所要時間
30分
かかった費用
¥8,748

主な材料・道具

アイアン塗料 1L缶(ブラック)
アイアン塗料 1L缶(ブラック)
¥10,450
マスカー、マスキングテープ、はさみ
マスカー、マスキングテープ、はさみ

塗るだけでアイアン風の、味わい深い質感になる『アイアン塗料』。

以前は「アイアン塗料をドア枠に塗ってみた! 」で、DIYで行う一般的な塗り方を紹介しましたが、アイアン塗料にはさらに奥が深い、上級テクニックがあるのです!ただ塗るよりも、質感をグッと上げるテクニック。

今回は、塗装職人の工藤文紀さんによる“プロの塗り方”を紹介します。

より深い質感を追求

今回はショールームに展示するサンプル用として、角パイプの端材に塗装してもらいました。

角パイプはもともと“鉄”ですが、アイアン塗料は厳密に言うと「ロートアイアン」と呼ばれる錬鉄工芸品の補修用塗料。ですので角パイプに塗っても、錬鉄のように鍛え抜かれた、立体感や重厚感を感じさせる質感に変えてくれるのです。

こちらがアイアン塗料。今回は全7色あるうちの「ブラック」を使いました。(写真はチャコールグレー)

下準備を怠らず

最初が肝心とはよく言いますが、塗装においてもそれは当てはまります。塗装を行う周りが汚れないよう、マスカーで養生をし、塗る面の汚れをしっかり落としておきましょう。

ポイントはハケを“立たせる”

ここからが本番。塗りの工程です。

塗料は缶の中で顔料が沈殿してしまうので、開ける前によく振りましょう。振ってもアイアン塗料は底に沈殿が多いので、さらに撹拌棒でよく撹拌しました。

使う分だけ他の容器に移して、使わない分は蓋を閉めてしっかり保管。アイアン塗料は2度塗りが必要な塗料ですが、まず1度目は通常と同じように横に滑らすように塗っていきます。
ここまでの流れは、こちらの記事も参考にどうぞ。

1度目は薄く塗ることがポイント。塗料自体がドロドロしたものなので、ハケは塗料に負けない硬さの「豚毛」を使いましょう。

柔らかい毛を使うと、塗料をうまく伸ばすことができないので薄く塗るのが難しくなります。

塗り終わったら、乾かします。

この日は天気が良く、薄く塗ったため1時間かからず乾きましたが、天気や塗り方によって乾く時間は変わってきます。手で触って付かない程度まで落ち着いたら次の工程へ。

2度目はハケを“立たせ”、毛先だけでポンポンと叩く感じで塗料を塗り重ねていきます。力を入れて抑えつけすぎるとムラがでます。ムラを作りたくない場合はほとんど力を入れず行うのがポイントです。

均一に全体を同じ方法で塗っていきます。

「本当に力を入れないで、重力で自然と落ちる感じで。」と、工藤さん。つかむ手はこんな様子。

普通に塗るより、凸凹と立体感が生まれました。

常識にとらわれない道具活用

もう一つ、同じテクニックではありますが、道具を変えてみるとまた違った表情になります。使ったのは、100円ショップで購入した豚毛の“お掃除用のブラシ”。

「お掃除用ブラシ!」と思われるかもしれませんが、この道具を選んだポイントは毛の硬さ。

先ほどのハケと同じ豚毛ではありますが、こちらのブラシはハケよりもさらに硬め。押し込むと反発するぐらいに硬い毛で塗ることで、先ほどのハケでは出せない表情を作り出すことができます。

1度塗りまでは先ほどのハケで同じように薄く塗り、乾くのを待たずにこのブラシにチェンジ。ブラシを立たせるところは同じですが、毛が少しクシャっとなるくらい力を入れ、塗り重ねます

毛が硬い分、いい塩梅にムラが出て絶妙な質感に。

ブラシや筆など、塗装用のものでなくても、「試しに使ってみたら意外と良い感じ!」という道具があるかもしれません。良い道具があったら是非、情報をお寄せください!

さらに裏技

2度塗りを終え、乾き待ちの段階でお掃除用ブラシよりも意外なアイテムが登場。上の写真は何かと思われたかもしれませんが、マスカーのビニール部分を丸めたものです。

まだ2度塗りが乾いていないところにくしゃくしゃにしたビニールをポンポンと叩きつけることで、塗料が伸びたり剥げたり。当て方によって表情は大きく変わりますので、様子を伺いながら、力を入れてみたりたくさん叩いてみたり。いろいろ試してみてください。

剥げたところが少し薄くなり、また違った表情が楽しめます。

仕上げにやすって磨いて

どのやり方で塗った場合も、2度塗りが終わってからは乾かします。厚塗りをした場合はもう少しかかる可能性もありますが、最低4時間は置いておきましょう。

ここまでで完成としてももちろんOKですが、今回はもう1技ご紹介します。完璧に乾いたなという状態で、なんとやすってしまいます!

やすることで塗料の凸凹が強調され、立体感や重厚感が増し、手触りも良くなります。手に直接触れる、ドアノブなどに塗る場合はやすった方が気持ちがいいです。

やするときは、荒いやすりは使わず、150~240番手の細かいやすりで磨いたほうが質感は良くなります。

上の写真は、工藤さんおすすめのアイテム「知り合いの塗装屋さんにもらったスポンジ」にて磨きました!

とても磨きやすくてよく使っているそうなのですが、工藤さんもどこで売っているかは知らないという幻のアイテム。やすりというか本当にスポンジなのですが、かなり細かく磨けるようです。

うむむ…。気になりますね。どこに売っているか知っている人がいたらご一報お待ちしています!

磨くと表面が滑らかになり、凸凹がここまで強調されます。

奥が深いアイアン塗料の魅力

上級テクニックを使うと立体感が生まれ、素材に厚みが感じられるようになりました。指でなぞってみても凸凹が感じられ、この重厚な触り心地が塗料によるものだとはわかりません。

今回は角パイプに塗りましたが、木製品やプラスチック。質感が遠いものに塗れば、よりその違いに驚くはずです。

通常の塗り方でももちろん魅力的な質感になりますが、ここまでの立体感や重厚感を求める方はぜひトライしてみてください!

この方に塗っていただきました

塗りlabo+  工藤文紀

アイアン塗料などの特殊塗装から、内装、家具、外部塗装まで、頼れる塗装職人さん。

例えば空の青がいいと言われた時に、その人の青はどんな青だろうというイメージのすり合わせのような言葉を交わして同じ青をみつける。そんなやり取りをずっと大切にしたいと思っています。

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