3人家族のお施主様が購入したのは、専有面積が96m²ある築21年のマンション。広いのはうれしいことですが、広いということは、その分、リノベーションの費用もかかってくるということ。

そこで、広さと予算のバランスを考えて、もともとの3LDKの間取りを活かす方向でリノベーション内容を検討。以前は艶々のフローリングにライトブラウンの木を基調とした内装だった空間を、お施主様の希望でグレーを取り入れたシンプルな内装にリノベーションしました。

低めに吊るしたペンダントライトの灯りが出迎える玄関ホールは、玄関横にあった個室を縮小して、広々とした空間にしました。

下足入れは、グレーに塗装した扉と『
把手の金物』の真鍮を組み合わせて造作。腰高さの収納と天井高さまである収納が整然と並んだ様子は、とてもすっきりしています。

玄関は、家に帰ってきて、まず足を踏み入れる場所。疲れて帰ってきた時も、玄関ドアを開けて広がるこの光景を見たら、心が整いそうです。

間取りはほぼ変えていませんが、設備機器はすべて刷新。洗面室もグレーで統一しました。床はタイル、洗面台はモルタル塗り、ミラーの下には表情にムラのあるタイルと、同じグレーでも素材や色味が異なるものをセレクトしています。

独立型のキッチンは、もともとリビングと洗面室の二方向から出入りできる形で、それもそのまま活かしました。キッチン本体は新しいシステムキッチンに入れ替え、壁は洗面室と同じグレーのタイルをオン。キッチンツールバーには、『ハンガーバー』のステンレスが使われていました。その上のシェルフもステンレスで統一されています。

約18.5帖のリビングダイニングは、床・壁・天井を仕上げ直しました。塗装した壁と天井は白色に見えますが、実はライトグレー。真っ白よりも落ち着いた雰囲気に仕上がり、ブラックやネイビーといった濃色の家具もしっくり馴染んでいます。

既存の天井板を撤去してつくり直した天井は、一部を折り上げ天井にしました。整った見た目になるよう、天井の高さや梁の位置に配慮しながら寸法を決めたそう。「暗めの空間が好き」というお施主様の意向で、照明の数は控えめに。シンプルなダウンライトを採用することで、より天井面をすっきりさせています。

リビングの収納を一部塞いで造作したデスクでは、お子さんが勉強をしたり工作をしたり、親もパソコン作業や書き物をしたり。ダイニングテーブルでやるのと違って、食事のたびに片付けたりものを移動させる手間が要らないのが、デスクコーナーのあるリビングダイニングのいいところ。

デスクコーナーのおかげですっきりが保ちやすいダイニングは、吹き抜けになっていました。これはこの部屋のもともとの造りで、最上階住戸の特権ですね。キッチンの上にはロフトがあり、映画好きなお施主様ご家族は、ここでホームシアターを楽しんでいるそう。昇降式ハシゴで上り下りするシアタールームは、秘密基地のようで楽しいですね。

玄関から洗面、キッチン、リビングダイニングまで。素材や濃さが異なるグレーでメリハリを付けつつ、家全体に洗練された雰囲気をつくり出す。統一感のある空間が醸し出す気持ちよさを、90㎡超えのフロアの隅々まで感じられるお住まいです。

※こちらの事例は、imageboxでも詳細をご確認いただけます。

株式会社 SMART ONE DESIGN

物件探しからデザイン・設計・施工までワンストップで手掛ける、広島県のリノベーション会社。完全オーダーのフルリノベーションのほか、セレクト型リノベーション、リノベーション済み物件の販売、建て替え相談にも対応しています。

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KB-AC008-17-G141
¥3,600
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テキスト:サトウ

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