長野県南木曽町に建つこの家は、四季折々の景色を楽しめる自然豊かな環境にあります。
建物は木造2階建てで、92.54㎡の広さ。家族4人が快適に暮らせる空間設計がなされています。
設計・施工を手がけたのは「松下建築・松下建築設計事務所」。
この住まいには、国産の「天然乾燥材」が使われています。天然乾燥材とは、伐採後に自然の風や太陽の力を使って時間をかけて乾燥させた木材のこと。人工乾燥材に比べて、木の油分や香りが残り、時間とともに深い味わいが生まれるのが特徴です。
さらに、構造には昔ながらの「手刻み」の技術が用いられています。手刻みとは、大工が一本一本の木材に墨付けをし、ノミやカンナを使って手作業で加工する技術のこと。現代では機械加工が主流となっていますが、手刻みは木のクセを見極めながら適材適所で使用できるため、強度と耐久性に優れた構造が実現できます。今や日本国内でも数パーセントしか行われていない技法なんだそうです。
貴重な手刻みの様子のお写真もいただきましたので紹介します。
機械加工が主流の現代において、天然乾燥材や手刻みで仕上げること。職人の目と手によって選ばれた木材がふんだんに使われ、それがこの住まいに温もりを与えているんだと思います。
ここからはそんな温もりある家のそれぞれのお部屋を紹介していきます。
まずは木の質感を存分に堪能できる、開放的なリビング空間。
天井には、手刻みで仕上げられた太い梁が架かり、空間に重厚感と安心感を与えています。無垢材ならではの木目の美しさがそのまま活かされ、光の当たり方によって変わる表情を楽しめます。
また、木の温もりと調和するように、壁はすっきりとした白で統一され、シンプルな格子の意匠が程よいアクセントを加えています。和の雰囲気を感じさせながらも、さまざまなインテリアに馴染む余白があり、暮らしの変化にも柔軟に対応できそうなデザインです。
また、窓辺は格子戸になっており、日差しが入り込むと床や壁に美しい陰影を映し出します。時間の移ろいとともに光の角度が変化し、異なる表情を楽しめるのが特徴です。
空間を仕切りながらも圧迫感を与えず、光をやさしく通す。外と内の境界を曖昧にしながら、四季の変化をさりげなく感じさせてくれます。
お次はキッチンです。天井や床に使われた無垢材が、空間全体に統一感をもたらし、自然素材のぬくもりが存分に感じられます。
キッチンの正面にはダイニングテーブルがセットされ、料理をしながら家族とコミュニケーションが取りやすい設計に。丸い木製テーブルとスツールが、ナチュラルな雰囲気を演出し、食卓を囲む時間をより温かなものにしてくれます。
最後は玄関です。まず目に止まるのは、表情豊かな木目の玄関収納。框や扉の枠組みの繊細な仕上げからは、職人の手仕事の丁寧さが感じられます。
また、壁に設置された『マリンデッキライト』からは柔らかな光が放たれ、壁に映る陰影が奥行きを生み出し、空間全体に優しい印象を与えています。
床にはモルタルが採用され、木材が多く使われている空間の中で、ちょうど良いバランスをつくり出しています。
帰宅した瞬間に心が落ち着く、温かく迎え入れてくれる玄関になっています。
玄関は外側も紹介。木製のドアとガルバリウムが調和する、印象的な玄関ファサードです。
照明には真鍮素材の『マリンブラケットライト』が設置され、柔らかい光を放ち、玄関まわりを優しく包み込みます。
設計者の方が「この先どのように経年変化していくか楽しみ」と、語るように、真鍮は年月を重ねるごとに風合いが増していきます。時間とともに味わいを増していく素材が随所に取り入れられているこの家には、真鍮もぴったりな素材ですね。
職人の手仕事が息づく確かな質感と、真鍮の輝きや木の温もりが宿る空間。「何十年と家族と共に暮らしをつくっていってもらいたい」そんな思いを込めてつくられたこの住まいは、家族にとってかけがえのない場所となるはずです。
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