今回ご紹介するのは、再販物件としてリフォームされた、築11年のマンション。設備機器や間取りはそのまま活かしながら、内装仕上げの変更で、空間の印象をガラリと変えた事例です。

どれだけ変わったのか、まずはビフォーの空間をお見せしましょう。

物件は、窓からリバービューが広がる抜群のロケーション。一方内装は、ツルっとした木目シートフローリングに、木目プリントが貼られた建具という、お手入れや施工性を重視した素材で構成されていました。

間取りは2LDKで、特に不便はなさそうな内容。設備もまだ新しい。でも、空間の質感には、もう一歩こだわりたい。そこで、内装仕上げだけを見直し、「足す」「引く」「整える」というアプローチで、空間の印象を変えていきました。

まず、ツルツルした木目シートのフローリングは、「足す」アプローチで刷新。床を剥がして貼り直すのはコストがかかるため、“増し貼り”という方法を選び、既存の床仕上げの上から『リフォームフローリング』のチェリーを貼りました。

“増し貼り”をする際は床の高さが上がるので、ドアや収納の扉と床が干渉しないよう注意が必要ですが、『リフォームフローリング』は厚さわずか6.5mmの増し貼り用商品。さらに表面には天然木の突板を使用しており、本物の木ならではの質感や足触りも楽しめます。

自然なツヤを持つ天然木の床になったことで、窓から差し込む光もやわらかく受け止める空間へと変わりました。

次に行ったのは、「引く」アプローチ。何を「引いた」のかというと、それは天井。

全面が白いクロス仕上げの天井で覆われていたのを、一部の天井板を撤去し、コンクリート躯体現しのスケルトン天井にしました。上がった天井高さは10cmほどですが、中央部分を周囲より一段高くした“折り上げ天井”にすることで、開放感を強調しています。

また、コンクリートのざっくりした素材感もイメージチェンジの大きなポイント。天然木のフローリングと同様、余計な化粧を施していない素材そのものの表情が、空間におおらかな雰囲気をもたらしています。

そして最後は「整える」。素材感のあるフローリングやスケルトン天井の雰囲気に合わせて、ポイントとなる部分の仕上げを変更しました。

キッチンの腰壁とサイドの壁は、モルタル調のキッチンパネルを貼り上げ、一部の梁はグレーのクロスで仕上げ直しました。リビングドアはダークネイビーのガラス入り框ドアに交換しています。

お色直し前のキッチンの写真はこちら。キッチン本体は既存のままで、重厚感のある大理石の天板も元々のもの。既存のアイテムを活かしながら、最小限のアクションで空間全体の統一感をつくり出しています。

個室も『リフォームフローリング』のチェリーで模様替え。こうして並べて比べると、床が変わるだけでも部屋の印象が大きく変わることがわかりますね。

元々あった玄関横のシューズインクローゼットも、「引く」のアクションを加えました。

と言っても、下足棚に付いていた扉を撤去しただけなんですが、開放感を生み出す効果は絶大。開け閉めのワンアクションもなくなり、風通しの良い収納に生まれ変わりました。

空間の質は、必ずしも設備や間取りで決まるものではありません。床や天井、素材の表情といった「背景」を整えるだけでも、住まいの居心地は大きく変わります。

すべてを新しくつくり直すのではなく、活かせるものは活かす。全体のバランスを考えながら、「足す」「引く」「整える」のアプローチで、空間を変えていく。そんなリフォームの考え方が、住まい選びの選択肢を広げてくれるはずです。

ANCHOR DESIGN

ANCHOR DESIGN

東京都調布市を拠点として活動している、星野晃範が主宰する設計事務所。暮らしに合わせて家に手を加えて変えていく「アフターリフォーム」な暮らしを実践したり、ライフスタイルの可能性を広げるつくり込みすぎない家づくりを提案しています。

紹介している商品

テキスト:サトウ

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