所要時間
2時間(乾燥の時間を除く)
かかった費用
2,810円

主な材料・道具

蜜ろうワックス 300ml缶
蜜ろうワックス 300ml缶
¥5,400
スポンジ
スポンジ
ウエス(不要なTシャツ)
ウエス(不要なTシャツ)
マスキングテープ
マスキングテープ
爪楊枝
爪楊枝
アイロン(衣類スチーマー)
アイロン(衣類スチーマー)
雑巾
雑巾
  • 「蜜ろうワックス」のみの金額です。

はじめての無垢フローリング

無垢フローリングの家に住んで約7ヶ月。浮造りのパイン材のフローリングは、程よく凹凸があって、素足で過ごすととても気持ちよく、気に入っています。

無垢フローリングは、原木からそのまま切り出された一枚板を用いるフローリングのこと。オイルやワックス塗料で仕上げると、木本来の質感や風合いを感じられる床材です。

一方で、オイルやワックス塗料で仕上げると、ウレタン塗装に比べて、傷がつきやすかったり、水濡れに弱かったりという点が懸念として挙げられますが、水で濡れたらすぐに拭いたり、固いものがぶつからないようにものを運ぶときに気をつけたり。自然とフローリングにそんな配慮をしながら過ごしてみて、大事なグラスを扱う時のようで、なんだか心地がいいなと思いました。

年末が近づいてきて、フローリングも乾燥もしてきたようなので、はじめてメンテナンスに挑戦しようと思います。

メンテナンスは「汚れを落として、保湿をする」という、スキンケアと同じ考え方。今日は、フローリングの美容デーともいえましょう!

メンテナンスに使う塗料選び

フローリングの塗装には種類があります。主な塗料の種類は、オイルやワックスなどの塗料やウレタン塗料。それぞれ性質が異なり、見た目、質感、使用後のメンテナンスの仕方も変わってきます。

フローリングの塗装の違いについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

フローリングの塗装仕上げとメンテナンス[ フローリングガイドVol.3 ]
フローリングの塗装仕上げとメンテナンス[ フローリングガイドVol.3 ]
「見た目」の違いだけじゃない。塗装仕上げの違いでメンテナンスの仕方が変わります。

無垢フローリングは、触れた時に木の質感を感じられたり、経年変化が楽しめるのも特徴。無垢ならではの良さを楽しむため、オイル塗料を選ぶ方も多いのではないでしょうか。

ちなみに、オイル塗料とワックス塗料の違いは、液体か固形かです。ワックスは固形化したオイルのこと。オイルはミルク、ワックスはバターをイメージすると性質がわかりやすいです。ワックスは、オイルよりも塗膜が厚いので、木の表面を保護してくれる役割があります。

再塗装をする際は、仕上げに使われていた塗料を使います。

自宅のフローリングは、『ワトコオイル』を2度塗りした後に『蜜ろうワックス』で仕上げているので、同じ「蜜ろうワックス」を使用してメンテナンスをしていきます。

「蜜ろうワックス」は、無漂白の国産蜜ろうと天然エゴマ油の2種類のみを使用しており、お子さんやペットにも安心安全なワックス。しっとりとした質感を生み出してくれる仕上がりが人気です。

再塗装は年に1回が理想とされていますが、目安は乾燥してきたり、汚れが付きやすくなったなと気づいたタイミング。再塗装を繰り返していくと、どんどんオイルが馴染んでくるので数年に1回でよくなるかもしれません。

念入りな掃除が大前提

塗装は塗り継ぎの箇所にムラが出てしまうので、1面塗りが基本とされていますが、今回はワンルームということもあり、部屋半分だけ再塗装してみます!今後、再塗装をした場所としていない場所の差分の経過もみていきたいと思います。

ベッドや洋服ダンスを避けるのが、思ったより重労働。今日寝る場所を確保できるように、モノを避けていきます。

家具や寝具を奥に避けて。この日は限られたスペースにマットレスを敷いてなんとか寝られました。

現状のフローリングはこんな感じ。右側にはベッドを置いていて、真ん中あたりはよく通る場所。日が良く当たるからか、オイルで着色された色が少し褪せてきているようでした。

掃除をしながら、フローリングの凹みを発見したら緑のテープで印をつけておきました。

ワックスを塗る前には、汚れが除去されていることが大前提。丁寧に掃除機をかけていきます。

フローリングの隙間に詰まったゴミは、爪楊枝で掻き出します。

なんだか耳掃除みたい……。

普段は気にならない程度なのですが、掃除機をかけても表面にうっすらと埃が残ってしまうので、拭き掃除は必須。かたーく絞った雑巾で水拭きしたあと、完全に乾燥してから塗装するのがベストです。ここは、大掃除、と思って、頑張ります。

隙間は指を立てて拭いていきます。乾燥しているため、フローリングの隙間は広めでした。

フローリングの凹みを復活させてみる

塗装作業に移る前に、フローリングの凹みの復活を試みます。無垢材の性質を利用して、木材が湿気を含んで膨らむことで凹みの修復をはかります。

見えるでしょうか。3mmほどの浅い凹み傷です。

まずは、直したい凹みの上に、濡らした雑巾を被せます。

その上から、スチームアイロン(今回は、衣類用のスチーマー)で蒸気を当てていきます。

10秒くらい当ててみて、様子見。まだそんなに変化はないかも。

数秒当てて、様子をみて、を何度か繰り返していくと……このくらいまでには回復しました。

些細な差ですが、凹みがあることを知らなければ、気づかないくらいにはなったのではないでしょうか!

アイロンを当てすぎると、色が褪せてしまうこともあるので、少しずつ様子をみながら行ってください。

木目が断裂してしまった、少し深い傷にも試してみました。

蒸気を当てた周辺は膨らんでいるのですが、繊維が断裂してしまっているところがつながるわけではないので、どうしても限界がありそうです。

Before

After

湿気と熱で凹みを回復させられるのは、本物の木だからこそ。膨らみやすさや蒸気を当てる時間は、木材や状況によって異なるので、少しずつ様子をみながら試してみてください。

無垢フローリングにワックスがけ

フローリングが乾燥したら、お待ちかねのワックス塗装!とその前に、マスキングテープで壁やサッシを養生します。壁の塗装が剥がれないように、粘着力の弱いテープを使うと良いと思います。

壁に塗料がつくとシミになってしまう可能性があります。

テープ付きの養生シートなどを使ってもいいですが、壁にべっとりつけてしまうことはないだろうと、テープで進めます。

アバウトな性格が出ますが、壁と床の境目だけは頑張って丁寧に貼りました。

そしてこちらが、「蜜ろうワックス」。取扱説明書もついてくるので安心です。

スプーンで缶を開けると、こんな感じ。

ワンルームの床と家具のメンテナンスに使う程度なので、300mlを購入しました。

今回は、100均で購入した柔らかいスポンジを使って塗っていきます。

冬場ですが、作業時の室温は20度で、ちょうど良い柔らかさでした。ちょうど常温のバターくらいです。

大体カレースプーン半分くらいを、スポンジに均等に伸ばしていきます。

本当に食パンにバターを塗っているみたいな感覚!もしワックスが硬いと感じたら耐熱容器に移して湯煎すると良いそうです。

スポンジに気持ちよくするすると伸びていきます。

端から優しく塗っていきます。するすると塗れて、気持ちいい!

塗っていないところと見比べると気持ちがいいくらいのツヤが現れて、テンションが上がります。

奥からジグザグと木目に沿って塗っていきます。

ポイントは、優しく力を入れすぎないこと。強く握って塗ると、1箇所にベタっとついてしまう感覚がありました。

同じ厚さの膜を均一に伸ばすイメージで薄く伸ばしたら、手で触ってベタつくところがないかチェックします。ベタつきは塗りすぎということなので、さらに薄く伸ばしていきます。

目視ではなかなか分かりませんが、手で触ると「あ、ここはまだベタっとする……」と明確に分かります。

これくらいの面積が塗れました。塗装のコツは膜を均一に伸ばすことなので、小さい範囲に少しずつ塗るよりも、届く範囲で大きいストロークで塗り広げるのがコツだそうです。

樹種によって、どれくらい消費するかは変わってくるので、実際に塗ってみて確かめてみてください。

うちのフローリングでは、スプーン半分で0.6㎡くらい塗れました。これを目安に塗り進めます。

スプーン半分ほどが塗れたら、すぐにウエスで乾拭きをしていきます。ここでのポイントは、均一に引き伸ばす感じで拭くこと。

手で触ってロウを感じる部分がなくなるように伸ばしていきます。

着なくなった綿素材のTシャツをカットしてウエスにしました。

奥から手前になるように、次の箇所に取り掛かります。フローリングの幅で面積を把握しながら進めます。

正直なところ、住み始めて1年も経っていなかったので、乾燥してきたとはいえ、そこまでではないだろうとたかを括っていました。しかし、塗っていくとその差は歴然。「こんなに乾燥していたんだね」と、なんだかさらに愛着がわいてきます。

半分くらい塗ってこんな感じ。

ひたすら、塗って触って拭き上げてという作業の繰り返し。単純作業は好きなほうですし、どんどんツヤを取り戻していくフローリングをみていると、楽しくなってきます。

フローリングの隙間も丁寧に。

掃除が苦手な私からすると、フローリングのメンテナンスって、掃除以上に面倒そうで大変そうで、腰が重いなという感覚があったんですが、はじめてみると「楽しい〜!」と言いながら塗り終えてしまうくらいには、思ったより遥かにポジティブな時間でした。一番大変だったのは、撮影前にベッドなどを避ける作業といっても過言ではないです。

これはもっと面積が広かったり、家族と一緒だったりすると、1年に1回のイベントとしてさらに楽しめそうです。

お客様がご家族で家のメンテナンスを楽しんでいる暮らしは、こちらの記事でご紹介しています。

離島で暮らす、限られた子供との時間。自然素材をつかった住まいで、メンテナンスしながら家を育てる暮らし
離島で暮らす、限られた子供との時間。自然素材をつかった住まいで、メンテナンスしながら家を育てる暮らし
離島の山の中にある築80年越えの古民家を子供達との今の時間を楽しむためにリノベーション。無垢材などの自然素材を取り入れた空間で、メンテナンス時間を楽しみながら暮らしているお客様にお話を伺いました。

予定していたところを全て塗り終えた様子がこちら。木目が際立ち、生き返りました!

10㎡ほどを再塗装し直すのに、1時間もかからないくらい。

グリーンから奥は今回再塗装していない部分。

最後に、もう一度ワックスで拭い取ります。ウエスに油分がつかないくらいまで取れるとベスト。

バターを塗ったパンを放置してもなかなか乾ききらないように(やったことはないですがイメージで……)、ワックスも蒸発乾燥をするとものすごく時間がかかります。

できるだけ拭い取ったら、完了!

ついでに家具も一緒にメンテナンス

フローリングの再塗装が完了したので、ついでに『フリーカット無垢材』と『スチールプレート脚』でつくったデスクも一緒にメンテナンスしてみました。

Before ワックスが剥がれてきたり、表面が少し乾燥してきていました。

After ツヤを取り戻したテーブル天板。塗り重ねただけですが、ワックスの剥がれも目立たなくなり、スベスベに。

ちなみに、こちらのデスクをDIYした時の記事はこちらです。

賃貸ワンルームでDIY初心者がデスクをつくってみた!
賃貸ワンルームでDIY初心者がデスクをつくってみた!
DIY未経験のtoolboxスタッフが、自宅で仕事用の机をつくってみました。材料の購入から、完成までの模様をご紹介します。

他にも、木製のカットボードやコースターも一緒にお手入れしました。同じ塗料で仕上げたアイテムが多いと、一度に済ませられるのでありがたい。

これにて全ての再塗装が完了です!

作業した手とウエスは、それはもうしっとりとしています。

片付け要注意!水で濡らしてから破棄

さて、全ての作業を終えたら残すは片付けのみ。

ワックスを含んだウエスやスポンジは、水分を含ませて処分するのが鉄則。そのまま捨てたり、置いておくと、自然発火するリスクがあります。

今回は、使い古したジッパー付きのビニール袋にウエスとスポンジ、水を入れてそのまま燃えるゴミへ。

作業はこれで終了。あとは半日〜1日ほど乾かすだけです。「蜜ろうワックス」は、匂いが気にならないので、乾かしている間に過ごせる別の部屋がないワンルームなどで使うにはもってこいだと感じました。

一晩乾かすと、ツヤが落ち着いて木目のインパクトもやや和らいでいい感じ。しっとりとした質感になりました。

塗り終えた直後はツヤが強かったですが、時間をおくことでしっとりした仕上がりに。

メンテナンスが必要な素材との暮らしを楽しむ

フローリングのメンテナンスをするとなれば、自ずと掃除はするし、一度モノを全て避けるため、インテリアや家具の配置を見直す機会にもなったなと思います。

今回は、ワンルームということもあり、実験的に部屋の半分だけをメンテナンスしてみましたが、これから半年後くらいに、反対側の半分のメンテナンスもしてみようと思います。

ツヤを取り戻したフローリングで過ごす時間は、気持ちがいい!

黙々と手を動かし続けられる作業なので、予定がない休日に、好きなラジオや音楽をかけながら、フローリングのメンテナンスをしてみてもいいかもしれません。フローリングにツヤが取り戻せたということだけでなく、時間の過ごし方にも、新たな選択肢が生まれたような気がします。

年末に限らず、思い立ったが吉日。メンテナンスが必要な素材との暮らしを楽しんでみてください。

紹介している商品

PT-WP001-01-G141
¥5,400
PT-WP001-02-G141
¥14,300
テキスト:庄司

関連するDIY記事

フローリングを塗装でリメイクしてみた
フローリングを塗装でリメイクしてみた
「床の色味が気に入らない」けど、貼り替えるのは大変。じゃあ、塗って色を変えられないか?ということで、塗装で違う表情の床にリメイクしてみました。
寝室にヘッドボードをつくってみた
寝室にヘッドボードをつくってみた
壁面のアクセントとして人気の『ウッドウォールパネル』。今回は寝室のヘッドボードに使ってみました。
素材の重厚感を増す アイアン塗料のプロ技
素材の重厚感を増す アイアン塗料のプロ技
立体感と重厚感ある鉄の表情を生み出す、アイアン塗料の上級塗装テクニックを紹介します。