メタルラインの可能性
何気なく天井についているブラックのライティングレール。広めの階段に添えられたステンレスの手摺。ただ一本の線が、空間を引き締め、まとまりをつくる。この一本の有無による空間の見え方の違いって意外と大きいものです。
一本の線が空間を演出するのは家具も同じ。大きな弧を描くアルコランプ、直線が美しいUSMハラー、美しい曲線で座面を支えるチェスカチェア……印象的なラインが、家具としての己のデザインと空間を引き締め、凛とした雰囲気をつくります。
半世紀以上愛され続ける名作に共通するのは、煌めくメタル。木、革、カラー面材など、どんな素材とも共存しながら新しい表情を生み出せるのは、物理的な頑丈さとは裏腹に、周囲の色をほのかに反射して取り込む柔軟さがあるからなのかもしれません。
そんな“メタルライン”を空間に引いてみたら?周囲のゆらぎを取り込みつつ、空間を引き締める「メタルハンガーライン」です。
はじめまして、ハンガーラインです
空間に線を引く、新しい建材として、“ハンガーライン”と名付けてみました。
パイプとエルボによるシンプルな構造で、服やモノをかけられるのは、ハンガーパイプと同じですが、あえて新しい名前にしたのは、頭の上に吊られているだけなのは少し勿体無いと感じたから。
物干しやハンガーパイプって、手を伸ばしてハンガーを掛けられるくらいの頭上にあることがほとんど。でも、この上品な煌めきと滑らかなラインを見ていると、自然と視界に入る場所にあって欲しい。もっと言えば手で触れるくらいの距離感で付き合いたかった。それは贅沢につくられた由緒正しいホテルに訪れると、手摺や壁に自然と触れたくなるような感覚に近いかもしれません。
家具や壁と同じくらいの距離に取り付けられるように、天井吊のほかに、ラックのように使える縦タイプや床から天井まで一本線を入れられるT型も用意してみました。
パイプを頭上から解き放ってみると、“服を掛ける”という用途からも解放され、空間にデザインとして線を引くように取り付けられる。この自由さが新鮮で、眠っていたクリエイティビティが顔を出してくる感じがします。
無垢ステンレスだから「ライン」になる
ハンガーラインたる所以は、空間に取り入れたときの線としての美しさ。それを成り立たせるのは、エルボやフランジといったパーツのデザインにあります。
座が小さいフランジと、パイプに沿うようなエルボの形状。細かいところですが、パーツがパイプと一体になって見えることで、空間に入ったときに、スッと細いラインとして成立する。
そんな線としての美しさと強度を両立するメタル素材として選んだのはステンレス。表面だけでなく、オールステンレスでつくりました。
ポイントとなるパーツは、スチール製だと3倍くらいの厚みになってしまうところを、無垢ステンレスで鋳造したパーツを使うことで、パイプとの繋ぎ目を限りなくシームレスに。この曲線美が、触りたくなる衝動をも掻き立ててくるのです。
パイプはφ25と、チェアにも使われる太さですっきりと。ステンレスパイプというと、薄いスチールパイプにステンレスシートが巻き付けられたものが一般的ですが、2mm厚の無垢ステンレスパイプを採用。淀みのない無垢ならではの重量感と、光を受けて煌めく表情が、その存在感を裏付けています。
暮らしに寄り添う、ニューライン
用途から解き放たれ、空間に走るメタルライン。さて、どう使いましょう?
やはり、大事なものを魅せるための使い方が一番似合うと思います。手をかけている珍奇植物や、お気に入りのモビールの居場所として贅沢に。メタルラインがフレームのように飾るものを引き立てます。
とはいえあまり気負わずに。用途は暮らしに合わせて後からついてきます。
もちろん服やカバンをかけるラックにしても良いですし、雑誌をハンガーにかけてマガジンラックとしても。近くに椅子とサイドテーブルをおけば、ほっと一息つける場所が生まれます。さっと布をかけて間仕切りになるようにしたら、空間の使い方が広がりそう。
引かれた場所と、住まい手の工夫や気分次第で、役割を変えていくハンガーライン。生活動線や空間の使い方も自ずと変わってくるはずです。
空間にデザインとして線を引く建材としての側面と、近い距離で付き合う家具としての側面。その両方を併せ持つ、「メタルハンガーライン」という新しい選択肢が、空間デザインと空間の使い方の両方を押し広げていくことを期待しています。
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