開放感とこもり感。長い時間を家の中で、ごきげんに過ごすためにはどちらも必要だと感じます。

今回ご紹介するのは、空間の仕切り方に気を配り、シーンによって最適な距離感を生み出したリノベーション事例です。

リビングダイニングを中心に、書斎とキッチンが繋がる間取り。ヘリンボーンの引き戸と、ふたつの窓がそれぞれの空間を仕切っています。

こちらの室内窓、枠に『アイアン塗料』を塗っています。その名の通り、塗るだけでざらっと無骨なアイアンの質感が手に入る塗料。ただ色をつけるだけでなく、テクスチャーをプラスしたい時におすすめです。

アイアンでフレームをつくろうとすると、コストも工事の手間もかかってしまいそうですが、こんな方法なら、取り入れるハードルも下がりそう。

ヘリンボーンの引き戸の把手と共に、さりげないアクセントになっています。白や木の明るい色味の中に線を引くように、ほんの少しでも黒が入ることで、空間が引き締まって見えますね。

引き戸の先は書斎スペースに。

普段は引き戸を開けておいて、ひと繋がりの広い空間に。業務開始と共に扉を閉めればこもれる空間に。引き戸が集中モードに入るスイッチになっているんです!

扉を閉めても室内窓があることで、リビング・書斎双方に光を届けることができます。壁に囲われながらも、視界の横に抜けがあると、心地よく仕事に集中できそうです。

特に自宅で仕事をされる方にとっては、長い時間を過ごす場所となる書斎。家の中でスペースを確保するだけでなく「どんな気分で過ごせるか」という視点も大切にしたいですね。

そして、書斎のお隣、もう一つの室内窓の先は……

キッチンに繋がっています!

白で統一されたクリーンで気持ちの良い空間。窓からたっぷりと自然光が差し込み、穏やかな空気が流れています。大判のタイルを縦に貼っているのも、おおらかな印象を際立たせていますね。

奥にはキッチン天板と同じ高さの木のカウンターが。作業台としてはもちろん、たまにはこっちで仕事をしてみたり、火を見る間にコーヒーを飲んで読書したり。小さな居場所があるだけで、キッチンでの過ごし方が広がります。

独立キッチンという間取りは「なんとなく閉塞感がありそう」「リビングの様子が分からなくて、寂しい」なんてイメージがあるかもしれませんが、こちらの家ではそんな問題を無くす工夫があります。

室内窓の枠は、周囲のタイルとの色味・目地の細さとのコントラストが印象的!

その一つは室内窓。斜め前にリビングダイニングがあるので、自然とそこで過ごす人の姿が視界に入ります。

そしてもう一つは、左前の壁がアールになっていること。

アールの壁は、柔らかな印象を与えてくれるだけでなく、視界の広がりも演出してくれるんですね。壁・天井は珪藻土で仕上げているそうで、優しく拡散する光も、空間に奥行きを与えているのかもしれません。

空間の仕切り方が、家の中の“居心地”に与える影響は大きいと、改めて気付かされる事例です。

(岩崎)

株式会社 空間社

世田谷区・目黒区・渋谷区・港区を中心とした東京都内近郊で、マンション・戸建て住宅のリノベーションを行っています。プランニングから設計、施工を経て完工・お引き渡しまで、同一の担当者が責任を持って進めていく、安心の専任制を採用しています。

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