リフォーム済みの中古物件の流通が増えているここ最近では、キッチンなどの水回りが、新しいものに変わった状態で手に入れるケースも多くあります。設備としては、まだまだ使えるキッチン。見た目の好みや理想のレイアウトに合わないからと交換してしまうのはなんだか勿体無い。
また、長く付き合ってきたキッチンがくたびれてきても、レトロで好きな扉や思い入れのある部分だけ活かすことができたら……。
今回紹介するのはそんな思いから、キッチン本体をそのまま活かしてイメージを刷新した事例たち。キッチンリメイクはここまでできる!と可能性を感じていただけたら嬉しいです。
パーツに分解して再利用!?キッチンレイアウトだって自在に
今あるシステムキッチンをブロックのように組み替えて使うことができれば、丸っと交換せずとも、レイアウトを変えたり、食洗機やオーブンの新設が叶います。
考えてみれば、システムキッチンは天板とキャビネットが組み合わさってできたもの。バラして再利用するという、手間と技術が必要な、ちょっと難易度の高い挑戦ですが、こんな活かし方だってアリなんです!
case1 20年付き合ったIKEAキッチンの木天板を切って仕立て直し。面影を残して「気になる部分だけ」アップデート!
新築時にたくさん調べて、自分で選んだIKEAのキッチン。思い入れはあるけれど、シンク周りの木天板が腐食してきたり、少しづつ使いにくさを感じてリフォームをすることに。
白い扉は綺麗に再塗装、木天板をカットしてシンクだけを交換。ステンレスのシンクは、デッキのあるタイプを選ぶことで、水仕事のストレスがなくなりました。
造作した吊り戸棚は、下部をオープンにして取り出しやすさにも配慮。コンロ横には、ステンレス天板の作業台を新設しスペースを拡張しました。
あるべきものがあるべき場所に収まった、コックピットのようなキッチン。長年付き合ってきた空間だからこそ辿り着いた、使い手仕様の最適解です。
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case2 古くてチープな感じが好き。キャビネットを残して、高さや設備は自分仕様にカスタマイズ!
購入した中古物件で使われていたレトロなキッチン。プラスチックの把手に、少しベージュがかった面材など、懐かしさを感じる部分は好き。でも、高さや設備が今の生活には合わない。そこで気に入っているキャビネット部分を残して、必要な物を継ぎはぎする、新旧入り混じりなキッチンを目指すことに。
天板を外してバラバラにしたキャビネットは、シナ合板で囲って補強をしつつ高さを調整。食洗機やオーブンなどの設備を入れ込み、サイズオーダーできる『オーダーキッチン天板』をオン。
既存の棚や窓枠など、濃い木部と喧嘩しないよう、シナ材にはホワイトのオイルを塗って彩度を落とした仕上がりに。背景には白タイルを合わせることで、道具やスパイスが映える一角になりました。
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case3 I型キッチンを “切って”L型のレイアウトにリメイク!
元は壁付けのI型だったシステムキッチン。リビングとの繋がりを持たせるために、真っ二つに切って、L型のレイアウトに変えられないか?とチャレンジした事例。
リビングに対面したシンクの造作部分は、左官仕上げの天板と『織物壁紙』で質感をプラス。
上部は白いタイルと主張の少ないレンジフードでスッキリ。手が届きにくい吊り戸は無くし、オープン棚にすることで、圧迫感を軽減。好きな食器を飾りながらしまえるようになりました。
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キッチンのリメイク過程、記事にて紹介しています
「切る」だけでなく、面材の取り替えや天板の研磨も合わせて行った今回のキッチンリメイク。詳しい作業の工程はこちらの記事からご覧いただけます。

TBK(ツールボックス工事班)で、リフォーム相談を受けている中で出てくるキッチンへの課題や不満。「こう変えていきたい」を聞いていくと、キッチン本体を新しく入れ替えなくても解決できるケースがあります。
例えばガスコンロや食洗機など設備の入れ替えはもちろんのこと、天板を継ぎ足したり、扉を交換して意匠を変えたり。キッチン本体ごと交換するしか選択肢がないと思われていることも、今あるキッチンを活かそうと思えばできないことではないんです。実際に提案をすると「こんなやり方もあるんだ!」と驚かれるお客様も多いです。
今の困りごとの原因が、キッチン本体にないのなら、その分の予算を床を貼り替えたり別のことにまわすこともできます。
もちろん、部分だけを交換できないつくりでリメイクできないシステムキッチンもあったり、本体ごと交換した方がメリットが大きいケースもあります。そんな可能性も視野に入れつつ、まずは施工をしてくれるプロに、自分のやりたいことを相談してみるといいと思います。
その際に大切なのは、今困っていること、不満なポイントをより具体的に伝えること。リフォームを通してどうなりたいか?が具体的に思い描けているほど、提案もしやすいですし、擦り合わせが上手くいくと思います。
システムキッチンの「扉だけ」交換して叶える、木のキッチン
キッチンの中でも、面積の大きいキッチン扉や吊り戸棚の扉。この面材を変えるだけでも、空間全体の印象は大きく変わります。
中でも造作したような見た目に仕上がるのが、風合いのある木の扉。既存内装の木部との色合わせや、把手やタイルなど小物の利かせ方が際立つ事例をご紹介します。
case1 ラワン合板と真鍮把手のキッチン扉。ヴィンテージな内装に似合う佇まいに
ヴィンテージマンションに少しづつ手を加えながら暮らす建築士夫婦のキッチン。元々使われていたキッチンのガスコンロを入れ替え、食洗機も新設。
更に、扉はラワン合板にワックスを塗ったものに付け替えてイメージを変えました。把手に添えた真鍮がさりげないポイントに。
アイボリー色のタイルや、腰壁や床など、時間をかけて変化してきた内装にも似合う、風合いのあるキッチンに生まれ変わりました。
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case2 リフォーム済みのシステムキッチンをオークに着せ替え。作業カウンターや収納も一体で増設。
購入したのは、リフォーム済みの中古マンション。交換されたばかりの綺麗なシステムキッチンの見た目を変えるため、オークの突板でつくった扉に交換。
また、I型の壁付けキッチンでも作業がしやすいように、L字に繋がるカウンターとオープンな吊り戸を造作しました。天板はキッチン扉と同じオーク材で一体感を出しています。
壁面には、表面に凹凸のある素朴な印象のタイルを合わせて。かっちりとラインの揃った空間の中に、ゆらぎのある光沢のコントラストが目を引く仕上がりです。
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こんなサービスもあります!
既存キッチンの扉だけを交換する工事サービス。扉を交換するだけなので、大掛かりな工事にならず、今のキッチンの雰囲気をガラッと変えることができます。
こんなアイデアも!
キッチン扉を交換せずとも、つまみの交換と「箔シート」を使って印象を変えた事例。ミニマムなDIYで今のキッチンをアップデートする参考にどうぞ!
塗って・貼って、メタリック擬態
汚れや古さが気になるキッチンは、表面を塗ったり貼ったりするのもひとつの手です。
ただ色を変えるだけでなく、素材の質感も変えてしまえば、周囲の設えとともに好きな世界観をつくり込むことができるかも?そんなポテンシャルを秘めたアイデアたちをご覧ください。
case1 「ザ・昭和」なキッチンを塗ってアイアンの質感に!
約築50年の熱海のリゾートマンション。くたびれていたキッチン本体に吊戸棚、うっすらピンクのタイルまで『アイアン塗料』の「シルバーグレー」で塗装してイメージを一新。
ざらつきのある手触りに仕上がる塗料のため、お手入れのしやすさを考えて、水はねや油汚れがつきやすい前面の壁だけ、新しくタイルを重ね張り。キッチンや吊り戸棚は、扉を外しオープンな収納にすることで物を取り出しやすくしています。
汚れや傷が気になるキッチンの質感まで変えてしまう。「塗る」のポテンシャルの高さを感じさせてくれる事例です。
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case2 真鍮ラバーのミニキッチン。金属プレートを貼ってカスタマイズ!
ミーティングスペースの一角に置かれたミニキッチン。元々は木の面材が使われたキッチンでしたが、家主の真鍮好きが高じて、1.5mm厚の「真鍮」と「銅」をDIYで貼ってカスタマイズ!
渋く経年変化していく過程を楽しめるよう、クリア塗装をかけずそのまま使っています。
キッチンをL字に囲うラワンの造作本棚は、角をアールにしていたり、棚板を止めるダボも真鍮というこだわりっぷり。キッチンのシンク下、配管部分も木の板で目隠し。ヴィンテージシェルフのような佇まいのキッチンです。
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キッチン本体には手を加えず、対面カウンターで印象や使い勝手を整える
器や調理家電をすっきり収納したり、冷蔵庫置き場と繋げておこもり感を持たせたり、マルチに使えるカウンター。
最後にご紹介するのは、カウンターに焦点を絞って好きな雰囲気をつくり込んだ事例。キッチン本体が今のままでも、ここまで見た目は変えられるんです。
case1 カウンターと扉でアイコニックに。コレクションの器で彩るキッチン。
「過ごす時間が長く、仕事で撮影する機会も多いので、家の中でも一番アイコニックな場所にしたい」とキッチンにポイントを絞ってリフォームした家。
『クラシックリブパネル』を使ったカウンターを新設。視界に入る扉もブルーグレーに塗装して、キッチンのポイントにしています。
カウンターは、オークの天板を耐水性のあるステイン系塗料仕上げ、裏面は食器やカップをしまえるようにと、実用性も兼ね備えた仕様に。
背景は、既存のシステムキッチンを含め、白を基調としたシンプルな内装に整えて。小口に木目を効かせたオープン棚や、道具を引っ掛けておけるバーを使って、道具や器で彩るキッチンに仕上がりました。
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case2 カウンターと冷蔵庫収納で囲んで。配置は変えずに独立型のおこもり感も実現!
10年前にリフォームされていたキッチン。使えるものはそのまま活かしつつ、気になるポイントだけ変えていくことに。
「料理に集中したい」と独立型にすることも考えたそうですが、新設した冷蔵庫置き場とカウンターで囲んで、こもれるキッチンに。カウンターは「クラシックリブパネル」をあしらい、家具との馴染みの良い仕上げにしています。
背景となる部分も気になるところをチューニング。元々あったツヤツヤのキッチンパネルはマットな質感の「塗装のキッチンパネル」に。把手もアイアンのものに付け替えることで印象を変えていました。
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こんなアイデアも!
ガラスキャビネットに『ハニカムタイル』を使った天板を載せてカウンターのようにカスタマイズしたアイデア!カウンターを一からつくるのは大変ですが、ちょい足しのDIYでも満足感はグッと上がります。

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今回ご紹介した以外にも「キッチンリメイク」のタグからユニークなアイデアたちを見ることができます。空間づくりの参考にぜひご覧ください。