みなさん、家づくり妄想してますか〜?ショールームスタッフのももちです。
ショールームの新たな展示として製作することになった「クリンカータイル」のベンチ。
ショールームでベンチを作ることになった背景や、ショールームの舞台裏についてはこちらのコラムで詳しく紹介しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
平面へのタイル貼りはやったことがあるけれど、立体的なものへの施工は私にとって初めての試みでした。
「気をつけておけばよかった…」そんなハプニングも合わせて、実際に作ってみて気づいたポイントを交えて紹介しています。ぜひこのコラムをみて、一緒にトライしてみてくださいね!
サイズや納まりを検討する
「クリンカータイル」の発売に合わせて、ショールームの一角を今よりも使いやすくし、タイルの魅力を感じてもらえる場所にしたいと始まったタイルベンチ作り。まずは置きたい場所の広さを測ります。
そして、置きたい場所に収まるなかで、できるだけタイルカットをしなくて済むようなタイルの数になるように、完成のサイズを決めました。
この時、目地の幅が完成のサイズに影響するので同時に考えていきます。
昔から公共施設のエントランスなどで使用されている「クリンカータイル」。屋外という環境変化に耐えられるよう、目地幅は5〜10mmと広く取られていることが多いです。
しかし、今回は屋内での使用であることと、部屋の雰囲気に馴染むような軽やかな印象にしたいので、目地幅を少し細めの3mmで取ることにしました。
そうして割り出した完成のイメージはこちら!
そして、サイズと併せて考えたのは「タイルの納まり(おさまり)」。「納まり」とは、部材同士がどのようにつながり、仕上がって見えるかを表す言葉です。
例えば今回のタイルベンチなら
・上面と側面の境目をどう見せる?
・タイルの厚みが出る端部をどう仕上げる?
・コーナー部分でタイルをどうつなげる?
といった細部の「納まり」を事前に検討しておくと仕上がりの完成度がグッと上がります。
端部については、見切り材を使ったり、タイルのトメ加工(タイルの端を45度に切り合わせ、角を美しくシャープに仕上げる工法)を施したものを使用する場合もありますが、
今回はTBK(ツールボックス工事班)が施工した事例の写真を参考に、見切り材やトメ加工は使わず、上面のタイルを側面のタイルにかぶせる納まりにしました。上から見たときに側面のタイルの小口が見えず、上面がすっきり見える仕上がりです。
完成のサイズが決まったら、各面の割り付けを確認するため、展開図を書きます。展開図を起こすことで、間違いを防げたり、事前の納まり検討に役立ちます。
展開図を書くことで、どこにタイルカットが必要かも見えてきます。全体に必要なタイルの枚数は81枚。そのうちカットが必要なタイルは6枚。
今回は壁付けで設置するので、F面はタイルを貼らずに仕上げます。A、D、E面の角の部分は、タイルの厚み分小さくする必要がありそうです。
タイルを立体に割り付けるときは、タイル本体の寸法だけでなく目地幅も含めて考えます。
特に、入隅の部分(内側の角の部分)は、上面と側面のタイルの位置を揃えることに加えて、上面と側面で目地が繋がるようにする必要があるのですが、入隅の目地幅分を寸法に含めるのを忘れがちなので要注意です!
タイルベンチの土台を作る
1.寸法の検討
割付と完成後のサイズを決めたら、次に、タイルベンチの土台の構造とサイズの検討をします。
今回、寸法を検討する上でのポイントは
・強度を考慮した厚みと構造にすること
・土台の寸法はタイルの厚さを引いたものにしないといけないこと
まずは、「完成後のサイズ−タイルの厚み」で数字を割り出します。
上面から見た時に、側面のタイルが内側に収まるように、貼っていく必要があるので、土台のベンチは実際の寸法よりもタイルの厚み分小さくなります。
背面側は、タイルを貼らないので、タイルの厚みは含まないように注意!
今回の土台は、厚手の板材で四角いボックスを3つつくり、それらを組み合わせる構造にしました。
組み立てる時にどっちの面が勝つのかをイラストに起こして、必要な木材のカットサイズを割り出していきます。
3つの四角のボックスの材料は、材料の取りやすさ(歩留まり)を考え、25mmのパイン集成材の長さ4200mmのものを使用することにしましたが、もし参考にして作るのであれば、24mmのラワン合板でも強度に問題はありません。
上面の材料は、人が座った時に、継ぎ目の部分の強度が落ちてしまう可能性を考慮して、12mmのラワン合板を2枚互い違いに重ねることにしました。
高さは、タイルを床にぴったりに設置してしまうと、かけなどにつながる可能性もあるため、床に接する部分に3mmの隙間を設けます。
構造が決まり、サイズを割り出すことができれば、必要な材料の寸法が見えてきます。
2.材料カット
材料の取りやすさから長さ4200mmのパイン集成材と、3×6のラワン合板を購入することにしたため、持ち運びやすさも考慮して今回はホームセンターのカットサービスを使用しました。
カットサービスは、カット数で金額が変わるので、できるだけカットする数が少なくなるように、カット方法を事前に考えておくのがおすすめです。
丸鋸が使えない方や、ノコギリしか持っていない方は、カット部分がとても綺麗に仕上がりますし、作業もスムーズに進むので試してみる価値ありです!
3.組み立て
持ち帰ったら、カットした木材の仮組みをし、実際の寸法を確認をします。
この時、数ミリずれていると、タイルを貼る時の目地幅や完成の寸法に影響が起きるので、仮組みをしてみて、ずれがあった場合は、丸鋸で微妙な調整ができると完成度が上がります!
問題なければここから本組みに入ります。
まずは、ビスを受ける板の中心に打ち込めるよう、板厚の半分(板端から12.5mmの位置)に線を引きます。
本来はL字のクランプを使いますが、今回はクランプがなかったので、両面テープで仮固定してからビス留めしました。
精度が求められる家具造作では、両面テープ分厚みが増えてしまうのでおすすめしませんが、DIYであれば便利かなと思います。まだ家具作り初心者の私には、両面テープがしっかりとくっついたおかげで安心して作業ができました!
下穴を開けたら、1面に6箇所のビスを打って、四角の箱を3つ作ります。
インパクトドライバーの使い方やビスの選び方は、こちらの記事でも紹介しているので、自信のない方はこちらを読んでから作業するのがおすすめです。
4.土台完成
3つの四角の箱を組み合わせます。
組み合わさったボックスに、上面となるラワン合板をビスで留めていきます。
土台が組み上がりました!
最後に揺れや強度を確認して、土台の完成です。
タイルを貼る
1.墨出し
タイルを実際におきながら、貼る位置に墨出しをしていきます。
ここでハプニング発生!
タイルが納まらない場所が出てきました。
原因は、最初の土台のカット寸法の間違いです。
展開図のE面と、B面の完成時の寸法が同じだったので、土台の寸法も同じだと勘違いしていました。
実際は、B面は両側にタイルがくるので、その分E面よりも土台が小さくなります。そのことに、この時まで気づくことができませんでした……。
あんなに確認したはずなのに。いかに、土台の寸法が大事かを身にしみて感じました。
先ほどの詳細図のように、理解ができるまで、上からも横からも見える形にして確認しましょう!
※ちなみに、今までご紹介した寸法やイラストは修正後のものなので、安心して参考にしてください。
今回は端のタイルが足りなくなってしまったので、目地で調整することにしました。
2.タイル貼り
そして、タイルカット。
「よし、タイルカッター初挑戦だ〜!」と意気込んだものの、タイルカッターは一般的に磁器質で10mmくらいまでのタイルしか切れないことを知りませんでした。
今回カットしたい「クリンカータイル」は、せっ器質で、厚みが13mm。
ということで今回はTBKにグラインダーを使ってタイルのカットをしてもらいました。
後日、「東京 タイル 持ち込み カット」とインターネットで検索してみると、持ち込みでタイルのカットをしてくれるところを見つけました!東京以外の地域にもありそうでした。
自分でグラインダーでカットするのはちょっと難しいので、持ち込み加工を利用するのが良さそうです。うまくプロを頼るのも楽しくDIYができる方法かも!
タイルカットを済ませたら、タイルを貼るためにボンドを合板に塗っていきます。
後片付けをしやすいように、ボンドを出すコテ板に養生テープを貼り付けます。
コテでボンドをすくい、1面ずつ合板に塗っていきます。
広げ終わったら、くし目ゴテでボンドにくし目を深めに入れて、ボンドのくし目とタイル裏面の凹凸が直交するように貼っていきます。
「クリンカータイル」は、シート販売ではなくバラ売りのタイル。一枚ずつ貼る位置を均等に並べていく必要があります。
くし目をつけたので、多少墨出しの跡が見えます。それを頼りに3mmの厚みのパッキンを仮で挟みながら進めていきます。すぐにはくっつかず、多少動かせるのでご安心を。
貼るのは、A→D→E→B→C→上面の順番にタイルの小口が見えなくなる面から順番に貼っていきます。
全面を貼り終えたら、タイルのボンドを乾かすために、次の日まで放置します。
タイル貼りは、ボンドが乾かないように「少しずつ塗って貼る」の繰り返し。
均等に目地幅を合わせたり、貼ったタイルがズレないように支えたりと、意外と細かな手作業が重なります。1人では少し大変なので、ご家族やお友達と協力して進めるとスムーズで楽しいですよ!
3.目地を詰める
目地を混ぜていきます。採用したのは、ホームセンターなどで手に入る白のセメント系目地です。
今回のように厚みのあるタイルの場合、目地が深く入るため、一般的なタイル用目地材よりも「セメント系」を使うのがポイント。目地がしっかり固まり、後からひび割れするのを防いでくれます。
奥まで目地材を充填しやすいよう、絞り袋を使って目地を入れていきました。タイル表面への付着も抑えやすい方法ですが、今回はこの後、拭き取りで少し苦戦することに……。
目地材の裏面にある仕様書通りの水分量だと少し固く、絞り出すのが難しい。ある程度絞りやすい柔らかさが出るように少しずつ水を足しながら調整した方が良さそうです。
・厚手のタイルは目地をしっかり押し込む必要がある
・絞り袋などを使い隙間に注入する
・目地コテなどを使いしっかりと押し込む
4.目地材を拭き取る
スポンジを使って、目地材を拭き取っていきます。
絞り袋を使うとタイル表面への付着を本来は抑えやすいのですが、今回はその点を十分に意識せず作業してしまい、表面に目地材がモヤっと残ってしまいました。
「クリンカータイル」は釉薬のかかっていないタイルです。そのため、通常のタイルよりも表面に目地材が付きやすく、拭き取るのに少し苦労しました。
完全硬化してしまう前に濡れたスポンジなどで拭い去らないとかなり大変ですので要注意です!
目地を詰める段階で「できるだけタイルを汚さない」ことが重要ですね。
他の現場で「クリンカータイル」を床に施工した時には、目地幅に合わせてオリジナル治具を作って作業をしていたり、治具が使えない場所にはマスキングテープを貼っていたり、タイルの表面が汚れないようにしていました。
また、厚みのあるタイルの目地詰めでは、絞り袋と目地コテを使い分けるのがポイント。
絞り袋は目地材を奥まで充填しやすい一方、表面を平らに整えるのには向いていません。絞り出したあとに目地コテで押さえながら整えると、仕上げやすくなります。
「クリンカータイル」は、薄手の内装タイルとは違い、厚手の床タイルならではの作業が必要になることがわかりました。
今回のようタイル表面に目地材が残ってしまった場合は、目地材はアルカリ性であるため、サンポールのような酸性の洗剤を使うことで、目地材が取れやすくなるそうです。
実際にウエスにサンポールを染み込ませて作業をしてみると、モヤつきがきれいに落ちました。最後に水ぶきでサンポールを拭き取りました。
※酸性洗剤を使用する場合は、タイルや目地材のメーカーが使用を推奨しているかを確認し、目立たない場所で試してから使用してください。
〈検証!〉「クリンカータイル」日々のお手入れ検証
「目地の汚れが取りづらかったということは、日々の汚れってどうなの!?」ということで、後日釉薬のかかっていない「クリンカータイル」のお手入れについてを、クレイレッドと、サンドベージュそれぞれの色で検証を行いました。
・サラダ油
・お醤油
・ソース
・キッチンハイター
・コーヒー
・食器洗い洗剤
これらを、タイルの上に3点置き、左から〈すぐに拭き取った場合〉〈2時間後に拭き取った場合〉〈1週間後に拭き取った場合〉に分けて実際にどの程度拭き取りやすいかを試してみました。
このような結果になりました。
2つを見比べてみるとクレイレッドの方が色味が濃いので、サンドベージュよりもシミが目立ちにくそうです。
どちらにも共通して感じたことは、
・油の方がシミになりやすいが、液体が染み込んでいくまでに時間がかかるので(油分が多いものは特に)汚れたらサッと拭き取ることができた。
・個人的な感想としては、シミになっても嫌な汚れの残り方ではない。(色がこっくり濃くなっていく感じ)
すぐに拭き取れば、どんな汚れも全然目立たないので、気になる方は汚れたらすぐに掃除するのがおすすめです。
ご自宅で採用される際の参考にしていただけたら嬉しいです。
完成
紆余曲折ありましたが、無事に完成しました!
安心感のある座り心地と余裕のある座面サイズで、計画通り大きさはバッチリでした!
正直、事前に知っておけば完成のクオリティが違ったなぁと思う目地についての知識や、寸法への理解が不十分だった点については後悔する部分もあって、いつかリベンジをしたいと思っています。
実際に作ってみて気づいたポイントや注意点が、私と同じようにDIYをしたいと思っている人の参考になれば嬉しいです!ショールームにこのベンチができたことで、子供たちが自然に座って絵本をとって読んでくれる姿が見えるようになったり、イベントの時には、植物や古物と合わせてもとても素敵に見せることができたりするベンチになりました。
今回はショールームで荷物を置いたり、お客様に座っていただけるベンチとして作りましたが、家の窓辺や玄関にこんなベンチがあるのも素敵だな〜と感じています。
きっと遊びに来た友達が、自然に目に入り座ってしまう…そんなベンチになりそうです。
全く同じサイズで作るもよし、考え方を理解して、オリジナルのサイズで作ってみるもよしです!
ショールームにお越しの際はぜひ、実物の「クリンカータイル」ベンチに座ったり、お荷物を置いたりして、妄想してみてくださいね。