DIYをしてみたいと考えている人には、まさに夢のような条件が揃ったこの物件はUR都市機構が提供している「DIY住宅」。どんなに手を加えても基本的には原状回復をしなくてもよいという物件で、なんと改装期間の補助として3ヶ月間の家賃は免除という特典までつくから驚きです。

カスタマイズ内容を事前にURに伝えることは必要ですが、本気で家づくりをしたい人にはもってこいです!

今回取材にお邪魔させて頂いたお宅は、東京都世田谷区にあるフレール西経堂。そこにお住まいのご夫婦が友達15人の協力のもと解体から電気工事をのぞく全ての施工を3ヶ月という期間で行いました。

あまりにも素敵な空間だったので「DIYで家をつくることの魅力」を感じて頂けると思います。

お二人はもともと自由に内装がいじれる物件を探していたそうですが、なかなか予算や場所の条件に見合ういい物件が見つからず、半分諦めていました。

そんなときにたまたま訪れたURの現地案内所で他の物件の内見に行こうと席をたったまさにそのタイミングでDIY住宅のパンフレットが目にとまり、この物件の存在を知ったそうです。

そのまますぐに内見に行き、気に入ったご主人がこの物件に決めたそう。

元の状態が特徴的なわけでなく、手を加えることが前提の部屋でしたが他の物件にしたいと思う気持ちは無かったですか? と奥様に聞いてみましたが、「これと決めたらとまらないので、応援することにしました(笑)」との回答を頂きました。奥様のご理解があってこそですね。

お二人の一番のこだわりは、お部屋の中心に置かれた長いテーブル。足場板でつくられたこのテーブルを置くために、2部屋の和室を区切っていた壁を取り払い床を統一し、もともとダイニングだった場所もあわせて一室化しました。

テーブルを中心に2人の生活は行われているので、いつもお互いの存在を感じられるそう。

「彼女がキッチンに立って料理をしているとき、僕はテーブルに座ってご飯ができるのを待っている。そんな時間が心地よいですね。」

料理を作る奥様も、キッチンのスペースが足りなくなったら後ろを振り返ってテーブルの上でも作業ができるのでとても便利なようです。

ちなみに奥様のお気に入りキッチンにはtoolboxの商品である『スライスウッド』が貼られていました。

縦横とバランス良く貼られているのが素敵です。

細部にこだわったDIY

今の家に大変満足されていることは伝わってきましたが、実際にどんなところをDIYしたのでしょうか。

手を加える前の最初の状態を見せて頂きましたが上の写真のような和室。

トップの写真とほぼ同じ角度から撮影されているそうですが劇的に変化していることがわかります。

解体をして、フローリングを貼り、壁と天井の塗装、キッチン周りのタイル貼り、さらにはテーブルと棚つくり…。文章で書いてしまうとひと言ですが、家の中のほぼ全てに手が加わっています。

解体の様子。和室の壁と天井を抜き、畳を剥がしました。

天井はビフォーの写真を見てもらうとわかると思うのですが、もともとの天井から比べると、斜めになっている一番高いところで1.6m 低いところでも60㎝上がったそうです!

このお部屋が最上階だったこともあり、ここまでの天井高が確保できたという理由もありますが、これだけの変化があると住んでいるときの気分も大きくかわることでしょう。

また、天井裏に使われていた下地材は、新たに立てる壁に再利用したそうです。

ゴミを少しでも減らすことができ、かつ材料費を抑えることもできる。手間暇をかけることでコストを抑えられるアイデアですね。

フローリングは知り合いの業者から紹介してもらった「ヒノキの間伐材」を使用してお家全体に貼りました。

三重県の生産地まで見に行かれたそうで、材料の元の状態まで調べるというこだわりよう。節があることで自然を感じる気持ちのよい風合いで、お部屋が明るく感じられますね。

意外にも難しかったのは珪藻土を壁に塗る事だったそうです。写真だと白い塗料と珪藻土の違いがわかりにくいですが、パソコンが置かれたデスク側とその逆の壁には珪藻土が塗られています。

メンバーの何人もが代わる代わる塗ったのでそれぞれのクセが出たのと、ご主人自身も慣れる前と後では違いが出てしまい、全体としてはムラのある仕上がりになりました。

ただ、「自分たちで楽しく出来たのでこれはこれで良いかなと思います。」とご主人。

このくらい割り切った考えがDIYを楽しむには必要なのかもしれません。

私が個人的に一番好きだった箇所は玄関。

玄関に貼ってあるフローリングですが、よく見ると裏返しにして使われています。

裏にある溝のせいで細いフローリングに見えましたが、他と同じ材料を使っています。

同じ材料でも使い方を変えることで違った表情になるのが面白いですね。ちなみに、ここにある靴棚はテーブルで使用した足場板のあまりを使ってつくられています。

全て自分たちでやってみて 実際のところ

DIY中のご主人の様子を奥様に聞いたところ、普段よりも格段に早起きになり、前日の夜から「明日は朝からDIYだー!」と意気込んで寝ていたそうです。

今でもときどき手を動かしたくなるようで、すっかりハマってしまったご様子。DIYをやることで得られるものは理想の住まいに加えて『楽しさ』という部分が大きいのでしょうね。

今回のお二人の場合は、支えてくれた15人の精鋭部隊である友人たちの力もあったと思いますが、楽しむことが好きな人にはやっぱりDIYはおすすめです!

最後に、一番気になってしまう金額面ですがトータルで 『 90万円 』で仕上がったそうです。このなかには材料代・道具工具代・廃棄物処理代・さらに「手伝ってくれた友人へのご飯代」も含まれています。

金額的にも自分たちでやった方が確実に安く出来たと満足の様子。 確かにこのボリュームを90万円は凄い!

建築設計のお仕事をされているご主人は「自分でつくる事で改めて家を理解することが出来たので、本当にこの家を選んで良かった。これからはDIY出来る賃貸があることをいろんな人に伝えていきたい。」と話しています。

最後に奥様が力強く言った、「この家、気に入っています。」

この言葉にお二人の気持ち全てがつまっているように感じました。

物件情報

UR都市機構のDIY住宅
フレール西経堂

紹介している商品

WL-WB012-05-G141
¥5,800/㎡