海を見渡せる絶景の場所。コンクリートの躯体剥き出しの広々ワンルームが特徴的。ホームセンターでも手に入るような構造用合板を間仕切りに使い、手が込んだ設計技を施してないにもかかわらず、憧れてしまうかっこ良さ。そこには住む人にとっての居心地や暮らしやすさの欲求をそのまま空間に落とし込んだ、住処や秘密基地といった言葉が合うお家がありました。

早速内部をご紹介していきたいところですが、まずは、このお家の「海ビュー」をぜひ見ていただきたいのでこちらから。

キッチンからの海ビュー。お家の北側が海に面しており、青く澄んだブルーが目の前に。

こちらが仕事スペースからの海ビュー。
こんな近いところに、海があるってなんて贅沢でしょうか。時間を忘れてしまいそうです・・

そんな海の気持ち良さに浸りながら、早速、内部を紹介していきます。

まずは、こちらのキッチンスペースから。
正方形をした造作の作業台の中にシンクやコンロ、お鍋や食器といったキッチン道具の全てがここに凝縮されています。
よく使う調味料は天板中央に置かれ、シンクやコンロがその周りを囲い、ぐるぐると回りながら料理する、そんな遊び心が詰まったキッチンです。
引っかけの裸電球を上から落とし、夜はその明かりがまた料理づくりを気持ちよくしてくれそうです。

キッチンの横には、大きな天板のシェーカーテーブル。資料や本を広げて仕事ができます。
また奥行きをゆったりとった長椅子では、途中休憩に寝転がってお昼寝なんてのも気持ちよさそうです。

続く隣のスペースには、自転車たちが。
趣味の道具や季節ものの家電を置いたり、大物をストックしておく場所でしょうか。
家全体の床に敷き詰められてる塩ビタイルは、丈夫な素材なのでこういった大きな道具を気兼ねなく置いておけるのもいいですね。

そしてこのお家の極め付けは、水回り。驚きですよね。
洗面ボール、トイレ、バスタブ、用を足す最低限のパーツが置かれている、という斬新さ。
仕切りってなんだっけ?と考えさせられる、暮らしの原点に立ち返られせてくれるそんな空間。

実はこの浴槽からも海が見えるんです。
海と反対にあるにも関わらず海を望めるのは、心地よさを優先し、仕切りをなくしたからこそ得られたものです。

玄関先にはウッドデッキが広がり、食事をしたり、日向ぼっことをしたり、外の気持ちよさも楽しめます。

海辺だからこその景色、住まい心地、これらを素直に体で感じとることができる家。
「こんな暮らししてみたいよね」という人間の欲求が詰まった理想の暮らしが見られた素敵な事例でした。

(写真:矢部達也建築設計事務所)

矢部達也建築設計事務所

大阪市街の古ビルと和歌山日高町の海辺の平屋、リノベーションしたふたつの拠点で活動中。暮らしやすさ、働きやすさ、居心地のよさ、屋外のきもちよさなどを大切に、これまでの価値観を問い直し、大胆な構成と繊細なディテールをもつ空間づくりをご提案いたします。住宅、リノベーション、集合住宅、店舗、オフィス、クリニックなど。土地探しのお手伝いも承ります。

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テキスト:小尾

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