天井と壁の仕上げは特殊塗装。落ち着いたトーンが、居心地の良さを生んでいます。

ひと昔前のリビングは、みんなで食事をしたり同じテレビ番組を見て盛り上がったりと、家族が同じ目的を共有する場でしたが、スマートフォンやタブレット、ゲーム機などの普及によって、リビングに集まりつつもそれぞれが好きなことをして過ごすといった具合に、だんだんと時間を共有する場に変化してきたように感じます。

今回ご紹介するお客様がリビングに求めたのも「家族や友人たちと多くの時間をシェアできるようにしたい」 というもの。

そんな要望から生まれた、広々とした明るく開放的なLDK。

見渡してみると、なるほど確かに。ソファに座ってくつろぎながらテレビを見ていたり、キッチンで夕食の準備をしていたり、カウンターで悩みつつも宿題に向き合っていたり、ダイニングの段差に腰掛けながらペットと戯れていたり。各々が好きなことをしながらのびのび過ごす家族の姿が浮かび上がってきました。

窓からの景色を存分に眺められる特等席。

のんびり日向ぼっこを楽しめそうな、窓際に設けられたベンチ兼収納。

リビングの隅々まで使いこなせるようにと、暮らしの手掛かりとなる家具が部屋のあちこちに設けられているのも、このお部屋の特徴です。

景色を一望できる腰高の窓に合わせて設置された「ナガメカウンター」や、ソファの背面の窓際に設けられた「マドベベンチ」など、思わずくすりと笑ってしまうような可愛らしい名称がつけられた備え付けの家具たちが、家族のシェアリビングを豊かに彩ります。

リビングから廊下を眺める。居室の扉は『オーダーフラッシュドア』のラワン。

そして、もう一つ。広いリビングとは別に、玄関から続く廊下の先にも「サブリビング」が設けられています。

家族みんなが使うスペースを重視し、夫婦の寝室や子ども部屋は多少小さくてもOKという方針で間取りのプランニングを進めていたため、2面採光の日当たりの良いこのスペースも、「個室に入れ込むよりも、シェアできるスペースとして開放した方が玄関も明るくなりそう!」と気づき、もう一つのリビングを設けることに。

廊下の突き当たりに設けられた、もう一つのリビング。その名も「カドベンチ」。

前述のリビングとは対照的に、こちらは一人の時間を楽しむ場所。テレワークのWEB会議をする時などにも重宝されているそう。

木製家具のような雰囲気に仕立てられたキッチン。リビングに溶け込み馴染んでいます。

続いてご紹介するのは、奥様のこだわりがぎゅぎゅっと詰まったキッチンです。

ワークトップに使用しているのは、天然石のような風合いと重厚感のある佇まいが魅力のセラミックストーン。熱に強く、耐久性・耐水性に優れているため、傷がつきにくくお手入れがしやすいことから、近年キッチントップとして注目を集めている素材です。

​​「収納スペースと作業スペースがたっぷり欲しい」という奥様の希望を叶えるため、シンク付きの作業カウンターは奥行き900mmというゆったりサイズに設計、背面にも同じ素材の収納カウンターを設置。お料理教室を開くことができそうなくらい、広々とした余裕のあるキッチンスペースに仕上がっています。

そんな本格キッチンに採用いただいたのは、高火力〜​​極トロ火まで、火加減を自在に操ることができるハイパワーのコンロ『パワーガスクッカー』。

「火力を試してみたくて。引っ越してすぐにチャーハンを作りました(笑)」とは旦那様のお言葉。無事、パラパラのチャーハンをつくることができたそうです!

家の中の一番気持ちのいい場所を、みんなのものとして広くシェアすることで、思い思いの時間を過ごしながらも声をかければ届くというちょうどいい距離感に、家族みんなが自然と集まってくる。そんな心地のいい空間が生まれています。

そう思うと、ステージ状のキッチン・ダイニングも居場所の一つ。

それぞれが至るところに自分の「居場所」を見つけられるよう、随所に手がかりとなる要素が散りばめられた、リビングを中心に家族がつながる、素敵なお住まいの事例でした。

(写真提供:鳥村鋼一)

オンデザインパートナーズ

使い手の創造力を対話型手法で引き上げ、様々なビルディングタイプにおいてオープンでフラットな設計を実践する設計事務所。
また、ケンチクとカルチャーを言語化するメディア『BEYOND ARCHITECTURE』を運営。建築を、 アート・デザイン・エンタメ・ジャーナルなどの観点から 言語化し、日々発信しています。

チームだからこそ生まれる多様なアイデアで「住み手の創造力を引き上げる」
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自分の理想とする家のイメージがあっても、それを言語化して伝えるのはなかなか難しいもの。 だからこそ、なるべくコミュニケーションが取りやすくて、拙い言葉に秘められた要望を読み取ってくれるようなプロにお願いできたら!そう考える方も多いはず。そこで今回は住まい手の創造力を「対話型手法」で引き上げながら、オープンでフラットな設計を実践している設計事務所、オンデザインパートナーズをご紹介します。

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