お施主様が引き継いだご実家は、築38年、3LDKで約62㎡のマンション。3方向開口の角部屋は一見、好条件に思えるものの、かつてここに暮らしていたお施主様は、夏は暑く冬は寒いことが悩みだったそう。また、車通りのある大通りにも面していました。
内装も設備機器も間取りも、ほぼ竣工当時のままだったご実家。夫婦二人がこれからをこの家で暮らすにあたり、既存の設備内装を全て撤去して、新しい空間を構築しました。
中に入ると、真っ直ぐLDKまで視線が抜けていく玄関。LDKの入り口にはガラス入りの引き戸を取り付けており、冷暖房効率やリビングが見えることが気になる時は閉じることができます。
LDKへと誘うように壁に並んだ灯具は『モデストレセップ』。ガラスグローブの半分がミラー加工された『ミラーLED電球』を合わせていて、壁側だけを照らすことで廊下を印象的な空間にしています。
玄関土間の左側にはトイレがあり、ラグを敷いて渡れるようにしています。トイレの前までフローリングにすることもできますが、ラグ敷の土間にすることで、玄関に広がりが生まれました。
土間は玄関の右手側にも続いていて、こちらはシューズクロークに。窓からの光を玄関に取り入れつつ、窓を開ければリビングまで風が抜けていきます。玄関とLDKを真っ直ぐ繋いだのは、この物件の長所だった風通しの良さを活かすためでもありました。
壁と床をグレーでまとめたトイレ。天井の隅から垂らされた照明は『ソケットランプ』です。トイレの照明というと、天井や壁に直付けするタイプをイメージすることが多いと思いますが、光源が低めの位置に来るように取り付けたペンダントライトが、コンパクトな空間に奥行きを生んでいます。
3LDKだった間取りは、夫婦二人暮らしに合わせて1LDK+WICに変更。ウォークインクローゼットは別室として設け、寝室はくつろぐことに集中できる空間にしています。
壁にはムラ感のあるダークグレーのクロスを取り入れ、寝具やカーテンもダークカラーで統一。部屋全体を照らす明かりではなく、壁と天井に陰影を生む『アルミニウムブラケットライト』を取り入れて、より落ち着いた雰囲気に。廊下と言いトイレと言い、照明の取り入れ方に、とてもセンスを感じます。
洗面室は、濃紺のクロスとタイルでコーディネートされていました。作業スペースを設けた広い洗面台の正面にはミラーが2つ、照明も『モデストレセップ』が2つ。忙しい朝も、二人並んで身支度できますね。
そして、玄関から覗いていたLDKがこちら。かつては2つの和室と独立型のキッチンがありましたが、穏やかな光が注ぐ伸びやかな空間になりました。
その伸びやかさをつくっているのは、掃き出し窓方向に伸びる無垢のナラフローリングと、それに対して垂直に走る窓辺のモルタル土間。床の素材に変化を付けて、ラインも二手に伸ばすことで、それぞれ方向の視界の広がりを強調しています。
難点だった暑さ・寒さは、LDK以外も含めて、外部に面した壁に断熱材を入れ直し、窓に内窓を取り付けることで改善。暑さ寒さを気にしなくてもいい窓辺は、インナーテラスとして積極的に使って楽しみたくなりますね。内窓は断熱と結露対策で入れたものでしたが、防音性のアップにも繋がり、雨風の音や大通りを行き交う車の音も聞こえにくくなりました。
物理的な静かさだけでなく、印象としての静けさも漂うこちらのお住まい。寝室やトイレ同様に、LDKにも暗色を取り入れて、落ち着いた雰囲気をつくっています。対面キッチンの腰壁はライトグレーのモルタル壁、キッチン背面の壁にはダークブラウンのクロスを取り入れました。腰壁の笠木やキッチン収納、収納扉には木目の主張がある木を選び、重厚感のあるカラーとバランスをとっています。
お施主様がセレクトした家具や雑貨も空間のカラーリングに合っていて、隅々まで感じる統一感もまた、空間に気持ち良さを生んでいます。
間取りや設備機器の使いやすさだけでなく、内装材の色や素材、明かり、温度や風、音など、「感覚」の面からも心地よいことを追求してリノベーションした住まい。かつて暮らしていた実家ならなおのこと、その居心地の変化を深く実感できそうです。
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株式会社 SMART ONE DESIGN
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