真鍮の水栓が、ノスタルジックな雰囲気も。

寝室のクロスも選びぬいて。アンティークの照明もこだわりです。

メリハリのある内装に、お施主さんこだわりの照明やアンティークの家具、雑貨たちが並び、アパルトマンのムードを感じる住まい。お施主さんはもちろんのこと、訪れる人それぞれの特別な記憶を呼び起こすような空間でした。

株式会社アートアンドクラフト

建築設計/施工/不動産仲介/建物再生コンサルティングのプロ集団です。
大阪・神戸・沖縄を拠点に、マンション1室からビル1棟まで既存建物の再生を得意としています。

大阪R不動産も運営しているtoolboxのグループ会社です。

担当:庄司

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