お子様の誕生を機に、住み慣れた三軒茶屋にある中古マンションを購入し、リノベーションしたご夫婦。ご主人は自宅で仕事をすることも多いソフトウェアエンジニア。奥様はアスレチックトレーナーで、アスリートのリハビリなどをしています。

L型の珍しい住戸形状は、以前のオーナーが2つの住戸をつなげてこうなったのだそう。そのおかげで、リノベーションの際に水回りの位置を動かしやすかったのだとか。

約79㎡の家の中には、お客様が来てトレーニングをするトレーニングルームと、ご主人のワークスペースがあります。

まず玄関を入ると、アーチ型の出入り口と『マリンデッキライト』がお出迎え。玄関をはじめ、各部屋の壁に添えてあるのはダイカストトグルスイッチ』です。

玄関土間はL型に続いており、左壁面にはアウトドア用品も片付けられる収納を。正面から死角となる位置に、ベビーカーも置ける容量たっぷりな収納スペースを確保。猫用トイレもここに置いています。

アーチをくぐって左に抜けると広がるのは、奥様の仕事場であるトレーニングルームです。

窓が2つあるためとても明るく、風もよく通るので、奥様のお客様にもとても好評なのだとか。光と風を感じながらのトレーニングは気持ちよさそう。

トレーニングルームは、 夜には、ご主人がピラティスマシーンや窓際の棚に座って、音楽を聴きながらお酒を飲むリラックススペースにもなっているのだそう。

洗面は、トレーニングルームのすぐ横に設けました。お客様も手を洗えたり、トレーニング後に髪を整えたりすることができますね。

カラフルなタイルを取り入れた水まわりは、遊び心があふれています。洗面のタイルは、お散歩中にインスピレーションを受けて選んだというモザイク模様。トイレのタイルは、なんと三軒茶屋駅構内のタイルと同じ配色でした!三軒茶屋暮らしが長いというご夫妻の、街への愛着を感じます。

トレーニングルームの奥には、ウォークスルークローゼットがあり、その先にご主人のワークスペースがあります。そして、クローゼットの対面側にはトイレやバスルームを設置。

トレーニングに来たお客様がトイレを利用しやすく、奥様もトレーニング終わりにすぐ汗を流すことができます。ご主人も洗顔をして服を着替えてからワークスペースに行くことができるので、動線がとてもスムーズ。ワークスペースとトイレがすぐ近くにあるのは、在宅ワーカーにとって地味に嬉しいポイントです。

ちなみに、服の収納の裏には 元々窓がありましたが、服の日焼けを避けるために、取り外し可能なパネルを貼って遮光しています。

ご主人のワークスペースは、ピアノ部屋も兼用。グランドピアノとデスクの間にすっぽりおさまる椅子に座り、隠れ家のような雰囲気の中でお仕事をしています。

以前からピアノに興味を持っていたというご主人。コロナ渦に時間の余裕ができたことを機に、近所のピアノ教室に通い始めたのだそう。今では、ピアノ練習が朝のルーティンにもなっています。

お仕事の合間の気分転換としてもピアノを弾くことがあるとのこと。素敵なリフレッシュ方法ですね。

トレーニングルームからキッチン・リビングへは、シームレスに繋がっており、L型の住戸で動線が長い分、空間のつながりを感じるように扉は少なくしています。

奥様の仕事場であるトレーニングルームからもアクセス抜群な場所にあるのが、キッチン。玄関を入ってすぐ見える位置にありますが、手元の高さを隠す壁や一歩奥にパントリーをつくることで、生活感が出すぎない、住む人にも訪れる人にも心地いい空間になりました。

料理好きな奥様が鉄鍋を振るうのは、厨房のようなオールステンレスのキッチン。傷や汚れを気にしすぎず、ガシガシ使うことができる素材で揃えています。相棒の鉄鍋たちは、タイル面に『ハンガーバー』を取り付けて、見せて収納。

水栓は、セミプロ仕様の『スプリングホース水栓』を採用しています。ホースを引き出すアクションがなくスピーディーに作業できるので、家で仕事をしながら合間に家事をする奥様にはうってつけです。

キッチンの奥には、食器や家電などもたっぷり収納できるパントリーをつくりました。実は冷蔵庫もこの奥に格納。死角になる位置にすっぽり収まっています。

キッチンの先にあるのが、リビングダイニングとベッドルームがまとまったワンルームです。

リノベーションに臨む際、自分たちの生活パターンを整理したというお二人。1日の活動時間、音楽はいつ流しているのか、食事は家族みんなでとるのか、などなど。細かく整理していくことで、「リビングにベッド」というスタイルに行き着きました。

音楽が大好きで、三軒茶屋の街にも負けないくらい毎日賑やかな暮らしを送っているご家族。お子さんにとってはそれは生まれた時からの日常で、周りの音に関係なく寝起きしてくれるのだとか。

ワンルームは浮づくりの杉フローリングから、窓近くはタイル床に切り替えることで、外と中の境界線をゆるやかに感じることができます。その上には、室内干しができるように、と『アイアンハンガーパイプ』を採用いただきました。

「いつか戸建てを建てたいとなった時に備えておきたい」という思いもあり、内装やインテリアについて学ぶためにも、中古マンションリノベーションで家づくりすることを選んだというお施主様。完成した住まいについて、「間取りや設備に無駄がなく、すべての空間を有効活用できているのが心地いい、オーダーメイドのスーツを着ているような感覚」と話します。

一見空間が区切られてしまいそうなL字の物件ですが、配置を工夫することで、仕事も日常もゆるやかに繋がる空間に仕上がりました。ユニークな物件とご家族のスタイルがぴったりハマったことで叶った、仕事も趣味も生活も楽しみ尽くす暮らし。中古リノベだからこその魅力が詰まった事例です。

 

※こちらの事例はimageboxでも詳細をご確認いただけます。

EcoDeco(エコデコ)/株式会社Style&Deco

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テキスト:西尾

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