約66㎡、築16年の中古マンションをリノベーションしたお施主様夫妻。共働きの多忙な夫妻が家づくりのテーマに掲げたのは、“暮らしやすさ”と“リラックスできる場所をつくり出す”ことでした。
出来上がったのは、屋久島杉の無垢フローリングと目透かし貼りのシナ天井が、そこはかとなく和の雰囲気を感じさせる空間。リビングにはソファを置かず、床座のスタイルで、肌触りの良い無垢の床を堪能しています。
空間を広々と使えるように、壁付けにしたキッチンはオリジナルで造作。木の面材でつくったキッチンに、通し目地で縦貼りにしたボーダータイルとステンレスの『フラットレンジフード』が、凛とした印象を与えています。φ6の華奢な『ハンガーバー』も、その雰囲気を損ないません。
パントリーは、中の収納物がリビングダイニングから丸見えにならないように棚を設置して、すっきりとした空間を維持しやすいようにしました。
そしてこの空間に抜群の開放感をもたらしているのは、寝室とLDKの間に設けた『木製ガラス引き戸』。閉じても光と視線が行き交い、のびやかな広がりを感じられる空間になっています。
そんなひとつながりの空間に、居心地の変化をつくり出しているのは、“天井”。LDKの天井高さは240cm、一方の寝室はそこから30cm低い210cmにしています。
「低い」と感じるかもしれませんが、これは夫妻の希望によるもの。以前住んでいた賃貸の家は天井が高く開放的ではあったものの、ホテルのような緊張感を覚えてしまい、あまり落ち着かなかったのだそう。
高さ210cmとはいえ、寝室は横になって過ごす空間。むしろこの低さが、ゆっくり安らぐ気持ちにしてくれます。寝室の天井高さにぴったりにオーダーした『木製ガラス引き戸』が水平方向の広がりを生み出し、開放感はたっぷり感じられます。
クローゼットを別の場所に設けていることもポイント。ゆっくり休むことに集中できる空間にしています。
そんなふうに、「世間一般」ではなく、「自分たち」の感覚に立って、空間づくりを考えていったご夫妻。そのきっかけになったのは、設計デザイナーの「普段その空間でどう過ごしていますか?」という問いかけだったそう。
洗面スペースを中心に、ウィークインクローゼット、玄関をぐるりと回遊できる動線も、「普段の自分たちの過ごし方」を見つめ直して生まれたもの。ユニットバスを小さくして、そのぶん回遊動線を確保。閉める頻度が低い洗面スペースやウォークインクローゼットは扉をなくし、出入りしやすくして、朝の身支度動線を快適にしました。
玄関から続く廊下は、下足入れをフロート型にして圧迫感を感じない空間に。壁には『フラットレセップ』で裸電球を添えて、慎ましい明かりが出迎える場所にしています。
“リラックス”というテーマでの空間づくりを「五感」で紐解いていったという奥様は、事業系施設を手掛ける設計士。
「近代の建築は明るすぎるとよく言われるように、人間って暗い方が落ち着くと思っていて」と、照明は必要最低限しか付けず、明かりと暗がりがつくり出す穏やかな時間を堪能できるようにしています。
奥様は仕事柄、使ってみたい素材やデザインのストックが多かったそうですが、今回の家づくりでは要素を盛り込みすぎず、全体のバランスを見ながら厳選。無垢の杉フローリングをはじめ、各部には木目調ではなく本物の木を選んだり、自然素材由来の塗料を用いるなど、素材選びでも“五感”を大切にしました。
誰かのものさしではなく、自分たちのものさしで描き出した住まいには、数値でははかりきれない豊かさが広がっています。
※こちらの事例はimageboxでも詳細をご確認いただけます。
                nuリノベーション(株式会社ニューユニークス)
“いい時間をつくるリノベーション”をキャッチコピーに、ヒアリング重視のオーダー型リノベーションを提供。アドバイザー、設計デザイナー、施工管理のチーム体制で、物件探しから資金計画・設計・施工・インテリアまで、ワンストップで家づくりをサポートしています。
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