穏やかなしまなみを望む尾道市瀬戸田で、多様な居場所を生み出す「SOIL Setoda」
広島県・尾道港から船で40分。しまなみの島々の間を抜けて、瀬戸田港に降り立つとすぐに、賑わいを感じるエリアがあります。コーヒーロースタリーや食堂、銭湯。サイクリングや写真撮影を楽しむ人たち。
瀬戸田港と昔ながらのお店が連なる商店街をつなぐコンパクトなエリアに、古民家や蔵を改装したお店や施設がぎゅっと集まっています。ここで、「まちのリビングルーム」をコンセプトに、近隣住民や観光客の居場所を生み出しているのが、2021年に生まれた「SOIL Setoda」。
港を望むこの場所では、淡いブルーの海がオレンジ色に染まるまで、穏やかに時間が過ぎていきます。コーヒーを飲んだり本を読んだり、なんの変哲もない過ごし方が、そのまま心地よい時間として記憶に残っています。
瀬戸田での出会いを広げる、ライブラリ
そんな「SOIL Setoda」に、新たな居場所として加わったのが、ライブラリショップと4つのゲストルームを備えた第6棟目の新棟。築140年の蔵をリノベーションした「Overview Coffee Setoda Roastery」の裏手に位置し、他の棟へも徒歩30秒程度。宿泊施設でありながら、まちの流れの中に自然と組み込まれています。
1階にはライブラリと小さなセレクトショップが一体となった「Kokage Books(コカゲブックス)」。建築やアート、旅など、「SOIL Setoda」がセレクトした書籍が並び、宿泊者だけでなく地元の人もふらりと立ち寄ることができます。
ここで借りた一冊を、ここで読むか、部屋で読むか、それとも別の棟や浜辺に持っていくか。一般的な図書館と同じように、読む場所を限定しない。このまちに開いた距離感が、暮らしているように滞在できる理由なのかもしれません。
テーマは「せとだの木陰で読書」。土を感じさせるテラコッタタイルと、丁寧に仕上げられた合板の造作棚、中央のひょうたん型のテーブル。有機的な素材で構成された空間は、読書を日常の中に取り込んでくれます。
スマホを休ませて、本と景色を楽しむ。居場所がたくさんある瀬戸田ならではの楽しみ方です。
瀬戸田の情景を受け止めるゲストルーム
新棟の2階と3階は個室のゲストルーム、1階にはドミトリーが設けられています。どの部屋も、室内にいながら、まちや港の気配が自然と入り込んでくる設えです。
港を行き交う人や自転車、柑橘色のバス、連なる島々。他の棟も含めて、「SOIL Setoda」からの景色は、いわゆるオーシャンビューとは少し違い、自然と人の営みが重なった瀬戸田らしい情景そのものです。
3階は専用のバルコニーがあるペントハウス。傾斜窓からそんな情景を堪能できる、施設内唯一のスイートルームです。
部屋に入ってすぐ目に入るのがこの景色。1階で借りてきた本を、ここで読んだらどんなに気持ち良いでしょう。ワーケーションも捗りそうです。
30㎡の空間に、ツインベッドとベンチも窓向きに備え付けられています。
カーペットとクッションにはブルーがあしらわれ、空の淡いブルーと海のエメラルドグリーンとグラデーションを描いているよう。空間が外にもつながっているような伸びやかさが心地良い。
フローリングは白っぽく色が抜けたような、グレイッシュな色味。同じ長さのフローリングを幅方向を揃えて貼っていく“すだれ貼り”で貼られていて、木の主張を抑え、景色や光を引き立てています。
このタイル壁の裏が水回り。洗面から浴室まで同じタイルで仕上げています。さすがはスイートルーム。丸いバスタブに呼応するように壁もアールがついており、非日常のバスタイムを過ごせそうです。
洗面には、やわらかな白が特徴的な『人工大理石の洗面カウンター』と『壁付けセパレート混合水栓』、『木のペーパーホルダー』のタオル掛けを採用していただきました。
袖壁をガラスにすることで自然光を通し、明るく穏やかな雰囲気が漂っています。苦手な朝も爽やかに迎えられそう。
2階に2室ある客室もコンパクトながら、ソファとデスクを備えています。こちらも瀬戸田の借景を生かしたシンプルな内装。自然豊かな景色に馴染むよう、木がバランスよく配置されています。
棚板やクローゼットに使われている積層合板は、小口を丁寧に面取り。カジュアルな素材でありながら、細部に手をかけることで、空間全体に落ち着いた品が生まれています。
こちらの洗面にも、「木のペーパーホルダー」のタオル掛けを採用していただいています。手作業で無垢のオークから削り出したタオル掛けは、空間全体の木の使い方とも相性よし。洗面は、マットな質感の『陶器の手洗い器』とスリムな『ストレート混合栓トール』の組み合わせ。木の質感を引き立てる控えめなバランスです。
カジュアルさと上品さのバランスがとれた空間は、どこか特別でありながら親しみやすく、ふっと肩の力を抜いて過ごすのにちょうど良い。帰るころには、自ずとまちごと好きになっている。
瀬戸田の穏やかな日常と、そんな瀬戸田の情景を引き立てる空間が、この心地よさを生み出しているのだと感じました。
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