築28年の2階建て戸建て。ご主人のご実家を引き継いでご家族で暮らしており、当初は必要最低限のリフォームを想定していました。しかし、打ち合わせを重ねるうちに「ここでこの先もずっと心地よく暮らしたい」と思える理由をつくろうと、住まい全体を見直す方向へと気持ちがシフト。そこで今回、家族みんなが集まる1階のパブリックスペースを中心にリノベーションを進めることになりました。
玄関に入ると、まず目に入るのが正面の漆喰仕上げのR壁。やわらかな曲線が空間に落ち着きを添え、ニッチには季節の花やお気に入りの小物を飾れるようにしています。
アウトドア好きなご家族の暮らしに合わせて、玄関自体も広さをしっかり確保。下足棚に加えて、たくさんの道具が気持ちよく収まる壁面収納もつくり、使い勝手と見た目の両方が整った空間になりました。
玄関からリビングまでは仕切りをつくらず、ひと続きの抜け感が心地よいつくりに。その動線上には独立したオープンの洗面を配置し、 家族みんなが毎日の動きの中で、気持ちよく使えるようにしました。
洗面台は、限られたスペースにもぴったり収まる、サイズオーダー可能な『スクールシンク』を採用。ステンレスならではの質感が空間のアクセントになっています。収納は『棚付きボックスミラー』を取り入れて、見た目すっきりでも容量はしっかり。壁の仕上げに『古窯70角タイル』を合わせたことで、どこか可愛らしさのある表情にまとまりました。
浴室を囲むようにスペースを配置した、開放的なLDK。
天井の一部をあえて高くして既存梁をあらわしたことで、住まいが重ねてきた時間が感じられる、落ち着いた雰囲気が生まれています。そこに造作ソファと一体の収納を組み込み、少しこもれる“ヌック”のような居場所も用意。広さの中にも家族が自然と集まれる、心地よい溜まり場になりました。
ソファの下は引き出し収納。布団や衣類など、日常的に使うものをしっかりしまっておける使い勝手のよいつくりです。
天井を下げてつくり出したヌックの上部には、小物や本などをしまえる収納スペースもありました。
オリジナルで造作したキッチンは、奥さまのこだわりを反映した場所。好きな器をいつでも眺められるように、自然な木の風合いを活かしたオープン棚を中心にデザインしています。キッチン本体は『オーダーキッチン天板』とバーチ材を組み合わせた壁付けスタイルで、横幅もゆったりと、使いやすさと心地よさを両立したキッチンになりました。
棚板の間に挟まる障子のアクセントは、ほどよい和の落ち着きを空間にプラスしています。実はこの位置には既存の窓があり、その存在をやさしく隠すために障子を取り入れたのだそう。
淡い胡粉色の『古窯タイル』は木との相性がよく、空間に寄り添うように馴染みます。
ステンレスのキッチン天板に合わせてフラットレンジフードもステンレスで揃えたことで、素材同士のバランスが心地よくまとまりました。
LDKから外を眺めると、田園風景がゆったりと広がります。今回のリノベーションでは、この景色を暮らしに取り込むことも大切なテーマのひとつでした。
住み継いできた家が今の暮らしに合わせてアップデートされ、ここからまた新しい時間が積み重なっていく。そんなことを想像すると、これからここでどんな風景が広がっていくのか楽しみです。
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