大阪・吹田市にあるY邸は、お施主様にとって2度目の住まいのリノベーションです。そのパートナーとして再び選ばれたのが、株式会社Arts & Craftsの「TOLA」というセレクト型リノベーションサービスでした。「スピーディーに希望を叶えられる」という点に魅力を感じ、2回目も同じサービスを選んだと言います。
今回のリノベーションでは、住まい兼アトリエとして使える家を目指しました。新たにふたり暮らしとなり、猫も家族に加わったことで、これまでとは違う住まいのかたちが求められました。
フルオーダーのような完全自由設計ではないものの、TOLAが厳選した間取りや建材の選択肢と、建物が本来持つ特徴や魅力を巧みに組み合わせることで、お施主様の個性と遊び心に満ちた唯一無二の住まいが実現しました。
アトリエ:最高のアートは、日々の暮らし
まずご紹介したいのは、この住まいのなかでもっとも重要な場所──アトリエです。
創作の場としての機能性を高めるため、壁一面には有孔ボードを採用。画材や道具を整理しやすいだけでなく、自作の作品を自在に飾ることで、自分だけの世界観をかたちにすることができます。
そして、その有孔ボードに目を向けると、ふと「窓」のようなものが現れます。
……いいえ、それは鏡です。
鏡は空間に抜けと奥行きをもたらす、大切な演出のひとつ。閉塞感をやわらげ、空間を広く感じさせてくれる効果があります。
鏡は、アート作品のフレームを思わせる縁取りのものを選びました。ここで過ごす日常をまるでひとつの作品のように映し出します。壁に飾られた絵と、今この瞬間の暮らしとが重なり合い、「最高のアートは、日々の暮らしそのもの」という想いがそっと伝わってくる──そんな印象的なアトリエの一角です。
ベッドルーム:猫とぬいぐるみが、夢を見守る
つづいてご紹介するのは、お施主様と猫がくつろぐための空間、ベッドルームです。この家で猫と暮らすお施主様にとって、寝室は猫にとっても大切な“マイルーム”。ドアには小さな猫専用の通り穴が設けられ、いつでも気ままに出入りできるようになっています。
室内に足を踏み入れると、白を基調とした空間にそっと添えられた水色の壁が、やさしくて穏やかな空気を漂わせます。
実はここ、もともとは和室だった場所。天井にその名残が見え隠れしているのも、どこか趣を感じさせます。和室の一部を取り払い、壁を白と水色で塗装しただけで、空間はまるで雲や夢のなかにいるような、ふんわりとした表情へと生まれ変わりました。
そして、この寝室で目を引くのが、ベッドのそばに設けられた大きなキャットタワー。
夜が更け、まどろみに落ちるころ……キャットタワーの上から猫が静かに見守り、天井の照明にぶら下がるサルのぬいぐるみや、収納棚の上に佇むドラゴンのぬいぐるみもまた、そっと寄り添うように「守り」の気配を添えてくれます。
水色の壁がつくり出すふんわりとした空気感と、お施主様の遊び心あふれるディスプレイが重なり合い、この空間には、現実とファンタジーがやわらかく交差する、あたたかな物語が静かに息づいています。「眠り」という日常のひとときすら、物語の一部に変わってゆくのです。
リビングルーム:三角形の出窓は、家の中の小さなオアシス
住まいの奥、日々の暮らしの中心となるリビング。そのなかでひときわ目を引くのが、植物がずらりと並ぶ「三角形の出窓」です。
出窓というと、意外と活用に悩むことの多い空間です。ましてやこの住まいにあるのは、一般的な四角形ではなく「三角形」の出窓です。 一層ユニークなこのスペースに、お施主様が見出した活用法は、大好きな植物たちを並べることでした。三角形という形状のおかげで、植物を置いてもブラインドの開け閉めがしやすく、窓の機能を損なうこともありません。
さらに注目したいのが、お施主様によるディスプレイの工夫です。エスニック調の小さなマットを敷き、小さな土偶や人形のオブジェをそっと添えて……この三角スペースはまるで、古代文明のオアシスのようなミニチュア世界になっています。
活かし方が難しいと思われがちな出窓が、住まいの中のとっておきの演出スポットへと変貌を遂げた瞬間です。
キッチン:料理愛がかたちになった「料理基地」
リビングの反対側には、対面式のキッチンがあります。
その正面の壁には、鮮やかなブルーの『レトロエイジタイル』が選ばれています。馬目地貼りに並んだ長方形のタイルは、ひとつひとつに微妙な濃淡があり、昔ながらの職人による手仕事を思わせます。そこにビビッドなブルーの色合いが加わることで、懐かしく親しみのある雰囲気に、若々しくクールな個性がプラスされています。まさに、お施主様の感性が光るアクセントです。
キッチンに一歩足を踏み入れると、背面の壁に設けられた4段の可動収納棚が目を引きます。そこには食器、調理器具、キッチン家電、そして野菜までぎっしり収納されています。
扉付きの収納棚と違い、オープンの棚は手に取りやすく、必要なものがすぐに見つかるのが魅力。また、奥の壁まで視線が抜けるため、キッチンの空間はもっと広く感じられます。
これだけでも十分な収納力ですが、このキッチンの魅力は、それだけでは終わりません。すぐ隣には小さなパントリーも備えられており、小麦粉や飲み物、愛用の輸入調味料などが並べられています。その佇まいは、どこかプロ仕様のキッチンを思わせます。
棚にびっしりと並んだ道具と食材、そして頼もしいパントリー。お施主様の料理愛は一目瞭然です。これほどまでに準備が整った空間を、もはや「キッチン」というよりも「料理基地」と呼ぶほうがふさわしいかもしれません。
トイレ:ちいさな美術館と、ひと息つける癒しの時間
LDKを出てすぐのところにあるのは、トイレです。
トイレの一角には、漫画が置いてある棚が設置されており、座りながらお気に入りの漫画を楽しめる、ちょっとした贅沢なひとときが演出されています。からだもこころもふっと緩む、まさに癒しの空間です。
さらに目を引くのが、ドア枠の上に設けられた「小さな美術館」。白いドアとその枠を活かし、岡本太郎の作品をモチーフにしたミニチュアが丁寧に並べられています。
一見すると「このディスプレイのために、わざわざドアの上に窓をつけたのでは?」と思えるほどの相性ですが、実はこのドアも窓も、もともとこのマンションにあったもの。お施主様のアイデア次第で、残されたパーツもこんなふうに生まれ変わり、空間の主役へと昇華するのです。
空間にふっと現れるアートの存在感。それが「トイレ」という意外な場所にあることで、ただの「用を足す」という日常が、ちょっと特別な時間へと変わっていきます。
洗面:一日の始まりと終わりに、気分がふっと高まる場所
洗面台は、玄関から伸びる廊下に配置されています。
オレンジの壁とブルーの小さなスクエアタイルで構成されたこの空間は、ここに暮らすふたりのお気に入りのカラーで彩られています。元気をくれるビタミンカラーとクールなブルーのコントラストが、ポップで元気な印象を与えてくれます。
玄関近くに洗面台を設けることで、外出前や帰宅後に身だしなみをさっと整えるのにも便利。
さらに、弾けるような色使いが目に入るたびに気分も自然と上向きに。朝はシャキッと背筋を伸ばして一日をスタートさせ、夜は「おかえり」と迎えてくれるように、疲れた気持ちをそっとリセットしてくれます。
玄関:ちょっとしたストレージルームに
洗面台のすぐそばには、玄関へとつながる土間のストレージが広がります。お施主様は、前回のリノベーションでも採用していた「土間のストレージ」というアイデアを、今回の住まいにも受け継ぎました。
洗面台とストレージの間にある壁は、今回のリノベで唯一の間取りを変更した箇所です。これは洗面のスペースを広く取るためですが、壁の上部にご注目ください!あえて天井まで届かない高さにしてあるんです。上部に抜けを設けることで、空間同士のつながりと抜け感が生まれています。面積としてはコンパクトながらも、視覚的な圧迫感が軽減され、ほどよく開かれた印象を保っています。
この玄関脇のスペースには、自転車や靴、帽子、バッグといった外出用品の収納はもちろんのこと、お施主様がこれまでに集めてきた漫画や書籍もずらりと並びます。
本棚のそばには小さなソファも置かれており、朝の出発前、支度を早く終えた方がそこに腰掛けて漫画を読みながら、洗面台で準備中の相手をのんびりと待つ。そんな何気ない日常のワンシーンも、ちょっと楽しい時間に変わってしまうような、暮らしの工夫が詰まった玄関です。
画家としてのアトリエはもちろん、猫との暮らしや料理、漫画、植物といった多彩な趣味が空間に自然と溶け込んでいます。さらに、壁の色選びや、トイレを小さな美術館に仕立てるといった工夫まで。
間取りもほとんど変えていないのに、Arts & Craftsセレクトのパーツや素材、そしてお施主様のこの家への愛情が合わさることで、随所に遊び心が光り、生き生きとしたエネルギッシュな空間に仕上がっています。
株式会社アートアンドクラフト
建築設計/施工/不動産仲介/建物再生コンサルティングのプロ集団です。
大阪・神戸・沖縄を拠点に、マンション1室からビル1棟まで既存建物の再生を得意としています。
大阪R不動産も運営しているtoolboxのグループ会社です。
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