ストイックの中の“抜け”
ジムに足を踏み入れるとまず感じるのは、130坪という広大な敷地とそこに用意された豊富なトレーニングマシーンへの満足感。運動しにきたぞという気合いが入ります。
内装は黒やグレーを基調にまとめられていて、天井は配管がむき出しになったインダストリアルな構造、打ちっぱなしの壁。 まさに“鍛える場所”にふさわしいストイックさが漂っています。
けれど、それだけではないんです。
ラウンジスペースにはビビッドな青と木のコンビネーションが効いた壁があり、ストイックな空間とは対照的な、気持ちをふっと緩められるような場所に。
節の入った明るい木でつくられたテーブルも置かれており、疲れた身体を休める場所として機能しています。
“ストイックなのに過ごしやすい”。その絶妙なバランスが、体を動かすことを前向きにさせてくれるようでした。
照明が支える安心感と過ごしやすさ
素材や色以外の要素で「良いな」と感じたのは、空間全体の明るさについて。
明るいジムも多いですが、この空間はほどよく落ち着いた照度が保たれています。
汗をかいたり、ノーメイクで来る日もあるジムだからこそ、照明が控えめだと視線を気にせず過ごしやすい。
気持ちを落ち着けて運動に集中できる設計です。
水まわりや階段、出入り口にも、照明への目配り
ジムスペースで感じられた照明へのこだわりは、水回りや共用部にも自然に表れていました。
たとえば、トレーニングの前後に使う洗面スペース。
ここでは、木目の壁と白い洗面台で構成された空間の中に、『工業系レセップ』がさりげなく取り付けられています。
器具自体は非常にシンプルな黒いレセップと裸電球という構成ながら、ソリッドな印象が空間にほんのりとした緊張感を与え、見た目の“抜けすぎ”を防いでくれているよう。
ジムの世界観を崩さずに、空間の雰囲気をきゅっと引き締めてくれています。
地下に続く長い階段は、ジムの“入口”であると同時に、“帰り道”でもあります。行きは気合いを高める場所、帰りはトレーニング後の余韻を味わう場所。そんな多面的な役割をもつ空間に、『ライティングレールプラグ』と『ミラーLED電球』が採用されていました。
光を半分だけ届けるこの電球は、階段をぎらぎらと照らしすぎることなく、天井に沿って光のラインをつくるようなやわらかなあかりを演出。
「これから頑張ろう」とも「今日もお疲れ様」とも、声を掛けられているような気がします。
外観でまず目を引くのは、大型のサイネージディスプレイ。明るくジムの存在を知らせてくれるこの装置に加えて、実はその周囲にtoolboxの照明が使われています。
壁面の『ボールライト』と天井に付けられた『マリンデッキライト』です。
ディスプレイの明るさと対比するように、照明の演出は控えめで、それがかえって心地よさを生んでいる気がします。
素材選びや色選び、そして明るさや照明演出の方法。どれもが「鍛える場を、気持ちよく過ごせる場所に」という目的に向かって丁寧に設計されていることが伝わってきました。
ストイックに身体を追い込む時間の中にも、ふと気を抜ける瞬間がある。そんな空間でなら、きっと続けたくなる。そう思えるジムでした。
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