お施主様が購入したのは、築49年、59㎡、3LDKのマンション。ひとり暮らしのお施主様は、それを約17.5帖のLDKと、ウォークスルークローゼットという間取りにリノベーション。LDKの一角をカーテンで仕切れるようにして、ベッドスペースにしています。

独立した寝室はないけれど、代わりにつくったのは約6帖の広さがあるウォークスルークローゼット。玄関を入ってすぐにアクセスでき、洗面所へのアクセスもすぐ。朝の身支度も帰宅後の着替えもしやすそうな間取りです。

服好きだというお施主様。ウォークスルークローゼットは天井に『アイアンハンガーパイプ』を取り付けて服を収納しています。オープンなクローゼットは服の一覧性が良いだけでなく、湿気がこもらないのも良いですね。

さらにこのウォークスルークロゼットには洗濯機も置かれており、「着替えて、洗濯をして、干して、しまう」がここで完結するんです。

室内干しできるランドリールームは最近見かけるようになってきましたが、クローゼットとランドリールームを兼用するのはグッドアイデア!窓がある場所にレイアウトして、採光と通風を確保しているのもポイント。

廊下との仕切りには室内窓を入れて、外からの光を廊下と玄関まで取り入れています。ずらりと並んだお気に入りの服たちが室内窓越しに視界に入るたび、テンションが上がりそうです。

そんなクローゼットと繋がっている玄関も、「見せる」仕様になっていました。下足入れは作らず、モルタルで作ったロングベンチの下に靴を並べています。

壁に取り付けた『インダストリアルフック』には、バッグを飾るように収納。バッグの定位置をつくる&収納パーツに気を配ることで、「頑張らなくても整う」空間にしているのが参考になります。

壁の上部にはピクチャーレールが仕込まれていて、これは「気に入った絵を飾りたい」というお施主様のリクエストに応えたもの。モルタルのベンチにモルタル風の塩ビタイル床という、無機質な素材感で整えられた空間は、飾った絵が映えそう。

お施主様が希望したのは、「ギャラリーのような空間」。その意向は玄関だけでなく生活ゾーンであるLDKにも反映されており、内装は白とグレーを基調にして構成されています。

服やバッグはウォークスルークローゼットにまとめているので、LDKの壁面には最低限の造り付け棚しかなく、白壁が際立つすっきりとした空間になっています。

そしてこのLDKで着目したいのは、床!

フロアの中央だけがフローリング貼りになっていて、その周りをグレーの塩ビタイル床がぐるりと囲んでいます。

寝るところ、食べるところ、くつろぐところ。ワンルームの中で営まれる暮らしの様々なシーンを、ひと繋ぎにするように巡らされたグレーの床。単調になりがちなワンルーム空間にメリハリを生んでいて、お気に入りの家具たちのレイアウトを楽しむヒントにもなっています。

キッチンは、白とグレーで構成された空間に馴染むステンレス製を採用。レンジフードは『フラットレンジフード』のステンレスをお使いいただきました。

チェスカチェアを合わせたダイニングテーブルの天板は、グレーの「モールテックス」仕上げ。脚はステンレスのものを組み合わせて、ダイニングテーブルもキッチンに同化させています。

白とグレーで構築された世界の中、唯一鮮やかなカラーを取り入れたのは洗面所。お施主様の好きな色であるビリジアングリーンのタイルで彩り、気分を切り替えられる場所にしています。

壁に添えたブラケットライトは『ミニ磁器レセップ』で、写真だとちょっとわかりづらいのですが使っている電球は『ビンテージLED電球』。E17の小ぶりな灯具がコンパクトな洗面空間に似合っています。ドライヤー掛けには『インダストリアルフック』が使われていました。

玄関と廊下に出入りしやすいウォークスルークローゼットに、寝室一体型のワンルームなLDK。お施主様はこの家に住み始めて、掃除が日課になったそう。確かに、ドアや引き戸の開閉が少ないので、掃除が楽そうです。

服、絵、家具。お気に入りのものたちを眺めながら暮らす。自分にとっての「幸せ」を追求した、ワガママで心地よい住まいです。

株式会社拓匠開発
千葉市中央区弁天2-20-20
https://takusho.co.jp/
テキスト:サトウ

関連する事例記事

雪見窓に縄すだれ、「見え隠れ」の空間設計。約60㎡に古民家の趣を創り出したマンションリノベ。
雪見窓に縄すだれ、「見え隠れ」の空間設計。約60㎡に古民家の趣を創り出したマンションリノベ。
日本の民藝や世界の手仕事、古道具を愛するご夫婦と、2匹の愛猫が暮らす住まい。都心のマンションのワンフロアに、古民家のような静謐な世界を実現しました。本物の石を使った扉や、流木で仕立てたキャットタワーなど、趣ある素材選びと、空間を完全に閉じすぎない曖昧な繋ぎ方によって生み出された、美しい陰影で魅せるリノベーション事例です。
家族の気配が行き来する 「おかえりカウンター」のある住まい
家族の気配が行き来する 「おかえりカウンター」のある住まい
家族が増えたことをきっかけに、約46㎡のルーフバルコニーがある住まいを購入したご夫婦。目の前に広がる眺望を暮らしの中に取り込みながら、家族それぞれの気配がゆるやかにつながる住まいへとリノベーションしました。
生活も家事も、1階で完結する暮らしに。料理好きの母のための親孝行リノベーション
生活も家事も、1階で完結する暮らしに。料理好きの母のための親孝行リノベーション
60代のお母さまがひとりで暮らす実家は、築30年の木造2階建て。洗濯もの干しと寝るためだけに急な階段を上り下りしていたのを、これから先も見据えて、暮らしの動線を刷新。1階で家事と生活が完結する住まいにリノベーションしました。
マンションの一室に本格茶室。「好きなことをして暮らしたい」を形にした、4人家族の趣味と生活が共存する家
マンションの一室に本格茶室。「好きなことをして暮らしたい」を形にした、4人家族の趣味と生活が共存する家
本格的な茶室に、壁一面の本棚、映画を楽しめるスクリーン、秘密基地のような子ども部屋に、寝そべりたくなる無垢の床。「実用性より、楽しいと思えるほうを選ぶ」を家づくりの指針にして、家族それぞれの“好き”を盛りだくさんに詰め込んだ、70㎡のマンションリノベーション事例をご紹介します。