以前、アメリカのブルックリンのクリエイターの家を何軒か訪れた際に、ラフで工作的なキッチンたちをみてすごく衝撃を受けました。シンクとコンロはあって欲しい機能は満たしつつも、あとは本当に工作的。

フックやバーを取り付けたり、色を塗ったりと、思いのままにいじっていける自由さがあったんです。

キッチンてこんなにカジュアルでもいいんだと衝撃を受けた、その時の感覚を思い出させてくれるような、キッチン事例をいただきました。

調理師でもあり、いつもキッチンにいるというお客様は、今回ハンディハウスプロジェクトに住みながらのキッチン部分リフォームを依頼。

住みながらの工事というのは、施工をする側にとってもかなり気を使う作業。担当の大石さんは、毎朝、お客さまと打ち合わせをしてから作業に入るようにしていたそうです。

キッチンの使い勝手に関しては、お客さまが明確なイメージを持っていたので、それを形に落としていく作業を。使い勝手に関係ないデザイン部分は、ハンディから提案をしていきつつも、現場のノリで決まっていった部分も多かったのだとか。

では、細かくみていきましょう。

タイルは、汚れが目立たない暗めの色がご希望だったので、『古窯70角タイル』のミッドナイトブルーを選択。

『オーダーキッチン天板』を場所に合わせてサイズオーダーし、脚元は、以前どこかの店舗のディスプレイに使われていて気になっていたという花ブロックを積むことに。

レンジフードは、『フラットレンジフード』のステンレスを組み合わせています。

よく使うキッチンツールは、すぐに取り出せるよう、吊るして収納。

『亜鉛メッキのマルチバー』のW700とW400をLの壁に取り付けています。

コンロはとにかくシンプルな『クリアブラックIHヒーター』 2口タテタイプを。

意外と置き場に困る、粉打ち棒はすみっこのコーナーに居場所を見つけたようです。

窓台部分もタイルを張り込み、木のフレームをいれて、可動式の棚板を取り付け。

棚の上部には、卓上で使う電気調理器用に『アメリカンスイッチ』のコンセントと照明の『トグルスイッチ』を付けて。

『古窯70画タイル』の7cm角のタイルの1マスに、『トグルスイッチ』のMINIがぴったりはまってますね。

『オーダーキッチン天板』のシンクは、スクエア520タイプ、水栓は『ニッケルサテン水栓』を合わせています。マットな表情が大人っぽいタイルにもお似合いです。

タイル上部の白い壁面についた照明は『工業系レセップ』のフラットタイプ。あえて大きめのボールライトがいいアクセントになってますね。

重いアイテムは、キャスターの付いた荷車にコンテナボックスを積み上げ、その中に収納しています。引き出しのように、ゴロゴロ前に引き出せるので、お掃除も簡単です。

花ブロックは、真ん中の部分だけあえて固定せず、いま電子レンジを置いている部分に将来オーブンを買い替えて、棚板サイズが変わっても対応できるようになっているのだとか。カジュアルな見た目ですが、将来のことをしっかり考え、思い立った時に自分で作り替えられるようになっているのが、工作的でいいですね。

ちなみに、この花ブロック、正面から見たときに窪みが見えない積み方を提案したそうなのですが、「あえて窪みをみせる積み方にしましょう。その方が目の前に立った時にヒザがぴったり納まるし」というお客さまの一言で、あえて窪みをみせる積み方になったそうです。

(一番下と3段目だけ短手部分が窪んでいるの、わかりますか?)

コンテナは引き出すと簡易テーブルとしても使える高さになっています。来客時などは、カトラリーやお皿を載せたワゴン的な使い方にも。

最後の写真は、完成後の打ち上げ中に、花ブロックの窪みにヒザがちゃんと納まっているのを確認している様子だそう(笑)

ハンディハウスプロジェクトのスローガンは、「妄想から打ち上げまで」。まさに、そんな彼らとの楽しい家づくりの一端が垣間みれた瞬間でした。

これからも、ちょっとずつアップデートされていきそうなキッチン。今後の変化が楽しみにです。ありがとうございました。

楽工隊(racco隊)大石義高

楽工隊(racco隊)大石義高

住宅や店舗などの設計施工を自らの手で行う建築デザイナー。かつてはそこでモバイルハウス生活もしていた、トヨタのクイックデリバリーが事務所代わり。建築家集団・HandiHouse projectのメンバー。

HandiHouse project/ハンディハウスプロジェクト

HandiHouse project/ハンディハウスプロジェクト

合言葉は『妄想から打ち上げまで』。
家づくりが趣味になれば暮らしも豊かになる。
そんな思いのもと、設計・デザインから工事のすべてにおいて、施主も一緒に参加する空間づくりを提案している、建築家集団です。

テキスト:来生

関連する事例記事

「新しくてきれい」だけど「好きになれない」洗面脱衣所を、お気に入りのタイルと木で「居たくなる」場所に
「新しくてきれい」だけど「好きになれない」洗面脱衣所を、お気に入りのタイルと木で「居たくなる」場所に
築2年の戸建て住宅。3人の小さなお子さんがいるご家族にとって、洗面脱衣所は手洗いや入浴後の着替え、洗濯など、1日に何度も使う場所。新しくてきれいではあるけれど、使い勝手には不便を感じており、洗面台のデザインや内装も好みではなかったそう。そんな洗面脱衣所を、自分たちの暮らしや好みに合わせてアップデートしたリフォーム事例をご紹介します。
解体途中の部屋を引き継いで、自分仕様に育てていくように。“既存残し”で個性をつくった賃貸リノベ
解体途中の部屋を引き継いで、自分仕様に育てていくように。“既存残し”で個性をつくった賃貸リノベ
鉄筋と断面が剥き出しになったコンクリート、木毛セメント板の壁に、ステンレス天板だけのキッチン。まるで“解体途中”のような部屋には、住む人が“愛着を持って長く住める”工夫が詰まっていました。
車椅子でのマンションリノベ。造作家具「道」と「間取り」で可変性ある暮らしをつくる
車椅子でのマンションリノベ。造作家具「道」と「間取り」で可変性ある暮らしをつくる
車椅子を併用し、家の中で手すりや家具につかまりながら歩く必要がある妻のYさん。学生時代からの仲間の建築家、家具デザイナーに声を掛け、間取りというよりも、部屋のつながり方を大切に、家の中に「道」をつくっていくような感覚で、オリジナル家具を中心とした家が出来あがりました。
「視界に入る全てに妥協なし」。“中途半端にしない”選択で叶えた、テラコッタキッチンのある住まい
「視界に入る全てに妥協なし」。“中途半端にしない”選択で叶えた、テラコッタキッチンのある住まい
緑に囲まれた住宅地で、家族3人が暮らす約79㎡の住まい。一目惚れした外観とリンクするテラコッタ色の造作キッチンを中心に、柔らかなアール壁がそれぞれの場所を緩やかに繋ぎます。“中途半端にしない”こだわりと、コストのメリハリを明確にすることで叶えた、ギャラリーのような静謐な空間をご紹介します。