撮影:坂下丈太郎

目の前を川が流れる眺望が決め手となったという、リバーサイドに建つマンションリノベーション。

「リビングとダイニングが一体になった空間をつくりたい」というお施主さんの要望を受け、主役になったのは、窓の正面に配置したコの字型のダイニングキッチンです。

モルタル天板を平行に2枚、そこに木天板を突きつけました。モルタルのキッチンに木のダイニングカウンターを並べたような構造です。

一つのキッチンに、2つの素材の天板を取り入れる斬新なアイデア。モルタル天板は、躯体現しとした天井・壁と風合いがよく合い、空間をまとめています。一方で、一辺を木天板とすることで、軽やかな印象も。

当初は全てモルタル天板の予定でしたが、食卓として温かみをプラスするため木天板を採用。(撮影:坂下丈太郎)

コンロは油はねや汚れなどを考慮して壁側のモルタル天板に、シンクは窓向きの木天板に配置しました。

木天板をダイニングとして分けるのではなく、あえてシンクを配置することで、キッチンを拡張しながらも、ダイニングカウンターとして機能する、ダブルワーカーのような存在になりました。

撮影:坂下丈太郎

キッチン兼ダイニングカウンターの木天板は、バーチ耐水合板に水や汚れに配慮した特殊液体ガラス塗料で仕上げました。シンクとしては水濡れや汚れは気になるけれど、ダイニングとしては木がよく合う。そんな懸念をクリアできる仕上げにしました。

撮影:坂下丈太郎

シンクは木天板の開口に上からはめるオーバーシンクという形状のもの。ブラックのシンクにブラックの『ハンドホース水栓』を合わせて、空間を締めています。

キッチン周り、特にシンクはステンレス製が一般的ですが、こちらのシンクはクォーツ製。マットな質感が木天板によく合い、ダイニングの雰囲気を邪魔しません。

「キッチン機器は黒でまとめたい」というお施主様のご希望を受け、コンロやレンジフードはブラックで統一。IHコンロは『クリアブラックIHヒーター』。(撮影:坂下丈太郎)

実はこちらのキッチンでは、ステンレスがあまり使われていないことに気がつきます。定番素材を使わないことで、キッチンらしさを削ぎ落とし、リビングの延長として溶け込んでいます。

バルコニーにはリビングと同じ床レベルでデッキを計画し、リバービューの眺望をリビングの延長として楽しめるように。(撮影:坂下丈太郎)

木天板のダイニングカウンターを介してキッチンと一体化したリビングルームには、木天板と揃えた白樺のフローリングを採用。照明やハンガーパイプのブラックで締めつつも、温かみのある空間になっています。

「自然とダイニングで過ごす時間が増えました」とお施主さん。毎日キッチンに立つ時間も景色を眺めながら。その眺望や食事を求めて家族が自然と集まったり。

キッチンとダイニングカウンターを兼ねた木天板が、この家の良さを生かし、家族をつなげる存在になっているのだと感じました。

紹介している商品

  • 「クリアブラックIHヒーター 3口 W600(200V)」は販売を終了しました。
アートアンドクラフト

アートアンドクラフト

建築設計/施工/不動産仲介/建物再生コンサルティングのプロ集団です。
大阪・神戸・沖縄を拠点に、マンション1室からビル1棟まで既存建物の再生を得意としています。

大阪R不動産も運営しているtoolboxのグループ会社です。

テキスト:庄司

関連する事例記事

北欧ヴィンテージのトーンを纏って。愛着ある家具から始まった、好みを五感で味わう家づくり
北欧ヴィンテージのトーンを纏って。愛着ある家具から始まった、好みを五感で味わう家づくり
お施主様の趣味であるサウナから着想を得た洗面室、愛車が映える広々とした玄関土間。長く愛用してきた家具のトーンを内装へ活かしつつ、多様な素材で切り替えることで、場所ごとに異なる居心地を生み出しました。住まう人の「好きな雰囲気」を家全体へ丁寧に浸透させていった家づくりをご紹介します。
座る?台にする?寄りかかる?団地の外構にヒントを得た、“用途不明確”な場所が点在する建築家の自邸リノベ
座る?台にする?寄りかかる?団地の外構にヒントを得た、“用途不明確”な場所が点在する建築家の自邸リノベ
古い団地を歩くと目に留まる、何気ない段差や構造物。そこに腰掛けて井戸端会議をする人たちがいたり、登ったり、机代わりにしたりして遊ぶ子どもたちがいたり。何気ないものが、誰かの居場所になっている。そんな「団地の風景」を家の中まで引き込んだ、建築家の自邸リノベーションをご紹介します。
暮らしの中心は、大きな石のキッチン。海外で育まれた価値観が息づく102㎡の住まい
暮らしの中心は、大きな石のキッチン。海外で育まれた価値観が息づく102㎡の住まい
海外居住歴の長い夫婦が102㎡のマンションをリノベーション。分厚い石天板のキッチンを軸に、人が自然と集まり、それぞれが思い思いに過ごせる住まい。空間の随所に、お施主様らしい美意識が息づいています。
あえてLDKを広げない選択。60㎡で家族4人の「完全個室」を実現したシェアハウス的リノベーション
あえてLDKを広げない選択。60㎡で家族4人の「完全個室」を実現したシェアハウス的リノベーション
ツールボックス工事班|TBKが設計施工を担当させていただいた、限られた面積で家族4人全員の個室をしっかり設えたマンションリフォーム事例です。