長野県軽井沢町に建つ別荘。
南に向かって緩やかに下る斜面に建ち、栗や山桜の樹々の間を縫うように、くの字に配置されています。
まさにその土地のポテンシャルをそのまま預かって建てられたお家。2階からも地面との距離が近くなるように、1階の天井高を抑えて作られているという。その様子は、外観からもよくわかります。

こちらが2階のテラスからの視界。
2階にいながらも、森の地面が眼前に広がり、そのままテラスから地面に降りられそう、そんな距離感。

そしてテラスから続いていくお部屋が、くの字の頭に位置するダイニングキッチンです。森を借景にした気持ち良いキッチンです。こちらのキッチンにフラットレンジフードを入れていただきました。フラットレンジフードの四角いシンプルな形状が、白い棚板に挟まれ、装飾の一部かのように納まっています。

キッチンに続くお部屋はリビングスペースです。
斜面をなぞるようにキッチンとリビングのフロアは高低差をつけてつながっています。
室内と森の関係をなるべく等しくし、室内と窓の外の森を交互に視線が縫うような、そんな風景を楽しめる生活空間。

天井に木漏れ日が反射する、そんな光景も楽しめます。

こちらは1階です。キッチンの下にあり、階段を降りた先にある寝室。
天高の低さが籠り感を作りだし、檜の連続梁の現しになった天井が、落ち着く印象を与えてくれます。

家という領域を超えて自然と繋がったお家。
木々の成長や葉や幹の色付きの変化、そんな自然の変化とともに自分たちの暮らしも変化していく。

自然に委ねた暮らしだからこそ享受できる暮らしがある、そんな素敵なお家の事例でした。

Cell Space Architects

住宅や軽井沢の別荘建築を中心に、集合住宅、オフィス、文化施設、ランドスケープ、家具など幅広く展開しております。どのような環境においても、自然を感じられ、心地よく包まれるような 豊かな空間をつくることを心がけております。

テキスト:小尾

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