古建具や障子をキーに、線と面を効果的に使う、宮田さんのリノベーション。今回届いた事例は、木をふんだんに使った直線的な空間に、潔く球体の照明を採用しています。

住宅機能を備えた法人仕様の物件。写真左側は会議室、間仕切りの先は作業場。

ミルクガラス照明」は、名前の通りミルクのようなツヤのある白いガラスグローブの照明。水平と直線で描かれた空間に、ぽってりとしたフォルムがアクセントになっています。

梁など躯体の凹凸は白で塗装。白い部分だけでも線と丸の対比になっています。

天井は躯体をあえて露出させずに、ラワン合板を目透かし貼りに。建具の印象と合わさり、ノスタルジーを感じます。

写真右奥の建具にご注目。サッシが二重になっているのがわかりますね。実は、内側に古建具をつけているのです。

障子の格子と押縁の直線が凛とした印象をつくっています。

こちらの窓サッシには障子を。マンションでは共用部分とされる窓サッシを宮田さんが得意とする古建具使いで巧みに隠しました。マンションらしさが削ぎ落とされ、古民家のような窓辺に仕上がっています。

カウンターの一枚板が描く水平のラインがキリリと空間を引き締める。

対面キッチンは、大谷石貼り!四方のほとんどを木に囲まれた空間のなかで、ゴツゴツした素材感や白とも違う大谷石らしい色味が映えています。

“キッチンは住宅の顔”と考えているという宮田さん。大胆に重厚感のある素材を取り入れたことで、物件の中で一際目をひく空間になりました。

作業場から見えるキッチン。小さいタイプの「ミルクガラス照明」も。

格子状の造作棚が書類をピシッとまとめてくれる作業場でありながらも、ふと見上げると、ぽてっとした照明が照らしてくれる。

線と丸、固さとやわらかさのような対比する要素を各所に散りばめた空間は、住宅を兼ねた仕事場にぴったり。どこか懐かしく、でも背筋が伸びる感覚もあるような、唯一無二の空間事例でした。

宮田一彦アトリエ

古家の改修が大好物な鎌倉の設計事務所です。
現状残された要素を自分なりに解釈して住みやすい空間に再構築。 傷や汚れも「味」に思える空間が理想です。 懐古趣味ではないれけど、ベースである古家へ敬意を払う。そんな想いで設計しています。

テキスト:庄司

関連する事例記事

豪雨でも猛暑でも、住宅密集地でも諦めない!「外に開く」に挑んだ建築家の自邸
豪雨でも猛暑でも、住宅密集地でも諦めない!「外に開く」に挑んだ建築家の自邸
アウトドア好きな建築家が自邸を建てたのは、住宅密集地の路地の奥。掲げた家づくりのテーマは「外を諦めない」。周囲を家々に囲まれていても、ゲリラ豪雨や猛暑の日でも、「外」を身近に感じて暮らしたい! そんな思いから生まれた、内と外が緩やかにつながる住まいです。
118㎡に、旅の記憶と愛着を詰め込んで。宝箱のような海辺のヴィンテージマンション
118㎡に、旅の記憶と愛着を詰め込んで。宝箱のような海辺のヴィンテージマンション
L型バルコニーから海辺の街を見渡す、広さ118㎡の角部屋。世界各地から持ち帰った思い出の品々を、自分好みの色や柄で彩った“箱”に詰め込んでつくった、とことん私的なリノベーション空間をご紹介します。
ホテルライクに暮らす。モノトーンに木の彩りを添えた、素材のコントラストが映える住まい
ホテルライクに暮らす。モノトーンに木の彩りを添えた、素材のコントラストが映える住まい
「ホテルライク」と「家事ラク」は両立できる? 街中にある61㎡のコンパクトマンションを、ホワイト×グレー×ブラックを基調にリノベーション。回遊性のある家事動線で、ホテルのような居心地を無理なく保てる住まいを実現した事例です。
光を誘い、奥へと導く「タイルの曲がり壁」。移ろう光を愛でる住まい
光を誘い、奥へと導く「タイルの曲がり壁」。移ろう光を愛でる住まい
64㎡の縦長マンション住戸を貫くのは、約10mのタイル壁。ゆるやかに弧を描くタイルの壁が、時間や天気によって表情を変えながら空間を彩る、マンションリノベーション事例をご紹介します。